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三度目の正直を必ずこの手で  作者: 池春 藤斗


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クリックしていただきありがとうございます。

試験の日から五日ほど経った。

あの日以降ミラは変わった。

今まではミラから手をつないでくることなど皆無だったのがそれを実行するようになったり、腕を組んできたりと依然と比べ物にならないほどボディタッチが増えた。

はっきり言ってものすごくうれしい。

そんな様子を見ているカスミはニコニコとして仲良しだねと言ってくるだけだ。

家を決め宿屋に戻った後カスミにミラとのことを話した。

そうしたら時間の問題だったから不思議でも何でもないと言われた。

いったい傍から見た時の俺たちはどんなのだったのだろう。

イチャイチャしていたつもりはないがそんな風に見えていたのだろうか。

そんなこんなで人間関係が少し変わり今現在も仲良く手をつないでやってきているのはかばん屋だ。

カスミが登校する際に使うかばんを選んでいる。

これはカスミには内緒の買い物だ。

そのためカスミはこの場にいない。

今頃カスミはマリアンさんのところにいるだろう。

カスミはなぜかあの日以降くっつきむしの様にマリアンさんにくっつきまわっている。

そんなカスミを煙たがることなど一切なく、孫のように可愛がってくれるため俺らからしても非常にありがたく安心して任せられた。


「ねえレイ、どんなのがいいと思う?」


ミラが尋ねてくる。

少し考えて答えた。


「そうだな、カスミっていう名前は花の名から来ているからその花の色がいいよね。だから色合いは白かピンクかな。あとはリュックみたいなのがいいんじゃないかな」

「よく考えてるね」

「まあ初めての学園生活を送るんだ。少しでもいいものをと思うとついね」

「本当にカスミちゃんのことになると甘くなるんだから」

「それはしょうがない。俺にとって一人しかいない妹だからな」


店内を歩きまわり探しているとふと目に入る。

それはカスミソウの飾りがあしらわれ、少し小さめの白いカバンだった。


「ミラ、これどう思う?」

「可愛らしいね。カスミちゃんに似合うんじゃない」

「じゃあこれにするか」


俺は店員にかばんを持っていき会計を済ます。

少々値が張ったが致し方ない。

その分しっかり使ってくれれば文句などない。

店を出て家に帰る。

家の中はいろいろな家具が並べられていた。

町中を奔走した結果だった。

だが俺の手持ちだけじゃ足りずミラにも出してもらうという失態を犯していた。

ミラは自分も出すのが当たり前と言っていたがこういうことはあまり頼りたくなかった。


「ただいま!」


帰ってきて数分後、カスミの声が家の中を駆け巡る。


「おかえり」

「おかえりなさい」


俺とミラが出迎える。

カスミは何かを持っていた。


「これ兄さまとミラお姉ちゃんにあげる」


そう言って手渡されたものを見る。

そこには二つ同じクマのぬいぐるみがあった。

取り出してみるとそれはなかなかのさわり心地で気持ちよかった。

カスミに目を向けるとカスミも同じものを持っていた。


「このクマさんちょうど三つあったの。だから買って帰ってきたの!」


無邪気に笑うカスミを見て涙が頬を伝う。

それは俺にとってあまりにも情けない姿であったが、それと相反して胸の内はとても温かかった。


「兄さま! どうしたの!?」


カスミが慌てだす。


「大丈夫だよ、カスミ。ただカスミからプレゼントをもらえるなんて思ってもいなかったから……ありがとう、カスミ。大事にするよ」

「うん、大事にしてね!」


涙をぬぐい言葉を発する。


「実は俺たちからもカスミにプレゼントがあるんだ」


後ろに置いていた袋を手に取りカスミに渡す。

プレゼント用にしっかりと梱包してもらったため何なのか特定できなくしてもらっている。

そのため見ただけでは分からない。


「ここで見てもいい?」

「ああ、いいよ」


梱包を解き中を見たカスミは嬉しそうにする。


「兄さま、こんなの貰っていいの?」


嬉々とした声音で聞いてくる。

返事など決まっている。


「いいよ。そのためのプレゼントだ。一応、学園に登校するときに使えるようにと思ってな」

「毎日使うよ! 兄さま、ミラお姉ちゃんありがとう!」


そう言って俺らの間に突っ込んでくる。

それを二人で抱きしめ、俺は頭を撫でてやった。

三十秒ほどそのようにしてカスミは二階の自室に行き、俺とミラが残された。


「さっきは情けない姿を見せたな」


俺はカスミがしてくれた行為に涙したことを情けないと思っていたし、ミラもそう思っているんじゃないかと思った。


「そんなことはありませんよ。レイは優しいのです。自分の感情に素直でいいと思いますよ。まあ愛する婚約者にも何かあっても良かったかな~って思うけどね」


俺はハハハと自嘲するように薄笑いを浮かべるが次の一言でそれも止まる。


「けどそういう鈍感なところも人にやさしい心を持っているところも私は大好きですよ」


真正面から堂々と放たれた言葉に顔が赤くなる。

本当にあの日を境にミラは変わりすぎだ。

照れ隠しに俺は急いで自室に向かう。

そんな様子をミラは微笑ましく見ているだけだった。


最後まで読んでくださりありがとうございました。

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