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本日ある程度の間隔を空けて8話投稿する予定です。
現在4/8話目。順番にお気を付けください。
父さんが戻って来たので帰り道に考えていたことを話すことにした。
「ねえ、父さん。父さんに初めて狩りに連れて行ってもらった日から一度も大きな動物を見たことがないんだけどこれってたまたまなの?」
父さんは少し眉を顰め口を開いた。
「それは俺も思っていた。たまたまというのもあると思うが、それにしては気配がなさすぎるんだよな。レイはどこか気になったところでもあるのか?」
「気になったことは特に……あっ、今思い出したんだけど初めて狩りに行ったとき大きいイノシシしかいなかったけどあれは普通なの?」
「そう言われればそうだな。全くないとは言い切れないがほとんどはお供を何体か連れているはずだ」
「確かあの時あの場には三つの気配しかなかったと思う。まあまだ子供の探知能力だからあまりあてにはならないと思うけど」
「三つというのは俺とレイとイノシシの三つか?」
「そうだよ」
そう言うと父さんは顎に手を当て考え出した。
その表情はとても真剣で俺の感覚を疑わずにいてくれている証拠でもあった。
数十秒後、父さんはミランダに顔を向け言葉を放った。
「ミランダ、いつもならこれからレイに対して俺かミランダの授業があると思うが無しにしてくれ。その代わりしっかりと体を休めてくれ。明日時間をかけて森を探索する」
「わかりました。どういったものが入用ですか?」
「ミランダが十分に実力を発揮できるようなものを用意してくれ。俺も現役時代に使っていた刀二振りを持っていく」
その言葉にミランダは唾を飲み込む。
そこら辺にいる有象無象なら安い刀でも事足りるので、今は使われておらず立てかけているだけだった。
観賞用。
そういわれてもおかしくないものだ。
それを持ち出すということは要するに剣聖が本気で討伐に乗り出すということだ。
緊張が走らないわけがない。
「それだけ今回の探索は危険ということでしょうか?」
「それはわからない。ただの気にしすぎで終わるかもしれない。それでもやれることはしっかりとしておかないと後々後悔してもおかしくはないししたくもない。それだけだ」
「わかりました。では入念に準備を致します」
そう言い終わるとミランダは部屋から出ていった。
そして父さんは次に俺に声をかけてきた。
「レイ、お前はどうしたい?」
予想外だった。
先ほどの会話を聞いて、お前は来るなと言われると思っていた。
だからすぐに言葉を返せなかったがもう一人の人物がすぐさまに反応していた。
「あなた、レイ君をとても危険かもしれないところに連れて行くんですか!?」
母さんだった。
しかもその口調は怒り気味だった。
「それはレイが望むなら、だ。別に無理に連れていこうとは思っていない」
「私はそのような考えが出ること自体がおかしいと言っているのです。こんな小さな子に魔物討伐に参加させるのですか? それにあなたがあの二振りの刀を持っていくということは魔獣の可能性もあるのですよね!」
魔物。
俺はその言葉に驚いていた。
魔物とはその体に魔力を宿している者のことだ。
魔物には二種類あり、初めは動物だが魔力の濃いところにいた影響で魔力を宿し魔物と化す後天的なもの。
もう一つは魔物同士の繁殖により生まれる先天的なものだ。
今まで魔物など見たことがなかったため、あの森にはいないと思っていた。
それに魔獣という単語まで出てきた。
魔獣は魔物の中でも特に凶悪で獰猛な魔物についていわれる総称で、魔物のピラミッドを作り上げた場合上位の部分に連なる者たちのことだ。
そのことを十分に理解している母さんだからこそ父さんに対して声を荒げている。
「確かにその可能性もあると考えている」
「ならなんでそんなことを言いだすのですか? レイ君が死んじゃう可能性だってあるのですよ! それにあなただって!」
母さんは目に涙を浮かべていた。
それは母として妻として心配している姿そのものだった。
「それに私はついていけないんですよ。体調も万全というわけではないですし、カスミもいるので……何かあっても回復魔法をかけてあげることができないのですよ!」
「だからこそ準備は万端にして臨む。これ以上ないって程に。こんなところで死ぬわけにはいかないしな。それに俺はたぶんかっこつけたいんだと思う。俺の技量は剣聖と呼ばれていた時から日に日に落ちていっているはずだ。だからこそ完全に落ちきるまでにレイに俺の背中を見せたいんだ。お前の父さんはすごいんだぞって」
その表情は屈託の無い笑顔だった。
わがまま。
その一言に尽きる。
それでも何か成し遂げてくれそうな期待感を持たせてくれるものでもあった。
「それにレイは誰の子供だと思っているんだ? 剣聖と呼ばれた俺と聖女と呼ばれたお前との子供だぞ。それにミランダの愛弟子だ。どこに心配する要素がある?」
父さんは相変わらず笑顔のままだ。
表情を一切変えることはなかった。
それだけへまばかりしている俺だが俺の実力を認めてくれているのだろう。
「で、レイよ。どうする? 一緒に来るか? それとも留守番をしておくか?」
父さんが俺に再び問う。
答えるまでの間俺たちを静寂が包んでいた。
俺の返答次第ですべてが決まる。
父さんたちは俺を見るだけで何も言わない。
だから俺が静寂を破った。
「……父さんたちについていくよ。死ぬつもりもないし足手まといになるつもりもない」
「そうか、分かった。ランも異存はないな?」
「レイ君がそういうのなら仕方がありません」
そう言うと母さんは俺の前まで来て抱きしめた。
「無茶をしてはダメですよ」
ただその一言だけを耳元で呟く。
その声音はとてもやさしく聖女の名の通り慈愛に溢れていた。
こうして俺はパンドラの箱のような討伐作戦に参加することになった。
鬼が出るか蛇が出るか。
接敵するまでそれはわからない。
そんな状況でできることは体を休めることだ。
だから俺は自室に戻りベットの上で横になり明日への準備を行った。
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