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学園に通う提案を蹴った俺はいつも通りの日々を過ごしていた。
ミランダには魔法を教えてもらい、父さんには剣を教えてもらう。
そしてそれらが終われば本を読み耽る。
遊びなんてものは俺にはなかった。
『絶対に後悔だけはするな。どんな理不尽でも跳ね返せる力を手に入れろ』
魂に刻まれていると言って過言ではないこの言葉の通り、すべては己の自己研鑽のため、強くなるため、後悔しないためだ。
そのため一日中、一年中休むことなく鍛錬を積んだ。
他人から見れば十人中十人が五歳の子供に何させてるんだ言うようなスパルタ指導が繰り広げられていただろう。
でも俺にとっては楽しい時間でずっと遊んでいるような感覚なのだ。
きついやらしんどいなどはもちろん感じたことはあるが、スパルタ指導だなんて一切そのようなことが頭に浮かんだことがない。
すべては俺自身のためで好きでやっているのだから。
それにウィンディアの村の人は俺が無理やりやらされているのではなく、思う存分に楽しんで取り組んでいることを知っている。
この村の住人たちにとって現在の村最年少の俺はみんなの孫であり息子といったところだ。
それゆえに俺を鍛錬中に応援してくれるときもあれば、反対にみっともないところを見ると檄を飛ばしてきたりと俺を気にかけ、めいいっぱいに可愛がってくれる。
本当に心温かい人が多い村で、大好きな場所だ。
そんな心温かい村の人たちのために恩返しも兼ねて何か手伝えることはないかと最近思うようになってきたのだ。
考えてみるが思い当たるものがない。
もどかしい日々が続く中、夕食後の父さんからの誘いで一気に解決する。
「ミランダ、明日レイに何かさせようか考えてたりするか?」
「いえ、いつも通りですかね。魔法の撃ち合いに、的に向かっての長距離射撃になるかと」
「そうか。ならレイ、明日俺は狩りに出る予定なんだが一緒に来るか?」
この言葉を聞いた瞬間これだとビビッと来るものがあった。
今まで狩りについていったことがなかったので、無意識に選択肢から外していた。
それに狩りなら獲物の大きさによっては村の人たちに食料を提供できるだけでなく、俺自身の実力向上も期待することができる。
まさに一石二鳥の提案。
何のためらいもなく即決した。
「行く! 行くに決まってる! 行かないなんてありえない!」
「そ、そうか。それは良かった」
今にも父さんを押し倒そうかという勢いで返答する。
あまりにも食いつきが良すぎたせいか、父さんはなぜか言ってはいけないこと言ってしまったのではないかとばつが悪そうに言葉を返すのであった。
「ていうことでミランダ、明日は俺がレイを一日中引っ張りまわすことにするわ」
「分かりました。レイ、明日の狩りはあなたにとって良い経験となるのでしょう。しっかり旦那様の言うことを聴いて行動してください。あとこの一年間の成果を見せてくださいね」
「分かった! 頑張ります!」
「明日は朝早くから家を出るから早く寝るんだぞ、レイ」
「分かった! じゃあもう寝るね! おやすみ!」
俺は韋駄天の様に自室に戻り、ベットの上で横になる。
「明日楽しみだな―!」
意図せず声を出してしまう。
俺はこれまでにないほどに上機嫌だった。
明日のことを想像するだけで興奮する。
「どれだけ獲物が獲れるかな? 大きさはどれくらいになるかな? どれだけ役に立てるだろう? いっぱいかな? いやいっぱいに決まってる!」
捕らぬ狸の皮算用をしているうちに夜は更け、時間はどんどん過ぎていき、それに相反するように寝る時間はどんどん少なくなっていた。
いくら大人びていても、実力があってもやはりそこは六歳児。
遠足などのイベントごとの前日に興奮しすぎて寝れない子供と同じように、俺にも年相応の可愛さがここにはあった。
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