表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕だけが知る彼の裏側〜距離感ゼロの王子様  作者: 水波瀬 凪
距離感ゼロのふたり〜続編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/11

【続編1話目】僕が熱を出した日

えーっと。

突然、続きが書きたくなり、続編を書きました!

完結させたので、続けて投稿していきます。

10話あるかな?


一応、つきあったふたり。

恋人同士らしいところまで書いてみたので、読んでくださると嬉しいです

その日は部活の当番で、文章を書くのが苦手な僕は、部活日誌を前に、今日の出来事を必死に記入していた。


「そんなの、テキトーでいいんだよ、悠人。今日は平和でしたって書いとけよ」


一緒に帰るために待っていてくれている長瀬瑞樹は、壁を背にして足を投げ出して座っている。


「テキトーって……」


そう言われても、適当に出来ない僕は、適当になんか、書けない。


パラパラと日誌をめくり、瑞樹が当番の日の記録を見ると、確かに適当に書かれていた。


すべての項目に「異常なし」と書いてあり、日記には「楽しかった」とあった。


「ほら、貸してみろ」


瑞樹は立って僕のそばまで来ると、僕の右手に握られた鉛筆を取り上げる。


そして、すらすらと「平和でした」と書いてしまった。


「はい、終わり。帰ろうぜ」


瑞樹が書いたってばれないかな、とドキドキした。


「そんな顔しなくても平気だってば。ったく悠人は真面目なんだからー」


瑞樹は日誌を所定の位置に置くと、僕の肩に腕を回す。


「ホントに悠人くんは、手がかかりますねー」


ちょっとだけバカにしたように言われるが、瑞樹に悪意はないって分かっているから、僕も笑って返した。


「悠人」


肩を抱かれたまま、瑞樹に顔を覗き込まれる。


目が妙にマジで、僕はドキンとした。


「俺、悠人が好きだよ。悠人は?」


「僕もだよ。僕も瑞樹が好き」


瑞樹の顔が、僕の視界を塞いだ、と思ったら唇にふわっとしたものが触れた。


そう。僕と瑞樹は恋人同士なのだ。


みんなは仲がいい親友同士だと思っているようだけれど、正真正銘の恋人同士だ。


友情が、愛情に変わったのが半月前。


僕と瑞樹は、晴れて恋人同士になったわけだが、僕はまだ触られることに戸惑いを覚える。


瑞樹とのキスにはずいぶん慣れたけれど、それ以上を考えたとき、僕の体に緊張が走る。


それは瑞樹にも伝わっているから、僕の気持ちが許すまで待っててくれている。






「ごめん、瑞樹。せっかく……」


今日は日曜日だ。晴れたらプールに行こうって言っていたのに、僕ったら熱なんか出してしまった。


窓から降り注ぐ太陽のキラキラが、眩しすぎて悲しい。


「いいよ。プールは逃げない」


僕からの電話を受けた瑞樹は、心配してお見舞いに来てくれた。


瑞樹は僕の額に手を当てる。


「高そうだな、熱。苦しいか?」


ここ最近、熱なんか出していなかった。慣れない高熱に、僕の体は着いて行けず、動けなくなっている。


「悠人、具合どう?」


母さんが、おかゆを作って持って来てくれたけど、見るのもツライ。


ましてや口に入れたら吐いてしまいかねないくらい、気持ちが悪かった。


吐いたら申し訳ないので、絶対食べられない。


「悠人、病院に行かなくても平気?」


「うん。今日は日曜だし、様子をみる……。明日も下がらなかったら、病院に行く」


結局僕は、瑞樹が持ってきてくれたはちみつレモンジュースを少し飲んで、市販の薬を飲んだ。そのおかげか、夕方には少し、体が楽になった。


「お兄ちゃん、大丈夫?」


部屋のドアから顔を覗かせて、僕の妹、優菜が言った。


「優菜、久しぶり」


瑞樹が優菜に挨拶した。


「ホント久しぶりね。瑞樹くん、ちっともうちには来ないから」


「そうだっけな。けどいいじゃん、今来てるんだしさ」


妹と言っても、僕とは双子の妹だから、瑞樹とも学年は同じ。


優菜は女子校を受験したので、高校は分かれてしまったが、中学の頃は、三人で遊ぶ事も良くあった。


中学を卒業して以来だから、瑞樹と優菜が会うのは一年と四ヶ月ぶりくらいかな。


「それにしても優菜、小さくなってね?」


瑞樹がニヤニヤして優菜をからかう。


「瑞樹くんが大きくなったからでしょう」


「悠人も小さいけど、優菜はもっと小さいな」


可愛い可愛いと言って、瑞樹が優菜の頭を撫でる。


その行為に胸がチクッと痛んだ。


僕と優菜は、一卵性の双子だから、顔が似ている。


僕のことを可愛いって言ってくれる瑞樹が、優菜を可愛いと思ったって不思議じゃない。


瑞樹は、女の子とほとんどしゃべらないけれど、優菜とは昔から結構しゃべる。


それは、僕の妹だから? それとも優菜に好意を持っているからだろうか。


……やだな、僕、何考えてるんだろう。


優菜はずっと僕の部屋にいて、僕が寝ているベッドのそばで瑞樹と楽しそうにしゃべっていた。


そしてようやく優菜が腰を上げたのは、夕飯が出来たと母が呼んでからだった。


「良かったら瑞樹くんも一緒に食べない?」


優菜と母に誘われて、瑞樹は嬉しそうに応じた。


食欲もないし、起きるのも面倒だった僕は、そのままベッドに潜り込んだ。


「じゃあ、悠人。俺、ちょっと食ってくるから、いい子で寝てろよ」


僕の心配なんか気にも止めない様子で、爽やかに僕に微笑むと、ひらひらと手を振って行ってしまった。


出会った頃は同じくらいの背丈だったのに、最近の瑞樹は僕より八センチも背が伸びて、綺麗なだけじゃなく、男らしい雰囲気がプラスされて来たように感じる。


僕の背は、中二で止まったままだ。ちょっとずつ大きくなって行く瑞樹を見て、焦って僕は、嫌いな牛乳を毎日たくさん飲んでいた。


けれど背が伸びるどころか、逆にお腹を壊してしまい、体重が二キロも減ったことがある。


「いつか瑞樹に追いついて追い越してやる」


以前はそう思っていたけれど、今はそんなのどうでも良かった。


あんまり大きくなって、可愛くないって言われても嫌だもんな。


「はあ……」


ため息をついて、スマホを眺めた。


瑞樹が、なかなか帰って来なくて、僕は不安になった。


ご飯を食べるのなんか二十分もあれば余裕なのに、瑞樹が出て行ってから、もうかれこれ一時間は過ぎている。


優菜とまた楽しそうにしゃべってるんだ、きっと。


心配し始めたらきりがなかった。僕の思考は乱れっぱなし。 


それからほんの五分くらい後に、瑞樹が戻ってきたけれど、僕は不機嫌だった。


「悠人、少しくらい食べねーと、良くなんねーぞ」


瑞樹が、母さんから預かって来たと言うスイカをスプーンで口元に運んでくれるけれど、僕は口を固く閉じて、首を左右に振った。


まったく食欲がなかった。


それは熱のせいばかりじゃない。


「大丈夫かよ、悠人」


手を伸ばしたら、ちゃんと握ってくれる。僕に笑いかける顔もちゃんと優しいのに、どうしてか不安がどんどん大きくなる。


独占欲と嫉妬。


だってしょうがないじゃないか。


僕は瑞樹が好きなんだ。


僕は瑞樹が大好きなんだから。


「明日、病院に行こう。俺、学校休んで、付き添ってやるから」


手を握ったまま、瑞樹は反対の手で僕の頭を撫でてくれる。


「瑞樹……」


呼ぶと、瑞樹が「なに?」と笑顔で返してくれる。


「瑞樹が……好き」


「俺もだよ」


好きだよって言って、軽くキスもしてくれる。


こんなにちゃんと優しいのに、疑うなんて変だ。きっと熱のせいだ。


熱が高くてきっと頭がどうにかなっちゃったんだ。



翌日病院に行った僕の風邪は、夏風邪と診断された。


四日分の薬をもらって病院を出ると、着いてきてくれた瑞樹が、僕を自転車に乗せる。


「僕、瑞樹のうちに行きたい……」


「俺んち?」


だって離れたくないんだ。


「自分のベッドの方がゆっくりできるだろ。それに俺の家、誰もいねーし、悠人を一人にしとくの心配だ」


瑞樹は、今から学校に行くから、と言った。


瑞樹のお父さんもお母さんも、仕事でいない。


今日は瑞樹が看病してくれるもんだとばかり思っていた僕は、甘えすぎだよな、と反省した。


瑞樹の家に病気の僕がいたら、瑞樹の両親が帰ってきたとき、きっと迷惑だ。


そんなことを今頃気付くなんて、本当にバカだ。


 


それからすぐ、僕の熱は、病院の薬のおかげですぐに下がった。


汗をたくさんかいて、濡れてしまったパジャマを着替えると、身も心もスッキリした。


放課後、また瑞樹はお見舞いに来てくれたけれど、ちょうど同じ頃に帰って来た優菜も、僕の部屋に居座っているから、瑞樹と全然しゃべれない。


昨日のように、優菜に瑞樹を独占されている。


瑞樹も優菜と楽しそうに笑い合っている。


時々、優菜が「やだー」とか言って瑞樹を軽く叩くのが、嫌だ。


僕の瑞樹に気安く触るなよ。


心の中でしか言えない自分が嫌だ。


こんな風に嫉妬してしまう自分が、すごく嫌だった。


これ以上見ていると、どうにかなりそうなので、僕はトイレに行くふりをして、ベッドを抜けた。


階下に下りていくと、ちょうど玄関のチャイムが鳴った。


インターホンを取ると


「木原と申しますが、悠人くんの……」


と、僕の所属するテニス部の先輩の声が聞こえた。


「あ、僕です」


すぐに言ってから、玄関に出た。


「なんだ、元気そうじゃないか」


木原先輩は、僕に見舞いだと言ってコンビニの袋を差し出した。


中には、アイスクリームやフルーツゼリーなどがいくつか入っている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ