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三度目の正直を必ずこの手で  作者: 池春 藤斗


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クリックしていただきありがとうございます。

本日ある程度の間隔を空けて8話投稿する予定です。

現在3/8話目。順番にお気を付けください。

狩りを終え、そのままどこにも立ち寄らず家へ向かう。

玄関のノブに手をかけ開く。


「ただいま!」


大きな声で言った。

そこまで大きく出さなくても十分に聞こえるのだがいつも勝手に出てしまう。


「おかえりなさい、あなた。レイ君」

「おかえりなさいませ、旦那様、レイ」


二人は俺の声に反応し俺たちを出迎えに現れた。

我が家では誰かしら家の者が帰ってくると皆で出迎えるという習慣があった。

これは母さんが帰った時に誰も出てこないのは寂しいとのことで俺が生まれる前からずっとしているらしい。

だから俺と父さんが出かけた際は母さんとミランダが出迎えるわけなのだが、最近この光景に変化が起きた。

最近まで母さんの手は空いていたが、今は大事そうに布に包まれたものを抱いている。

その正体は我が家の第二子の赤ちゃんだ。

つい最近生まれたばかりなので母さんが赤ちゃんを抱いて玄関まで出てきて本当に大丈夫なのかと思ってしまう。

しかも出産した次の日からいつもどおりに赤ちゃんを抱いて出迎えた時にはさすがに心配で声をあらわにした。


「わざわざ出迎えに来て体は大丈夫なの!?」

「レイ君がお母さんのことを心配してくれるなんて泣いてしまいそうだわ……お母さんは大丈夫よー。レイ君のためなら何でもできるから」


そう言われ俺の心配は一蹴された。

だから心配はするが口には出さない。

父さんもそのことを理解しているので早く部屋に入るように促した。

少しでも母さんの負担を減らすために。


部屋に入り各々腰を下ろす。

その中俺はソファーに座る母さんの前に膝立ちをして母さんに抱かれている赤ちゃんと戯れていた。

赤ちゃんの手に指を近づけるとしっかりと握ってくる。

それを解きまた近づけ握らせる。

特に楽しいわけじゃない。

だがそうしてると癒される。

赤ちゃんとは不思議なものだ。

そんなことをしていると母さんが俺に頼みごとをしてきた。


「ねぇ、レイ君。お母さん少しお父さんの手伝いをしてくるからカスミちゃんを頼むわねー」


周りを見渡すと父さんはいなかった。

俺が遊んでいるうちに今日の狩りで得た獲物の解体作業に行ってしまったらしい。

本来なら俺が行くべきなんだろうが、母さんは俺にカスミを抱かせすぐに行ってしまったため、言えずじまいになってしまった。

俺は膝立ちからソファーに座り直して赤ちゃんの顔を覗いていた。


「カスミは可愛いな」


声に出してカスミの頬を指で軽くつつく。

そうするとカスミは俺に手を伸ばし俺を掴もうと懸命に伸ばしてくる。

それを見て俺は自然と笑みがこぼれる。

これは赤ちゃんだからなのか、それとも初めての妹だからなのか分からない。

ただ分かるのはもしカスミに何かあれば俺はただじゃいられないだろうという未来の俺の姿だけだった。


可愛い妹が生まれてきた。

このことは村の皆が知っていることで男の子ならこの名前、女の子ならこの名前と生まれる前から密かに村人全員で住民投票が行われていたぐらいだ。

それも仕方ないことで俺でさえ村人たち全員の息子であり孫なのだ。

カスミも当然その枠に入るわけなのだが、カスミが生まれた日はとにかくすごかったとしか言いようがなかった。

母さんに陣痛が始まったと聞くや否や家の周りに人が集まり皆がそわそわしているのだ。

女性陣は出産を経験している人が豊富なのでそこまでじゃなかったが、男性陣は誰一人欠けることなくそこら中を行ったり来たりだ。

女性陣はそんな男性陣を見て呆れ果てていたが、生まれたことが分かると皆動きを止め、轟音が鳴り響いた。

そう大声ではなく轟音だ。

それほどまでに言ってはいけないがうるさかった。

もしかしたら女の子というのも起因の一つかもしれない。

それだけ女の子は需要があるのだ。

村長なんか膝から崩れ落ちなぜか泣き叫んでいた。

ちなみに住民投票で一番多かったのは女の子ならサクラという名前だった。

両親二人が東大陸出身ということと母さんの名前も花の名から来ていることからだったのだが、残念ながら採用はされなかった。

それに名前は前から決まっていたらしく男の子ならレアウルド、女の子ならカスミの予定で女の子だったためカスミになったそうだ。

俺はこの話を聞いた時つくづく男の子じゃなくてよかったと思っていた。

もし男の子ならレオポルドにレイナルド、レアウルドだ。

親子ということをものすごく強調できるがややこしすぎてたまらない。

そんなことを思い出しながらカスミをあやす。

徐々に眠たくなってきたのか目をぱちぱちしだしたのでリズムよく揺らしてあげる。

そうして完全に寝たカスミはとても愛らしい顔をしていた。

母さんたちが戻ってくるとカスミを渡し、俺も使っていたお手製のベビーベットに寝かされる。

木でしっかりと囲ってあり落ちる心配は皆無だ。

ところどころに蒸れないように隙間が作ってあるので、そこから手を入れるとカスミに触れることができる。

そのためいつでもカスミと遊ぶことができる。

この時間は本当に良いものだ。


最後まで読んでくださりありがとうございました。

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