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机と椅子がきれいに三十ほど並べられそこに一人ずつ座り、男子は男子、女子は女子で統一された服装を着ていた。
俺も周りと同じ服装を着ていた。
机に覆いかぶさり窓から入ってくる暖かい日差しに夢中の俺以外はそこにいる皆の視線は黒緑の何かに文字を書いている白い服を着た男に注がれていた。
「はい、先生!」
「なんですか?」
「—―—―って何ですか?」
一人の男子が立ち上がり発言していた。
その言葉に反応した男。
どうやら先生らしい。
俺は学校に行ったことがないのにどうしてと思ったがすぐどうでもよくなった。
「どうして今————を聞くんだ?」
「さっき冷やすだのなんの言ってたので昨日見ていたテレビで思い出しまして!」
「それは今じゃないとだめなのか?」
「はい、忘れてしまいそうなので!」
「自慢げに言うんじゃない」
先生と呼ばれた男は肩を落とし、疑問に答えるため説明し始めた。
「————は運動エネルギーがゼロの時、つまり分子や原子が動けなるまで冷やされた状態のことだ。これ以下はありえないため—――—と呼ばれている。ちなみに温度はマイナス273度と言われている。これ以上の説明が欲しかったら授業が終わった後に来い」
そう言って疑問の回答は終わり、授業は再開されていった。
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はっとする。
周りを見渡したも先ほどと変わらない光景。
女の子をやさしく地面に寝かせ、立った弾みに立ち眩みでもしたようだ。
それにしても先ほどのは克明に覚えている。
何もかも現実的過ぎた。
それに何か懐かしさも覚えていた。
あの時あの場に実際に存在していたかのように。
まあそれでも俺は今まであのような場所や人を見た記憶などない。
出来すぎた夢と思うことにした。
それに夢ではいいことを教えてもらった。
有難く復習させてもらう。
水蒸気が晴れ、視界にはハイドラが映る。
五本の首からの視線がすべて俺に突き刺さるが、俺はニヤリと笑った。
「じゃあ『ふくしゅう』といこうか!!」
水球を作り出し、ハイドラに当てていく。
それも全身にだ。
そのため移動砲台さながらの動きを行う。
当然ハイドラも反撃する。
そこはうまく森の木に隠れたりしてやり過ごしたりした。
環境破壊もいいとこだが、俺とハイドラにとってはどうでもいいこととだった。
「全身濡れたみたいだな。それにここなら誰も巻き込まずに済む」
俺は父さんやミランダ、女の子たちから離れるように誘導しながら水球を放っていた。
これから俺がやることは初めてのことだ。
だから失敗する可能性もある。
失敗したときに被害を出さないため離れたというわけだ。
ハイドラも水球ばかりを当ててくる俺を鬱陶しがっているのか。
視線を外してくることはなかった。
それが俺にとってありがたいことにも気づかず。
「そろそろくたばってもらおうか!!」
俺は魔法を発動した。
ハイドラを中心に空間を冷やす。
イメージは何もかもが動かないほど冷やされた世界。
俺には夢で出てきた分子や原子がよくわからなかった。
だが直感で理解した。
分子と原子はこの世を構成しているものではないかと。
だからより詳細にイメージするなら時間が止まっているかのようにだ。
ハイドラもただ指をくわえて死ぬわけもなく、自身の周りが冷えていくことに気付き、火の魔法を使い周囲を温めようとし残りの首で攻撃を仕掛けてくる。
だが俺はそれも織り込み済みだ。
蛇は変温動物だ。
魔獣のハイドラもルーツは蛇と仮定。
なら冷えれば冷えるほど動きが鈍くなる。
その考えは正しく攻撃の速さは落ち、回避するのは容易だった。
その間もずっと冷やし続ける。
次第にハイドラの体表は白く染まっていく。
勝負所はここだと踏み、出力を最大限にする。
ハイドラだけでなく周りの草木も白く染まる。
どうにかしてここから抜け出そうともがくハイドラ。
それでも徐々に動きは無くなり、最後はもがき苦しむ姿のまま動かなくなった。
それでも俺は魔法をやめない。
ここでやめてしまえば一戦目の時の様に瀕死の状態でもまた立ち上がってくる可能性があるからだ。
ハイドラがいる空間から漏れる冷気がこちらまで漂ってくる。
それは時間が増すごとに強くなってくる。
地面は冷やされ草などは足の位置を変えただけでピキッと音を立てて折れる。
肌を刺激する寒さがつらい。
吐く息もすぐに凍ってしまう。
そんな中を我慢した結果魔法が完成した。
「こいつを喰らいやがれ、『絶対零度』」
すべてが動かなくなった世界。
魔法効果範囲内の俺以外のすべて生命は活動を終えた。
「思った以上に時間かかっちゃったな。それにしてもこいつは凶悪だな。そうそう使えるものじゃないや」
もっと早くここまでたどり着く予定だったがうまくいかなかった。
攻撃などを掻い潜りながら行使していたからだと言われればそうなのかもしれないが、だからと言って甘えるつもりはない。
「念のために砕くか」
土魔法で棘や重石を作り出し、刺し貫き砕いていく。
土も絶対零度の影響で生成するのに苦労したのだが何とか木っ端微塵にすることができた。
これでハイドラも完全に沈黙したはずだ。
父さんたちの方へ向かって歩く。
父さんたちの回復をしないといけない。
精神は立派なものだったが身体は限界を迎えていた。
途中で力尽き倒れ込み、俺はそのまま意識を手放してしまった。
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