29.初めての感情
【咲】(22才)
親の愛情に飢えている中、
全力で今を生きている
自尊心が低く、おとなしい、
幼少期の虐待で、心が酷く病んでいる
愛する人のためなら、何でもしようとする
【音】(25才)
母子家庭で、育つ
母親が精神病を患っていた為、
困っている人が居ると、ほっとけない、
優しい性格。自身と同じく孤独なサクに興味を抱く
あのあと、泣いて嫌がるサクに、だんだん冷めてくる。私の事考えてないなって...
「オトと一緒に居たい」ぐずって泣き、駄々をこねるサク。いつもなら、可愛いな。と心境が変わる。
「ギューしてよ」する気にもならないくらい、呆れて言葉にならない。やっぱり、私の事好きじゃないんだ。口先だけの軽い男で、遊ばれてるんだなって。家に泣きながら帰って行くサクの後ろ姿と、何度も私の顔を見て、悲しそうな、物欲しそうな顔をする。わかってほしい...って言う悲しく、赤子のような目をする。私は心を鬼にして、歩き、泣きながら家に帰った。辛くて溜まらなかった。母と久しぶりに、会おうと思っていたが、その感情も薄れた。私の事を本気で愛してくれる人など居ないって。その夜涙が枯れる程外で普段飲まないお酒を飲み、泣いて泣いて、泣いた。
気がつくと、倒れて道端で、寝ていた。私が唯一心を許したお姉さんの家の近くで、倒れていた。そして、歌っていたと言われた。すぐに、謝って「ごめんなさい」と謝った。目を開けると警察官が立っていた。
「大丈夫?かなり酔ってるね。近くの人から、通報があって、きたの。夜中に歌ってる人が居るって」
「ごめんなさい。ちょっと彼氏と色々あって...」
「彼氏って、今おうちに居るの?」
笑いながら、「居ないです」。
「免許証か、身分がわかるのはある?」
素直に、警察官に手渡す私に、優しい対応に変わる若い(20代)警察官。サクとは、全然違うことに又傷つく。きっと、サクと同じくらいの年齢だろう。しっかりしていて、この人いいなと感じてしまう。そして、無性に今の心の穴を埋めたくて、甘えたくなる。サクには甘えたいなど思わなかった。一ミリも。諦めてたから。でも、少しはあった。甘えたいなって。でも、サクを守りたかった。愛してあげたかった。幸せになってほしかった。心の底から、好きだったから。初めて、本気でサクに恋をしたから。
「帰ろうか。送ってくよ」その言葉に「手繋いでいいですか?」と聞いてしまう。「ダメ」仕事でやってると気づいた私は、警察官に又傷つき、下を向き少し大丈夫なふりをする。「じゃあ手首はいい?」と話すと「それはいいよ」と私を見る。恥ずかしすぎて、顔を上にあげれない。そして又警察官に甘えたくなる。
一緒に、家までフラフラで、歩きその度に、優しく支えてくれる。こんなふうに、されたかったな。と暗くなる。警察官に寄り添い、わざとに困らせる演技をした。でも、又優しくしてくれる。気を許した私は、全身を警察官の肩に、もたれながら歩いた。
幸せだった。階段から落ちそうになり、手を貸すよと言われたが「いや、いい。自分で歩ける」と言いきる。家まで入り、鍵を閉めるとそのまま、崩れ落ちるように、寝た。頭の中がグルグルグルグル回り、気持ち良かった。涙が頬を再びつたう。もぅ、終わりにしよう。サクの事は、大好きで、大好きで溜まらなかった。自分の人生を捧げるくらい、好きになってしまった。でも、無理だ。お互いに一緒に居ると傷つけ合う。まるで、同じ物同士が、ボロボロになりながら、同じく餓えた愛情を埋め合う。私とは反対の性別が、鏡に写って、泣き合いながら、傷つけ合い石どうしが、カチンカチンと音を立てては、又捨てられどんどん傷ついていき遠くに気持ちが、跳ぶような感覚。もぅ会わない。連絡先も切る。そう心に決めた夜だった。自分が凄くバカらしく感じた。メールがきても、返信しない。さよなら。サク...これ以上は無理なの。ごめんなさい。私のわがままだよね。でも、サクには幸せになってもらいたいから、最後に話したかったけど、胸が苦しくて言えない。泣きながら電話で、頑張って話した。「幸せになってね。サク。一ノ瀬咲」ボロボロ泣きながら、電話を切った。サクもすごく泣いていた。サクの意見も聞かずに....私は最後まで、ずるかった。最低な人間だ。
ありがとう。咲 音より
切ないですね。このエピソード29は100%実話です。
恋愛って、うまくいかないですね。




