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二人からの授業が終わり夕食までの時間は科学の本を読んでいる。
最近は科学だけでなく、自然のことや生物のことについても読んでいる。
魔法が大々的に広まっている世界に科学などの本は当然人気がなく量は限られている。
研究者も少ないこともありあまり発展していない。
だから作者は違えど内容は似たり寄ったりしている。
それでも中には掘り出し物があり、他には書いていないものがあったりするものだから一種の宝探しをしている気分も味わえる。
そういうのを見つけた時は嬉しくなる。
だがこのようなものゆえ一冊一冊の値段が非常に高い。
それでも我が子のためにと俺が読み終わるたびに新しいものを仕入れてくれる母さんには頭が上がらない。
感謝を述べる度にお母さんができることをただしているだけよといつも決まって言ってくる。
お金持ちだからお金に物を言わせてやっている。
そう言われればそこまでだが、俺はそう思っていないし思いたくもない。
それにこの世の中ではあまり必要のない科学などの本を買い与えてくれているのだ。
いくらボンボンの息子娘でもあまり必要のない科学の本を買い与えることはしないだろう。
まあこれに関しては俺の個人的な考えなのだが、実際にどんなものを買い与えられているか分からないのでそう思うことにしている。
夕食は最近母さんの体調のこともあり、ミランダが料理などの家事全般もしている。
料理の味はというと、これがまた料理人としても生きていけるのではないかと想像させてくれるほどおいしいものを作ってくれる。
母さんのことを思って料理をしているのだろうか、素材の味を活かした味付けで調味料は最低限しか使われていない。
心遣いもばっちりだ。
このような新たな一面を見せつけられると男として評価が上がるわけで、俺の理想の女性がミランダに一歩近づく。
母さんからすればミランダのような何でも完ぺきにこなせる女性が近くにいると俺の結婚相手は非常にハードルが高いものになるのではないかと早くも心配気味でもある。
夕食も終わり皆がテーブルで談笑がを始める。
「いや―、今日の飯もおいしかったよ、ミランダ。それに最近体調がいいみたいなんだ」
「ありがとうございます。そう言って頂けると作った甲斐があります」
「あなた、それは私の料理が下手ということですか?」
「そ、そんなことは言ってないだろう。ランの料理も十分おいしいよ」
「はい、奥様の料理はどれもおいしいものばかりです」
「おだてても何も出てきませんよ」
いつもの会話。
そしていつものように終わっていくと思っていたが少し違った。
「最近思っていることがあるんですけど……」
「どうしたんだ、ミランダ」
「あの、レイはもう六歳になりました。一般的にこの年になると学園に通わせ様々なものを学ばせます。わたしもこの年で学園に入学しました。レイは入学させなくていいんですか?」
至って真面目な話だった。
学園。
下は六歳から上は十四歳の年までの教育機関だ。
ここでは文字の読み書きや計算などの勉強、魔法の使い方、礼儀作法などを学ぶことができる。
それに費用は全く掛からないという太っ腹な体制が敷かれている。
理由はごく単純で門を最大限まで広げることにより優秀な人材を多く見つけ出すためだ。
そして大学校は入学試験で合格した者と特待生として推薦がもらえた優秀な者が入学することが許される。
大学校には年齢制限はなく幅広い年齢層だがそれでも十代の生徒がほとんどを占めている。
ではミランダがこの家に来たときは十五歳だったはずとの疑問が出てくるが、学園には飛び級という制度が採用されており、年齢ではなく能力さえ備わっていれば上の学年へすぐ移れるのだ。
そのため学園を通常より速い速度で卒業し、特待生で大学校に入りそこもすぐに卒業したということだ。
だからこそ様々なところから声がかけられていた訳なのだが、そこを断るのがミランダらしい。
当然これらのことは二人は分かっていたわけで。
「今更レイを学園へ入学させても意味がないだろ」
それだけで終わる。
ミランダは少し唖然とするがなんとか言葉を紡ぎ出した。
「そうかもしれませんが同年代とふれあうのも大事だと思うのですが」
「確かに一理あるかもしれん。だがそれは無理だ。レイは他とは違いすぎて周りが相手にできない」
俺はこのとき疑問に思った。
他とは違いすぎて周りが相手にできないとはどういうことだと。
俺はこの時自分の実力がどの程度のものなのか理解していなかった。
周りには比べる人はいない。
いるとすれば両親とミランダだけだ。
世界で上位の人たちに指導をしてもらい途轍もないスピードで成長しているとわかっているとしても、三人の強さが基準となる今の俺の現状が同年代の人並と錯覚させているのだ。
これはしょうがないことでどうすることもできないことだった。
それに俺は今回のことで学園に興味が出た。
そこに行けば同年代の人がたくさんいると考えればそうならないわけがない。
「それならレイ自身に聞いてみませんか?」
「まあそれもいいだろう。レイ、お前は学園に行ってみたいか?」
投げかけられた問いかけ。
俺は即答した。
「行く気はないよ」
確かに興味はある。
だが俺にとって今取り組んでいることより興味を持てなかった。
それだけだった。
悩みもせず即答した答えが否定なことに二人や話を聞いていた母さんも少々驚愕していたが、何もなかったかのように話は続けられた。
「ということだから今回の話は無しということでいいな、ミランダ」
「レイがそう言うのですから無理に勧めるつもりもありません」
そして時間も遅くなってきたということによりここで解散となった。
俺が自室に戻り、寝ようとする前に父さんに声をかけられた。
「レイ、なんで学園に行きたいと言わなかったんだ?」
父さんからすれば当然の疑問。
普通の子供なら行きたいとはしゃぐところだったからだ。
その問いにこう返した。
「だって学園に行くより今の方が楽しいだろうから」
「そうか、わかった」
その解答に父さんは目を見張るがすぐに相好を崩し、愛おしそうに俺を見つめるのであった。
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