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俺の幼馴染み10

 図書委員であるあの女子生徒、柊静音(ひいらぎしずね)さんと言って、頭が良いと有名な女子生徒で、名前と同じように物静かで大人しい性格をしており、尚且つあまり異性に接したことがないのか、挨拶をするだけで俺でさえも照れられた経験のあるのだからあの弘人に肩を掴まれ、顔を近づかれた状態で何かを頼まれればその頼みごとを断れることも出来るはずなく、照れないはずもない。

 女子から見て弘人は、顔もなかなか良く、性格も明るいし優しいと言う風に見えるんだろうと思う。

 本人は気づいてないけど先輩後輩からの人気もあり、弘人はモテモテだ。……他人の変化には良く気づく癖に自分の恋愛ごとにはかなり、鈍感だと言える。

 ……まあ? 俺も恋愛したことはないし、自分の感情を無意識のうちに見知らぬ振りをしてしまっていることを何度か弘人に、指摘されたことがあるから自覚しているけど……。


 と、思わず図書室の本棚の影に身を潜め、そっちに向かうタイミングを見計らっていると、柊先輩が肩を離して欲しいと言ったのか、恐らく謝っているんだろうな、ペコペコと頭を下げながら弘人は一メートルくらい先輩から離れた。

 図書室は静かに過ごすための空間であるため、読唇術を学んだ経験がない俺が口の動きだけで何を話しているのかわかるはずもなく、雰囲気的に今弘人の元に行くのが良いタイミングだろうと判断した俺は、さっきまでタイミングをうかがっていた当本人の元へと向かった。


「弘人、終わったから帰ろうぜ。柊先輩、弘人の相手をしていてくれてありがとうございました。これからも図書室へ来てたら、弘人に声を掛けてやって下さい。“僕”が部活をしている間、良かったら時々勉強を見てやって下さいね?」


 ――柊先輩と接すれば、少しは鈍感なのも良くなるだろう。とそう考えながら、そう言えば彼女は驚いたように僕の顔を見ていた。まるで何時から会話を聞いていたんだろうか? と探るような目をしてるし、さっき言っていたことは“勉強を教えて下さい”と頼んでいた可能性が一番高いってことだな。

 恐らく、弘人は柊先輩が頭が良いことで有名なのは知らないはず。近所のおばちゃん達と井戸端会議をするのは好きだが、この学校にある噂ごとには結構疎いところがあるのだ。

 まあ。そんなことより、先ほど一人称を「僕」に直して見たのだが、確かに長年「俺」と言ってきたから少しだけ違和感を感じたものの、あと約二年掛けて直していけば、「僕」と日常的に言うようになるのも違和感を感じなくなるだろうと思う。

 一人称を「僕」に直してみて、面接の時は特にパニックになっているだろうし、日頃から「僕」と言っていないと……、つい一人称を「俺」と言い質問に答えてしまうかもしれない。

 と、そう考えながら、何故か呆然と立ち尽くしている弘人の腕を掴み、引きずるように図書室から出たと同時に我に返ったのか、こう言っていた。


「顔を赤く染めるのってさ、怒っている時だけじゃなく照れている時もそうなるんだな。……初めて気がついた」


 そう呟く弘人。

 そんな弘人に違和感を感じながら、お前は今まで少女漫画の何を読んでいたんだと考えつつも、ここでそう思ったことを口を出してはいけないような気がして、自分の勘を信じて内心で思っていたことを声には出さす、別のことを言う。


「……家にある少女漫画でも読み返して見れば? お前、似たような類いの少女漫画ばかり読んでたからな、休日本屋でも行こう。今週は用事はないしな」

「……ありがとう」


 弘人の心情に変化があったのは言葉として聞かなくても、たくさんの心配をかけたが長年幼馴染みだったんだ、その変化に気づかないはずがないだろう?

 僕に出来ることだったら、時には遠目で見守ったりするかもしれないけど、弘人の悩んでいることの相談に乗るくらいだったら、何時だってするさ。


 その日の夜。

 弘人の変化について、弘人がいつも通り僕の部屋に納得するまで居座り、流石に家へと帰った後に泉堂さんにメールをすれば、一時間経った後、……こう返信が返ってきていた。

『弘人くんも着々と大人になってきているね。彼、今でもカッコいいからきっとタキシードも似合うだろうなぁ。あっ、伊吹くん言っておいてね、結婚式挙げるんだった呼んでねって』

 と、気が早いなって思うような内容で、僕は思わず吹き出してしまった。


 そのあと、

『わかりました。ちゃんと弘人に言っておきます。でも、泉堂さんってば気が早いですよ。僕達はまだ中学生なんですから、まだ結婚は出来ませんしね〜』

 と、そう泉堂さんにメールで返信をした後、眠りについたのだった。



 次話から、主人公の一人称は『僕』になります。よろしくお願いします。

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