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三度目の正直を必ずこの手で  作者: 池春 藤斗


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20

クリックしていただきありがとうございます。

本日ある程度の間隔を空けて8話投稿する予定です。

現在5/8話目。順番にお気を付けください。

翌日。

俺はいつも通りに朝を迎えていた。

森を探索するからといって朝早くから出るわけでもなかった。

極力同じ生活リズムで万全の状態にとのことだ。

そのため昨日と同じ時間に出る予定だ。

朝ご飯を食べ、荷物の確認を済ませ家を出る。

家を出る前には母さんが俺を抱きしめてきた。


「無理はしないでね」


また一言だけだった。

けど俺にはそれで十分だった。

母さんの顔が良く見えるから分かる。

心配の色しかない。

だから返す言葉もこれだけで十分だ。


「それは大丈夫だよ。父さんたちもいるから無事に帰ってこれるよ」


優しく語りかけた。

母さんと妹を置いて死ぬわけにはいかない。

まだ新しい出会いをしたばかりなのだから。


「じゃあ、行ってくる」

「行ってらっしゃい、あなた。レイ君、ミランダもお気をつけて」

「はい、奥様。行ってまいります」

「行ってきます」


三者三様の挨拶で俺らは森へと歩みを進めた。

その足取りは順調で止まることはなかった。

そして森の前に来たところで父さんが立ち止まった。


「ここで一応荷物の確認をする。家で済ませていると思うが念のためにだな」


そう言って持ってきていた荷物を確認する。

俺が持ってきたものは母さんが作ってくれた昼食と飲み物、ポーションだけだ。

家にはもともと戦場で戦っていた父さんと怪我を直していた母さんがいただけにポーションの種類や数は豊富にあった。

だから持てるだけ持ってきていた。

それは父さんやミランダも同じようで普段より多めにポーションを持ってきているみたいだ。


「よし、じゃあ行くか。蔓延る害悪を殲滅しに」


俺たちは森の中へと踏み出した。

森の中はいつもと変わらず鳥のさえずりや風が吹き抜け木々の葉がこすれあう音など様々な音色を生み出していた。

その中を三人は次々と進んでいく。

前から父さん、俺、ミランダという順番だ。

一番足手まといな俺が真ん中にいることは当たり前なことで、何の相談もなくおのずとこのようなならびになっていた。


時々小動物が立てる音に警戒して止まったりすることはあったが、何事も起きることはなく太陽は頂点にまで達していた。

太陽が頂点に達していることなど森の中ではわかりづらいことなのだが、今は開けたところにいる。

だから上を見渡すこともできた。

木々も俺たちがいるところを避けるかの様に距離が少しある。

環境だけで見るとピクニックでの休憩スポットとして非常に優秀なところだ。


「そろそろ昼食とするか。ここなら視界が開けていて木との間もある。奇襲はそうそう受けないだろう」

「わかった」

「わかりました、旦那様。では、用意します」


ミランダはそう言うとイスとテーブルを作り出した。

材料は地面の土だ。

ミランダは流石にこのままだとあまり食事の場としては適さないと思ったのか、軽く浄化の魔法を使い除菌みたいなことをしていた。

俺はこの姿を見てアンデッドやゴースト系に浄化魔法は使うものだと思い込んでいたが、認識を改めさせられた。

身近な生活に活かせる良い魔法だと思った。

俺たちはミランダが作ってくれた簡易家具を使い昼食を食べ始めた。

昼食は母さんが無事に帰ってこれるようにと願って作ってくれたものだ。

一つ一つ料理は丁寧に作ってあり、美味しくないわけがなかった。

それは父さんもミランダも同じようで頬を緩ませていた。

味を楽しむのもいいがいつ襲われるか分からない状況ゆえに手短に終えた。

そして今までの振り返りを始めた。


「俺としてはいつもと変わらない森の感覚がするな。レイはどうだ?」

「いつもとあまり変わらない感じがする」

「レイもそうか。ミランダはどうだ? お前は森に入るようなことはないだろうからいつもがどのようなものか分からないだろう。だが反対に森の感覚になれている俺らと違い、少し違う視点から見れるだろうから聞きたいのだが」

「そうですね、昨日言われていた通り大きめの気配が一向にしません。それに魔物の気配がしないことも気になります」

「俺自身もこの森で魔物に出くわしたことがあるのは数えられる程度しかないからな」

「父さん、何の魔物に出くわしたことがあるの?」


俺は尋ねた。

何度も森へ入っている父さんが数えられる程度しか見てないのだ。

気になった。


「ゴブリンを数匹だけな。それくらいなら成人した猟師なら何とでもできる。だからここは猟師にとって良い場所だと思っていたんだけどな」


父さんはそうこぼした。

もしかしたら俺が知らないだけで世界はもっと魔物で溢れているのかもしれない。

俺は他とは違い生ぬるい場所で狩りをしていたのかもしれない。


「旦那様、今の話を踏まえて考えますと他の魔物がやすやすと入ってこれない程度の何かがこの森を支配しているとも考えられますよね?」

「そうだ。だからミランダについてきてもらった。欲を言えばランにもついてきてほしかったが無理なものはしょうがない。」


先程から態度は変わってないが、父さんは少し肩を落としている気がする。

それだけ今回のことを憂いているのかもしれない。


「何がいるのか分からないのに考えても仕方ないか。行くぞ」


それを合図に俺と父さんは立ち上がる。

ミランダは作り出したイスとテーブルを元に戻していた。

数十秒で終わったためそこまで待つことはなかった。


「父さん、ここからどっちに向かうの? 町の方? それとも森の奥?」

「レイ、そんなもん森の奥に決まっているだろうが。そうでないと今までに町の警備隊の者が出会ってないとおかしい」


今いる場所は町に近いところにある。

それは村との距離を基準にしているからで、決してすぐに町に行けるところではない。

それでも町側ということで何かあればこの辺あたりまでは探索に出るだろうと考えてだ。

一時間ほど歩いたが何も見つからなかった。

何か形跡はないかと目を凝らして注視したりしていたが結果は芳しくない。

父さんもミランダも同じような結果ばかりで今回は諦めムードが漂っていた。


「今日はここまでにするか。あまり奥に行き過ぎても日が暮れて帰れなくなる」


父さんが指示を出す。

俺もミランダもその意見に反対しなかった。

俺たちは進路を変更し帰路に就くことになった。


最後まで読んでくださりありがとうございました。

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