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48歳バツイチ占い師、異世界の貧乏士族の倅になる ~占いを当てるほど強くなる16歳の成り上がり~  作者: ひまえび
第二章――「王都の寵児」

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第5話(中編)――「鉄と石炭を掘れ」

 石段を下りた先は、上の区画より空気が冷たかった。


 迷宮には階数を示す表示などないため、レオンたちは入口から続く区画を地下1階、石段を下りた先を地下2階と呼び、地図にもそのように記録した。


 【探索Ⅰ】を得たことで、周囲の痕跡を判断しやすくなっている。壁の爪痕や床の足跡から魔物が頻繁に通る場所を避けられ、埃の積もり方を見れば、長く大きなものが通っていない場所もある程度分かった。


 地下2階へ入って間もなく、鉱山技師の弟子が岩壁を見て立ち止まった。


「レオン様、ここを見てください」


 松明を近づけると、岩の中に赤茶色の筋が続いている。


「地表で拾った石と同じ物ですか?」


「おそらく同じです。表面を少し削ります」


 槌と鉄製の道具を使って岩を割ると、表面だけでなく内部にも同じ色が続いていた。


「鉄を含む鉱石です。地表にあった物より状態もよい。この筋がどこまで続いているかは調べる必要がありますが、採掘する価値はありそうです」


「今日は場所を記録しておきましょう。量を調べるのは帰りでもできます」


 一行はさらに進んだ。


 今度は岩壁に黒い層が現れた。


 技師の弟子が欠片を削り、性質を確かめる。


「石炭です。しかも表面だけではなく、ある程度の厚さで続いています」


 鉄鉱石に続いて石炭まで地下2階で見つかった。


 地上には森林があるため薪には困らない。しかし鉄を作るための燃料まで木材に頼れば、製鉄を増やすほど森林を削ることになる。石炭を利用できれば、木材を別の用途へ回しながら鍛冶や製鉄を広げられる。


「鉄鉱石と石炭が近い場所で採れるなら、かなり便利ですね」


「問題は運び出す方法でしょう。今の通路では、人が籠を背負って何度も往復することになります」


 レオンも同じことを考えていた。


 そこで、地下2階から継続して鉱石を採り出した場合の未来を占った。


 最初に見えたのは、鉱石を籠へ入れ、人が背負って入口まで運ぶ姿だった。採掘量そのものは確保できるが、運搬に人手と時間が掛かりすぎている。


 別の光景では通路の一部が削られ、幅が広くなっていた。木製の小さな台車へ鉱石を積み、数人で入口方向へ押している。途中には木材で天井を補強した場所や、一時的に鉱石を置く場所も作られていた。


 こちらの方が、同じ人数ではるかに多く運べる。


 占いを終えたレオンは、技師の弟子へ地図を見せた。


「採掘するなら、人が籠を背負うだけでは追いつきません。この区間を台車が通れる幅まで広げられますか?」


「この辺りの岩なら可能だと思います。支柱を入れる場所を決めてから掘れば、通路も広げられるでしょう」


「では、今日は鉱脈がどこまで続いているかだけ少し確かめてください」


 技師の弟子と兵が、露出している部分から数か所を選んで表面を掘った。


 赤茶色の鉱石は一か所だけではなく、通路の先でも岩の中へ続いていた。石炭の層も同様である。


 占いで見たとおり、この場所は少量の石を拾って終わる場所ではなかった。


 確認を終えたところで、レオンの視界へ文字が現れた。


《占術が的中しました》

《天命が1つ満たされました》

《身体適応が進みます》

《能力【採鉱Ⅰ】を獲得しました》


 新しい能力を得ると、鉱石の筋がどちらへ続きそうか、岩の割れ目がどこにあり、どの方向から掘れば崩れやすいかといった点に自然と目が向くようになった。


 もちろん、長年鉱山を見てきた技師の知識に及ぶわけではない。それでも専門家へ何を確認すべきか、自分でも判断できることが増えている。


「鉄と石炭は採れそうですね」


「正確な埋蔵量は調べなければなりませんが、小さな鍛冶場で使う程度よりは多いでしょう」


 レオンは地図へ鉄鉱石と石炭の場所を書き込んだ。


 迷宮へ入ってから、まだ半日も経っていない。


「今日は地下3階まで調べたら戻ります。鉄と石炭だけでも十分な成果ですから、予定以上に奥へ行く必要はありません」


「魔物が逃げても追わないという方針も変えませんか?」


 隊長の確認に、レオンは頷いた。


「変えません。鉱石を見つけた日に兵を何人も失ったのでは、儲けるために来た意味がないでしょう」


 さらに下へ続く石段からは、岩ばかりだった上の階とは違い、湿った土と草に似た匂いが流れてきていた。

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