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三度目の正直を必ずこの手で  作者: 池春 藤斗


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クリックしていただきありがとうございます。

化物の相手を二連戦の二戦目の父さんたちがここまで粘れるなど父さんたちも十分化物じみている証拠だった。

最も魔獣は大人数で討伐するもの。

この二人が異常なのだ。


「さすがにこれはダメかな」


そんな二人が倒せなかった相手なのだ。

俺では役不足すぎる。

俺はこの絶望的なまでの差に畏怖した。

逃げ出す前の時同様、全く動けずにいた。

そんな中俺の後方から石が飛んできた。

縛りから解放され振り向く。

目に映るのは懸命に石を投げるユリシアさんの姿だった。

ハイドラに向かって投げているのだろうが俺の頭上を越すので精一杯でハイドラまで届かない。

だがハイドラにとって石を投げられるという行為自体が挑発されていると受け取り、ユリシアさんに向けて魔法を容赦なく放つ。

その軌道は俺のすぐ横を通るもの。

だから俺は割って入った。

土壁を何枚も作り衝撃を和らげるようにした。

先頭の土壁が破られる。

そして二枚目、三枚目と次々撃ち抜かれていく。

俺はひたすら土壁を作り出した。

もしここで手を抜くようなことをすればユリシアさんは間違いなく死んでしまうから。

せっかく救った命、そしてまたここに連れて来てくれた女の子の死に様は見たくない。


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


俺は盛大に吠えた。

初めてこれほど大きな声を出した。

それも意図したわけでもなく自然と溢れてきた。

迫りくる魔法。

眼前まで近づくが、やっと止めることができた。

俺の目の前の土壁も粉々に砕け散った。

あと一枚足りなかったり、数秒遅かったら俺は力尽きていたに違いなかった。

守りきれたことに少し安堵した。

だがその少しの油断が隙を生んだ。

俺が必死に魔法に抗っているときにうち放たれた火球が放物線を描いてユリシアさんに襲い掛かろうとしていた。


「クソ! とどけ―!」


俺の目に映った時にはすでに距離十メートルは切っていた。

俺は最大速度で水球を作り出し火球にぶつけ、相殺させた。

辺りは一瞬で水蒸気に包まれ、白くなる世界。

俺はそんなこともお構いなしにユリシアさんの下へ疾走した。

二人の間隔はそれほど開いていたわけではないためすぐに着くことができた。

だが初めて出会った時とは比べ物にならないほどに見た目は変わっていた。

膝をつき女の子をやさしく抱え、叫んだ。


「絶対に助けるから待ってて!」

「ごめんね……力になれなくて……」

「そんなことない! だから意識をしっかりと持って! ユリシア!」


俺の叫びに対してユリシアは力を振り絞って優しく一言だけ言って反応しなくなる。

火球を水球で当てることはできたが、相殺しきれずに火球はある程度の勢い保ちユリシアに被弾。

そしてユリシアは火球や水球との衝撃でできた高温の水蒸気に飲まれ全身にやけどを負い、皮膚は爛れて出血し、目を覆いたくなるほど悲惨な状態だった。

それでも俺は持っていたすべてのポーションを体に掛けたり、無理やり飲ませたりした。

それに回復魔法もオリオンさん以上に高出力で傷を治していった。

その結果見た目は元気だったころと変わらず、可愛らしい顔も体も先ほどまでと同じように戻すことができた。


「ねぇ、早く起きてよ! ほら、顔や体もさっきと変わらないくらいに可愛い姿のままだよ! ねぇ、だから早く起きてよ……」


傷などは無くなった。

だから意識も取り戻せるとは限らない。

ポーションや回復魔法は万能ではないのだ。

最高級のものや魔法であっても死に行くものを止めることは難しい。

俺は涙した。父さんとミランダは地に伏せ、ユリシアは俺の目の前で息を引き取ろうとしている。

大切なものが消え去ろうとしている。

大切なものが奪われようとしている。

大切なものが『また』奪われようとしている。


「俺からもう何も奪わせない」


そう呟くと俺の視界は暗転した。


最後まで読んでくださりありがとうございました。

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