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大学校を一人で出る。
カスミとミラはすでに帰っている、もしくは、まだ学園に残っているだろう。
とりあえず家に帰ってくるまではミラといるだろうから、もしカスミが襲撃されることがあっても大丈夫だろう。
それにまだ日は沈んでいない。
こんな明るい時間帯に襲撃してくるような馬鹿でもないだろう。
そんな思いで帰路に就く。
家に着き玄関のドアノブに手をかける。
入ろうとするがカギがかかっていて入れなかった。
「まだ帰ってきてないか」
一人呟き、ポケットからカギを取り出し解錠する。
中に入ると自室へ直行し二振りの刀、菊花と桜花の手入れを入念に行う。
理由は簡単。
明日のラグナ・インテンスに使うからだ。
わざわざ明日に指定してくるということは何かあると考えた方がいい。
そのためにできることはしておくことにした。
普通に考えればこの二振りの刀は行使すれば過剰戦力になりかねないほどの代物だ。
それを分かっていても俺は手に取り明日に挑む。
それほどまでに俺は頭にきている。
完膚なきまでにやらないと気が済まない。
しかも来なければカスミに手を出すと言い出した。
これほど俺を怒らせるものはない。
「ただいま!」
「ただ今戻りました」
黙々と手入れしているとカスミの声が届いてきた。
作業を中断させ出迎えに行く。
「おかえり、カスミ」
「ただいま、兄さま。ってそれよりもなんで先に帰ってるのさ。一緒に帰ろうと思って待ってたのに」
「それはごめんな、カスミ。ちょっとやりたいことができてしまってな。で今日はどうだった?」
「楽しかったよ! 明日からが楽しみ!」
「そうか、それは良かったな。早く荷物置いてきな」
「分かった!」
カスミは階段を駆け上がっていく。
それを見届けるとミラに話しかける。
「今日変な視線を感じたりしなかったか? 見張られているとかつけられているような感じとか」
「そんなのは感じなかったけど……どうしたの?」
「入学式終わりにラグナ・インテンス。インテンス家の人間に出くわした。そこであいつと戦わなければカスミに手を出すと脅してきやがった」
ミラは驚愕して目を見開いている。
余程予想外のことだったらしい。
「それでどう言ったの?」
「付き合うことにしたよ。カスミに手を出させないためにも。それに他人も平然と傷つけやがりやがったからな。ほんとうにふざけたやつだ」
「無理はしないでね」
ミラが上っ面ではなく本心から心配そうに言ってくる。
そんなミラに返す言葉など決まっている。
「無理はしない。それに俺の実力をミラは信じてくれているのだろう? なら大丈夫に決まっている。それよりもカスミを頼む。これに限っては近くにいないと守ってやれないしな」
「そうだね。カスミちゃんは任して。私の命に代えても守って見せるわ」
「命に代えてもは困るな。俺は二人に生きていてほしい。もし襲われるようなことがあったなら、命大事にを前提に逃げることを優先してくれ」
「わかったわ。他に何か言うことない?」
「愛してる」
「私も愛してるわ」
言葉が切れたと同時にカスミが着替えを済まして降りてくる。
「どこか行くのか?」
「マリアンさんのところに行こうかなって思ってる!」
「カスミ、今日はやめなさい。その代わり俺が遊んであげるから」
「兄さまが遊んでくれるの!?」
「ああ、そうだよ」
「分かった! じゃあ今日は兄さまと遊ぶ!」
カスミを引き止めることができ胸を撫で下ろす。
カスミが訪れることを楽しみにしてるだろうマリアンさんには申し訳ないが知っている他人よりも家族の方が大切なのだ。
この日はカスミと家の中で盛大に遊んだ。
途中でミラも参加してきて、それはもう楽しかった。
こうしている間は少しだけ怒りを忘れることができた。
だが明日はこうしていられない。
気を張り巡らす時間が刻々と進んでいた。
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