第二話「バレてる」
付き合って二週間が経った。
ユキとは週に一回か二回、会うようになっていた。近所のカフェ、公園、たまに少し遠くまで。特別なことは何もしていないのに、なぜか毎回アキは帰り道に疲れていた。疲れているのに、また会いたかった。
その日はユキの部屋で映画を観ていた。ユキが選んだやつで、アキの趣味じゃなかった。登場人物が全員すれ違い続ける、じれったい系のやつ。
「面白い?」
映画の途中でユキが聞いてきた。
アキは即座に「面白いよ」と言おうとした。いつものやつだ。相手が見たいと選んだものを否定する必要はない、面白いと言っておけばいい。
でも口から出てきたのは、
「……登場人物、全員もうちょっと素直になればいいのにとは思う」
だった。
ユキが笑った。
「正直じゃん」
「いや、面白いよ、ちゃんと」
「でも素直になれよって思ってるんでしょ」
「……まあ」
ユキはリモコンで一時停止を押した。アキを見た。
「アキって、気を使うの得意だよね」
「そうか?」
「うん。でも私には結構ボロ出るよね」
アキは少し固まった。
「そんなことないだろ」
「今も否定したけど、声が一瞬遅かった」
ユキはそれだけ言って、再生ボタンを押した。何事もなかったように映画の続きを観始めた。
アキは画面を見ながら、さっきの「声が一瞬遅かった」という言葉を反芻していた。
見られていた。しかも正確に。
じれったい系の映画が、少し他人事じゃなくなってきた。




