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三度目の正直を必ずこの手で  作者: 池春 藤斗


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クリックしていただきありがとうございます。

目を覚ます。

目の前に広がるのは大型ショッピングモールではなく、どこかの部屋の天井だった。

あまりにも様変わりしているため、飛び上がるように上半身を起こした。

そんな起き方をしたにもかかわらず、背中や腹部に痛みはなかった。

そのため夢だと思い、目をこすってみたり、頬をつねってみたりしたがこれが現実だと言わんばかりに何も変わらなかった。

部屋の内装はとても質素で机と椅子、あとは今まで寝転がっていたベットだけだ。


「とりあえず現状を把握する必要があるな」


声に出して確認する。

声の高さと視線の高さに少し違和感があるが、気にせずベットから降りる。

まずは窓から外の景色を見渡す。

そこから見える景色は今まで見たことがない場所だった。

建物はぽつぽつと見えるだけで他は田んぼや畑が広がっていた。

俺が知っているので照らし合わせるとしたら、亡くなった祖父母の田舎の風景だ。

新鮮な野菜や果物をかぶりついて食べていた懐かしい思い出が呼び起こされる。

そんな思い出に浸りたいところだが、そういうわけにもいかず、部屋に出ることにした。

部屋を出ると長い廊下がありその廊下の先は庭になっていた。


「昔の家みたいで綺麗だな」


思わず感嘆を漏らす。

何せ本当に昔の日本の富豪の家、もしくは庭がきれいな寺院を彷彿させるような作りだったからだ。

長い廊下の中央付近にどうやら俺はいるらしい。

どちらに行こうか迷うが左の方に鏡らしいものを見つけ、そちらに行くことを決めた。

そして鏡に近づくにして俺は驚愕させられることになる。


「こいつは誰だ?」


それも当然のことで鏡に映っているのは黒髪で5・6歳ほどの小さな男の子だったからだ。

自身の体を動かして確かめるも同じ動きをするため疑うことができない。

これは創作物によくある転生というやつではと導く。

むしろそれしか思い当たらない。

しかしそうなると今までこの体に合った意識はどうなっているのかが気になる。

前世の記憶が戻ったのなら今までの記憶もあるはずで確認なんてものはまずしない。

それがないということはいきなりこの体を乗っ取ったことになり、今までの自我を消失させてしまっていることになる。

罪悪感を感じるが元に戻す方法を知らなければどうすることもできない。

だからそれまでこの体を借りることを決意した。


鏡のある場所はL字の角なので廊下に沿ってまた左に進む。

何歩か歩くと前方から何かを持ち運んでこちらに向っている三十代ほどの女の人がいたので立ち止まる。

その人も俺に気が付いたので歩みを止めたかと思うと、持っていたものを盛大に落とし、走ってこちらに向ってくる。

大人と子供。

子供の俺が走ってくる大人から逃げることなど無理なわけで、何もできないまま捕まり抱き寄せられる。


「体は大丈夫? つらくない? ああ神よ、この子の命を救って頂きありがとうございます、ありがとうございます。本当に、本当に良かったよ……」


周りのことなど一切気にせず大声で泣き、安堵している姿は初めて会ったはずなのに愛おしさを感じる。

もしかしたらこの人がこの子の母親なのではないかと思えるほどに。

それに大の大人が大声をあげて泣いているんだ。

そのことに反応しない人はこの屋敷にはいないようで徐々に人が集まり、中にはもらい泣きかはわからないが一緒に泣いている者もいた。

先ほどから飛び交う言葉を拾い、吟味した結果、どうやら俺はこの国の騎士の家の子供で俺に抱きついてきたのは予想通り母親だった。

1週間ほど前に病気にかかり、昨日には心臓が一時止まっていたらしい。

もしかしたらその時に俺の魂がこの体に入り込んだのかもしれない。

まあそれにしても良い母親そうだ。

ここまで泣き崩れるのだ。

深い愛情を感じる。

この人を泣かせてはいけない。

こちらの世界に来て初めての決意だった。


最後まで読んでくださりありがとうございました。

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