表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三度目の正直を必ずこの手で  作者: 池春 藤斗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/66

クリックしていただきありがとうございます。

初投稿です。拙いところがあると思いますが、温かい目で見守ってやってください。

「好きです、付き合ってください」


赤く染まりつつある空のもとに響き渡る突然の告白。

学校の放課後の屋上に呼び出された俺は目の前にいる彼女からこのような言葉が飛び出してくるとは思わなかった。

いや、決して全くとは思わなくはなかったがどうせ淡い期待で終わり、まあそんなことないよねー程度の軽い気持ちでその呼び出しに応じていた。


なぜなら今、目の前で告白を敢行した彼女はこの学園のアイドルとして位置づけられ、男女ともに非常に人気の高い生徒として有名だからだ。

成績優秀。

容姿端麗。

運動神経抜群。

それに海外国籍を持つ祖母の隔世遺伝でモデルのようなシルエットに流れるように長く美しい金の髪。

そのような人物ゆえに本当に告白されるとは思っていなかった。


彼女との出会いは彼女の父親の転勤でこの学校に転校してきたクラス先の隣の席というものだった。

漫画やアニメ、ドラマなどでよく見かけるシチュエーションだが、まさかそれを俺自身が体験できるなんて思わず手を合わせてしまうほどありがたい気持ちでいっぱいだった。

彼女の席が一番後ろの壁際の席ということで必然とその隣の俺に出番が回ってきたという感じだ。

すぐに彼女が転校してきたことは全校生徒に広まり大勢の生徒が教室に押しかけてくるも、そこは隣の席の特権で誰よりも彼女とふれあうことができた。


このときの俺は幸福感に満ち溢れていた。

今まで野球が恋人と言えるほど恋愛方面では音沙汰ないところに効果抜群の爆弾が放り込まれたのだ。

これで好きにならないわけがない。

もしくは、ただ俺がアニメなどが好きで単純なやつだからかもしれない。

それでも彼女と話していると胸がときめいて生きていると実感できる。

そんな時間が長く続くと思っていたが、現実はそんなに甘くない。


彼女にも時間が経てば友達ができ、部活動などにも参加して交友の幅も広がる。

そうなれば別に俺だけを頼る必要性もなくなる。

席替えを行い、席が離れれば特にだ。

こうして俺は人気者の彼女と過ごす時間は無くなっていき、2年が経過した今では俺の片思いという感情は消え失せ、今では友人。

いやむしろ知り合いと言った方が適切な枠組みだ。


そんな経緯があり今状況なのだが、さて俺からならいざ知らずなぜに向こうから?

そのような考えが俺の頭の中を支配する。

しばらく返事もしないまま黙考してしまっていたが、彼女からまた声をかけられ、その閉ざされた口をやっと開けることができた。


「だめ、ですか?」

「それよりもなんで俺なんだ? そりゃ出会った頃はたぶん誰よりも話していた気もするけど、ここ最近1年ほどはまともに話すらした記憶がないんだが……」

「それは何というか……避けられている感じがありましたので……私のこと嫌いなのかなって……」

「俺としては別にそのような態度をとっていたつもりはなかったのだが……」


いつからかは覚えていないが彼女の周りには男女問わず容姿の優れたものが集まるようになった。

類は友を呼ぶ。

まさにこの言葉通りの光景が広がっていた。

そして俺の容貌というと決して悪くはないと思っているし、周りからも言われたことはない。

しかし優れているとも言えないし言われたこともない。

あの中に飛び込んだ時には俺だけ浮いてしまうのは間違いない。

自身を卑下しているのだろう。

平凡な俺では彼女に相応しくない。

不釣り合いだと。


「もう一度聞くが、それにしてもなんで俺なんだ? もっと他にもいい男がいたんじゃないのか?」


たった二言だけで気まずい空気になりつつある現状を打破するため、もう一度同じ質問をした。

俺よりも良い男はこの学校には大勢いる。

そして人気者の彼女はその大勢を選び放題なのだ。

わざわざ俺を選ぶ理由がない。


「ほかの男性の方はどこかしらに私にいやらしい視線を向けてきます。私が言うのもどうかと思いますが、容姿については多少なりとも自信はあります。それでもあのあからさまに見てくるのが私には耐えられません」

「そ、そうか」


これだけしか言い返せなかった。

女性は視線などに敏感に反応すると聞いたことはあるが、彼女の場合それが他の女性よりも鋭敏なのかもしれない。

そういうことならと俺も思い切って下心バレバレの視線について暴露することにした。


「そ、そういうことなら俺も男だ、そういう視線向けたことはないと言えば嘘になる。なら俺も他の男と同類じゃないのか?」

「ま、まあ確かにそうですけど……」


予想はしていたがさすがに全面肯定されるとこみあげてくるものがある。

だがまだ続きがあった。


「それでもあなたからは暖かさを感じました。あなただけが初めて会った時から今でも私に向ける視線が違いました。時にはそのようなものも感じましたがほとんどが優しくて暖かく包み込んでくれているようなものを。それにもしかしたら私の一目惚れで感覚がくるっていただけかもしれませんが……」


少しもじもじしながら上目遣いで放たれたその言葉は久しく俺が忘れていた感情を再燃させ凌駕させてみせた。

体が熱い。

抱きしめたい。

離したくない。

俺のものにしたい。

そう思わずにいられなかった。


「ずっと好きだったんですよ。それなのに時が流れるほど避けられている感じがして、とても寂しかったんですよ。守ってほしかったんですよ」


潤んだ瞳で俺を見つめてくる。

ああもうだめだ。

愛おしくてどうしようもない。

欲望が突っ走り、一歩二歩と踏み出して抱きしめようとするも理性が働いた。

そうまだ返事をしていない。

それを終わらしてからでも遅くないだろう。


「俺も好きでした。出会った時からずっと。だからこれからは俺の隣にいてくれると嬉しい!」


全力で言い放った。

その時の彼女は嬉しそうにこちらに微笑みかけてくれた。

先ほどの欲望がまた現れる。

もう抑えられない。

彼女に近づき今度こそ抱き寄せる。

彼女も身をゆだねるように無抵抗だった。

そして、


「つらい思いをさせてごめんな。もう離れないから。これからは俺が君を守るよ」


そう言い終わると二人は唇を重ねあった。


最後まで読んでくださりありがとうございました。

評価や感想をいただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ