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三度目の正直を必ずこの手で  作者: 池春 藤斗


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クリックしていただきありがとうございます。

あの時のことを客観的に思い出すと男って単純だなと考えさせられる。

もともと好意ががあったとしても、あのような無茶苦茶な会話や態度だったのが、ひとつの言動ですぐに燃え上がり頂点にまで駆け上がるのだから。

まあ俺が単純な馬鹿という可能性も無きにしも非ずだが。

とにかく俺らは付き合うことになりました。

そしてそのことはなぜか次の日には周りに知られており、質問攻めを食らうは嫉妬の目で見られるはで大変だった。

それでも日が経つにつれ、それらは次第に収まっていき、そこまで気にする者はいなくなった。

周りが騒いでくれたことにより堂々と校内でいちゃつけるようになったのは思わぬ副産物で大変うれしいことだった。

そして今日で付き合い始めて半年を迎えた。

休日ということもあり俺らは大型ショッピングモールを訪れていた。

恋愛映画の鑑賞や少し高めのランチ、ショッピングを楽しんだりと非常に満足いく内容だった。

そしてこの後は俺の家に行き両親と顔合わせをすることになっている。

俺はそんなことする必要はないと思っていたが、何が何でもしないと気が済まないというものだから俺が折れるしかなかった。

本来なら今ごろ俺の家に着いている時間なのだが、あまり俺が両親に合わせたくないというのが態度に出すぎていたのか、大型ショッピングモール内の休憩スペースの椅子に腰かけている。

すでに決まっているのに腹を括れないのは男としてみっともない。

だが気乗りしないものはしないのだ。


「早く紹介してくれないと別れちゃうぞ!」


頬を膨らませ、じっと俺を見つめてくる彼女。

本人はいたって真面目に怒っている感じだが俺から見れば可愛い彼女さんとしか映らない。

ついついそのままにしてしまう。

しかし、いつまでもこうしているわけにはいかないので動き出すことにした。

立ち上がるのと同時に彼女の手を取り指を絡めあう。

いきなりのことで吃驚しているようだったが嫌がることなく、頬赤くさせつつも微笑みかけてきてくれた。


「またここに来たいね!」

「そうだな。今までと同じように君をを守るよ。また来れるようにこれかもずっと永遠に」


ちょっと格好つけてみた。

この半年間ずっとそばにいたり、牽制することで少しはいやらしい視線などは消えたらしい。

だから今まで通りを一生すればいい。

そうそれだけのことだった。

しかし少しは慣れた行動が浮かれていたため、全くできていなかった。

サクッと何か音がする。

それに背中が熱い。

後ろを振り向くと、赤く染まったナイフを持つ太り気味男が立っていた。

俺と視線を合わしニヤリと笑い、俺の腹部へナイフを突き立てた。

先ほどまではあまり感じなかった激痛が今身体を走り廻る。

痛みに耐えれず膝から崩れ落ち、赤い水溜りを作ろうとしていた。

周りの客も今の状況を理解しパニックが起こりだす。

自分可愛さに逃げ惑う人々。

それが本能だから仕方ない。

しかしそれに抗う影が一つあった。

それは俺の彼女だった。


「は……やく……にげ……ろ」

「いや、置いていけないよ」


彼女は泣いていた。

早く逃がしたいが身体が言うことを聞かない。

魔の手が彼女に近づき、接触した。


「やっと見つけたよ。僕達の邪魔者は排除したよ」


男は気持ちの悪い笑みを浮かべながら彼女を撫でまわす。


「や、やめてー」


必死に抵抗し、自由だった足の蹴りで距離を開けることに成功した。


「なんでそんなことするの? 君は僕の彼女じゃないか。それに将来を誓い合った仲でしょう?」

「そんなことしてない、どこかに行ってよ」

「本当に照屋さんだね」

「あなたなんか知らない。迷惑だから関わらないで、この豚野郎」


俺は未だにこのやり取りを聞いているだけしかできなかった。

体が寒い。

時々意識が飛びかける。

しかしそれよりも目の前に起きそうになっている出来事を何とかして辞めさせたいが、声を発することも指を動かすこともできない。


「『豚野郎』っていい響きだね。オークって知ってる? オークって人間の女を苗床にして種族を繁栄させているんだって。だから構わないよね」

「い、いや、やめてー」


彼女は距離を取ろうとここから離れようとするが、男に捕まり成すすべなく服が破られ白い肌が見える。

それでもやられまいと決死の覚悟で反撃しているが、男はお構いなしに行動を続けようとする。

そして暴れられるのが鬱陶しくなったのか、彼女の体に何度もナイフを突き立て身動きが取れないようにしていった。

その回数と同じだけ響き渡る悲鳴。

それは回数を伴うごとに小さくなり最後には聞こえなくなっていた。

その様子を俺はただ見ているだけしかできなかった。

さっきまで守るとか言っていたのが恥ずかしいほど何もできなかった。

あぁなんて俺は無力なんだ……

そう心の内で呟かなければ気が済まない。

俺に力があれば、気を抜かなければ、ただただ募る後悔。

当然怒りはある。

しかしそれよりも後悔が上回る。

後悔先に立たず。

もし次の人生があるならばこれだけは忘れないでいよう。そう心に誓い意識を闇へ落としていった。



最後まで読んでくださりありがとうございました。

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