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三度目の正直を必ずこの手で  作者: 池春 藤斗


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クリックしていただきありがとうございます。

魔法での的当てを始めてから一年ほど月日が流れた。

俺は六歳になっていた。

子供にとっての一年は成長するには十分で身長も十センチ近く伸びた。

もちろん体力面でも同じことが言え、今までしんどかったものは楽にこなせるようになっている。

また変化が起きたのは俺だけでなく母さんにも変化が起きていた。

母さんのおなかのあたりが異常に膨らみ、歩くのも少しつらそうにしている。

それによくおなかをやさしくゆっくりと撫でている。

そう母さんのおなかの中には新しい命が宿っているのだ。

俺の弟か妹かのどちらかだ。


そんなわけで俺はしばらくの間、回復魔法以外のことを重点的に励んでいた。

母さんがこんな様子なので致し方ない。

まあ俺にとっては回復魔法より攻撃系の魔法や木刀を振り回している方が性に合っている気がする。

そのため回復魔法の教えてもらえないことには別に苦を感じることはなかった。

一方母さんは俺に回復魔法を教えられないことに不満があるそうだが、体調のこともあるので俺の方から丁重にお断りしている。

魔法での的当ての距離は一年間で五十メートルほどまでの距離なら的から外さずに当てれるようになっていた。

俺自身よくここまで成長できるとは思ってもいなかった。

今では火系統以外にもほかの系統の魔法でも同じように使いこなせるよう的当てを行っている。

さすがにミランダも得意の水系統の水のシールドが発動する的みたいに高度なものは作ることはできなかったが、練習する系統にあった魔法のシールドが展開する的を作ってくれ、俺の成長に一役かってくれている。

それにミランダは母さんが買ってくれた科学の本で分からないところがあるとすぐに教えてくれ、前からだが非常に頼りになる人だ。

それに美しい。

ウィンディアの村から一歩も出たことがないから分からないが、ここまで容姿が整って優しい人はそうそういないと考えている。

むしろいて欲しくないとさえ考えたりすることがある。

そんな人と今日は珍しく魔法の打ち合いを行っていた。

回避したりすると周りに迷惑をかけてしまう可能性があるのですべて防御しないといけないことになっていた。

俺が炎の槍を撃ち放つとミランダは水のシールドで防御し、そのまま水の弾丸を打ち込んでくる。

俺はそれを防ぐために風でシールドを作成し水の弾丸を防ぎ、その風を利用して風の斬撃を放つ。

それをミランダは土壁を構築し防ぐ。

といった感じで様々な手を使って攻撃したり防御したりしていた。

一年前なら順番にただ撃って防ぐといったものだが、今はいかにどの対処が優れているかというのを瞬時に頭で考え行動に移す瞬発力がカギになっていた。

もちろん対処を間違えば攻撃をもらうわけで、この点に関しては俺はまだまだミランダには及ばなかった。


「クソー! また負けた!」

「まあ当たり前です。私が今のレイに負けてしまうところを師匠に見られたりでもすれば叱責物ですからね。それに教え子にやすやすと負けるわけにはいきません」

「いや、そこは成長した教え子にたまには花を持たせたりするものじゃないの?」

「そんなことをすればレイがつけあがるだけですし。レイ自身も実力で勝たないと面白くないでしょう?」

「それはそうだけど……」


言い淀んでしまう。

ミランダの言う通り実力で勝たないと成長したとは思えないし、何よりミランダに認めてもらえない。

それだけは何とかして避けたいものだった。


「まあいずれはミランダにしっかりと勝つけどね」

「さてそれはいつになることやら」


そう言うと顔を見合わせ笑いあった。

一人は必ず超えてみせると胸に秘めて。

もう一人は自分を越えてくれることを願って。

二人の気持ちはある意味で同じところを向いていた。

それは青く澄んだ今の空の様に純粋な無垢な思いだった。

この後も今までと同様、父さんと剣の稽古だ。

体格も良くなったことで木刀を振るのにキレが増した。

しかし相手は剣聖と呼ばれた男。

少し切れが良くなったからとしても傷を一つでも付けられるようになったかと言えばそのようなことはない。

こちらも今まで同様、転げさせられる。

それでも少し成長したとすれば前より木刀を離さなくなったところか。

前より離さなくなったというだけで今のように離してしまうことも多々ある。


「おい、レイ。木刀を離すなと言っているだろ」

「ごめん……」

「何も謝れとは言ってない。ただ戦場ではどんなことが起こるか分からない。何か起こったその時、一つでも自分自身を守れる術が多い方が生き残れるチャンスが増える。だからこそ武器は手から離してはいけないのだ」

「はい」


返事をし木刀を拾い上げ再び立ち向かう。

父さんの言っていることは正しいのだろう。

いろんな死線を潜り抜け経験を積んでいった結果、剣聖と呼ばれるようになったのだから。

俺は本当に恵まれているのだろう。

ミランダは数多の誘いがあった実力のある魔法使いで、父さんは剣聖と呼ばれた剣士でその世界では最高峰の人だ。

そんな二人に教えてもらえるなどお金をふんだんに持っている貴族でも難しいだろう。

だが俺はそんな二人に指導してもらっている。

これで強くならない方がおかしい。

それよりも強くならないといけないという狭い世界でしか生きていない俺だがそう感じるようになっていた。

それになぜか鮮明に覚えているあの言葉も影響している。


最後まで読んでくださりありがとうございました。

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