表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三度目の正直を必ずこの手で  作者: 池春 藤斗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/66

16

クリックしていただきありがとうございます。

本日ある程度の間隔を空けて8話投稿する予定です。

現在1/8話目。順番にお気を付けください。

そのまま猪の下へ歩み、猪の腹を裂き、内臓などを取り出して下処理を行う。

大きさが大きさなので当然いらない部分も一つ一つが大きいわけで、俺が魔法で大きめの穴を掘ることになった。

もしこのような対処をしなければ肉は内臓のせいで腐るのが早まったり、いらない部分はその場に放置しておくとその臭いに釣られた動物や魔物が寄ってたかり森の生態系をつぶしかねない。

だからこそしっかりと対処しなければならない。

これは狩りの基本だということを今教えてもらっている。

それにしても一つ気になっていたことがあった。

父さんはなぜ目だけを狙ったのか。

それにそれだけでなぜ絶命させることができたのか。

考えてみたが分からない。

だから解答を求めた。


「ねえ、父さん。何で猪の目だけを狙って攻撃したの? しかもそれだけで何で猪は死んだの?」

「それはだな……レイ、目はどこについている?」

「顔についてる」

「そうだな。顔はどこにあるんだ?」

「どこにある? って顔は顔だよ。まあしいて言うなら頭かな」

「じゃあ頭にある生き物にとって重要な部分はどこだ?」

「うーん、脳?」

「そう、脳だ。どんな生き物でも基本的には脳にダメージを食らえば死ぬ。だからだよ」

「ん?」


俺にはさっぱりだった。

なぜ目が脳につながるのか理解ができない。

そんな俺を意外そうに見ている父さんがいた。


「てっきりレイならこれだけ言えばわかると思っていたがそんなことはなかったか」

「まだ子供なのになんでも知っているわけないよ」

「それもそうか」


父さんがまた笑いだす。

俺はなぜか馬鹿にされたような気がして顔を赤く染めるがそれも一瞬のことだった。


「目は顔にあり、顔は頭にあり、頭には生き物にとって大事な脳がある。だから生き物はその脳を守るため頭蓋骨なんてものを持っている。理由はそれだけではないだろうが……まあ何しろ脳は骨に守られているわけだ。骨を断ち切ることはできる。だがそう簡単にはいかないほどに頑丈さを兼ね備えている。脳まで攻撃が通らない可能性があるということだ。だからより確実に仕留めるために弱点を突く必要がある。じゃあ頭部にある弱点はどこにある?」


父さんから質問を投げられた。

だがその答えは簡単なものだった。


「目……と口?」


話の流れで目は理解できた。

それでも口のことを言ったのは何となくそう思ったからだ。

ゆえに疑問形で言った。


「そうだ、普通に話を聞いていれば目と答えられるのは当たり前。だが口が出てくるとは思わなかったな」


俺が答えた直後、父さんは自然と口を少し開け、感心しているようだった。

その後に紡ぎ出された言葉で驚きも含まれていたんだと気付いた。

いいところを見せれたと内心ご満悦だ。


「レイは聡明だと思っていたがすぐにもう一つの方も分かるとは……いったい誰に似たのやら。それにしても口も間違ってないが口内と言えればさらに良かったな。口だと歯も入ってしまう」


そう言うと父さんは唇を開き歯に指を向ける。

歯並びの良い白い歯は剣をはじき返し、むしろかみ砕いてしまいそうなほど力強さを想像させられた。

だからこその目なんだろう。

目だとそういうのはなかなか想像できないし、実際やってのける数も少ないだろう。


「で、今回は口内ではなく目を狙ったということなんだが、まず目を貫くことによって相手の視界を奪うことができる。中には目に余り頼らないものもいるが、ほとんどが目から入る情報を頼りに生きている。俺ら人間もそのうちの一つだ。次に眼球の奥にも骨はあるがほかの場所よりか貫きやすいし脳にも近い。だから脳にダメージを与えることができる可能性も十分にある。それに狩りをし終わった獲物の状態を考えると傷が少ない方がいい。様々な点から考えてこうしたわけだ」


ただ狩りやすさだけを考えていた訳でなく、その後のこともしっかりと考えてたんだなと父さんに対する評価が上がった。

別に今まで馬鹿にしていたことはない。

ただ普段では見れない一面を見れたからだ。

普段の父さんはオンとオフがしっかりとしていて、オンの時は口数がそこそこ減る。

今もどちらかと言えばオンの状態だ。

それなのに今はよくしゃべる。

剣術を教えてもらうときは答えなど教えてもらったことがない。

いつも自分自身で考えろというスタンスだ。

今はその反対で答えがしっかりとついてくる。

もしかしたら俺以上に父さんは俺と狩りに来れてうれしいのかもしれない。

そんなことを考えながら穴を掘り終え、下処理で出た物を穴に埋めていった。


「よし、今日はこれで終わりだな。大きさも大きさだからな。もう持てそうにない。レイには悪いことをしてしまったな」

「そんなことないよ。連れて来てくれただけでも楽しかった!」


父さんの一言でここまでとなった。

俺自身狩りはしてないが見ていただけでも興奮はしたし、命のやり取りに関する恐怖も学べた。

それに父さんのいつもとは違うところも見れた。

だから俺は気分が高揚して浮かれていたし、気も抜いていたのかもしれない。

あのとき感じた異変は忘却の彼方へと追い払われていた。


最後まで読んでくださりありがとうございました。

評価や感想をいただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ