第三回Gクラス課外授業:王都夏至際の警備 1日目 警備中
警備を開始してから少しして、王都上空に国王陛下の幻影が投影される。
「これより王都夏至際の開始を宣言する。皆のもこれからの三日間、飲んで食べて騒ごうではないか」
国王陛下の宣言により王都夏至際が始まった。
イセリアたちも警備を開始する。
まずイセリアがしたのはアベルトとジークフリートともに呉服屋を訪れのだった。
これに二人は反発する。
「我々の仕事は夏至祭の警備することではないのか!」
イセリアは二人を見てため息をつく。
「二人ともその服装で本当に一般人に溶け込めると本当に思っているのか?」
イセリアの問いに二人は自分の服装を見る。
二人は周りにいる人たちと自分たちの服装を見比べる。
そして、自分たちの服装では周りに溶け込めないことを理解した。
「わかったか、お前たちの服装はどう見たって貴族がお忍びで下に降りてきているようにしか見えないんだ。だから服装を変える。特に事件が起きるのは商業区とか人が多く集まる場所が多い。まぁ、貴族街で祭りにより人々が浮かれているところいる隙をついて犯罪の裏取引などありそうだが、そちらは我々の管轄外だから気にしなくていい」
「裏取引だと!誰がそんなことしているんだ」
「知らない。そもそもこれは違う世界で得た経験から言っているだけだからあまり気にすることはない。それに裏取引の現場の差し押さえなど臨時の警備員である私たちがすることじゃない。私たちがするのは警備だ。犯罪を取り締まるのは領分ではない」
「だがしかし」
「だがしかしも駄菓子でもない。下手に私たちが管轄外のことをやってみろ迷惑を被るのはその裏取引を追っていた人たちだ。私たちが下手に介入して裏取引の現場などは偶然そこに居合わせた時の現行犯でもない限り関わらない方がいい。わざと見逃して裏取引をしているやつらを泳がせるのも一つの手だけど・・・。今、思えば話がそれた。お前らの服を買うぞ」
二人は黙ってはいるが裏取引の話をされて何か考えている。
だが、今すべきことは裏取引の現場を差し押さえるのではなく、王都夏至祭の警備である。
「二人とも考え込んでいる暇があったら服を選んでくれ」
考え込んでいる二人にイセリアは服を選ぶようにいう。
二人は考えながら服を選ぶ。
二人が選んできた服を見たイセリアは頭を悩ます。
それはなぜこのようなところにはおいていないと思っていた服だからだ。
「なぜこの服屋に貴族が着る服が置いてあるんだ。それに着替えても意味がないだろ!」
「他のものなんて汚そうに見えてアベルト様に着させるわけにはいかないだろ」
「それは店にそしてデザイナーの方々にも失礼だ!選びなおせ!」
二人は服を選びなおして行く。
それから何度もイセリアは二人が持ってきた服をチェックするたびにため息を吐き出す。
イセリアは二人を見かねて最終的には自分で選ぶことにした。
アベルトとジークフリートはイセリアが選んだ服を着ながらぶつくさ言いながら本格的に警備を開始する。
やることは掏りや泥棒、迷惑行為をしている人たちをとらえて衛兵に連絡したり、喧嘩の仲裁したり、近隣住民から話を聞いて何かなかったか、怪しい人物がいなかったか聞い周る。
イセリアたちが警備を本格的に開始してからいまだに犯罪は何一つとして起きていない。
「何も起こらないな」
「殿下、何も起きないとはいいことではないですか。それだけ平和ということですから」
そうアベルトは愚痴りながら何か起きていない周りの人たちにばれないように注意深く観察する。
そこでイセリアに一本の通信が入る。
通信相手はユーリからで内容はイセリアたちに地下水道に消えた女性の捜索を手伝ってほしいとのこと。
ユーリの担当区の人が共同不振に周りばかり気にしている女性を見かけ、その人が声をかけたら奇声を上げて地下水道の出入り口へと走り出し行方をくらませたという。
その人は衛兵にそのことを話そうとして衛兵を探していたところに偶然、ユーリたちがその人のもとへとやってきた。
ユーリたちはその人から話を聞き地下水道へと向かい、地下水道に入ろうしたところを止められる。
ユーリの班の先輩が地下水道は入り組んでおり、中には魔物がいるかもしれないとのことでイセリアに応援を呼ぶようにユーリに要請したとのこと。
イセリアたちはユーリたちのもとに向かっている際に祭りの実行委員会に連絡を取り地下水道で催し物がやってなかった確認を取る。
委員会からは地下水道では何も催し物はやっていないとの返答を受ける。
イセリアは急ぐためアベルトを抱え上げ、ジークフリートに自分の首元に腕を回させユーリたちのもとへと飛ぶ。
建物の屋根を飛び回ってユーリたちのもとへ、イセリアは行く。
何事もなくイセリアはユーリたちのもとへと合流するが、イセリアにつかまっていた二人は怖い思いをしたのか疲弊していた。
そんな二人にイセリアは追い打ちをかけるがごとくだらしがないと罵る。
二人は言い返そうするが、今は地下水道に降りていった女性を探すのが先と思い。何も言わず、文句は胸の内にしまった。
イセリアとしては文句を言ってこないことに拍子抜けしたがやることがあるので二人はそれを優先したと考えた。
「連絡を受けてすぐにやってまいりました。イセリアです。私たちがここに着くまでに何か変わったことはありませんでしたか」
イセリアはアベルトとジークフリートの息が整うまでの間にユーリたちのリーダーに情報を求める。
「このパーティのリーダーをしている。ギーベンという。後輩、君の力には大いに期待している。他のパーティや衛兵たちにも連絡を取り、女性を保護するために複数のパーティが地下水道に入ることが決まった。
自分たちはまだ到着していない衛兵一人を待ち、来次第ここの入り口から地下水道に降りて女性を捜索する」
「別のパーティもここの入り口から?」
「いや、別のパーティが別の入口から地下水道に降りて捜索することになっている」
「衛兵を待つのか、なぜ?」
「衛兵の方は地下水道の地図を持っている。地下水道は入り組んでいるから地図が必要なんだ」
「地図待ちか。地図が必要なほどって、どれくらい入り組んでいるんだよ・・・」
「わからん。地図が来るまでここで待機だ。急かしたのに悪いな。こちらはこうまで早く来るとは思わなかったからな」
イセリアはさっきいた場所とここの距離を考えて乾いた笑いがでた。
急ぐ必要性があったために屋根を飛び回ってここに来るのではなく普通に地上を歩いていけばよかったと思った。
イセリアが到着してから少ししてから衛兵は地図をもってやってきた。
この時にはアベルトとジークフリートは息を整えていてすぐにでも降りられる状態になっている。
衛兵が持ってきた地図を見ると、ここから降りてすぐに三方向に分かれるようになっていて別れた通路の途中に小さな部屋があるのが確認できる。
そこで衛兵を含めた9人で3人1組のパーティを作り直し、女性を追いかけることになった。
パーティリーダーは衛兵とギーベン、戦い慣れしているイセリアが選ばれた。
イセリアのパーティはさっきと同じではなくジークフリートが抜けてユーリが入ることになった。
イセリアはパーティを変更する必要性があるのか聞くと衛兵は王族を一つにまとめておいた方がいいという。
イセリアは、ならば自分が抜けてユーリ、アベルト、ジークフリートでパーティを組めばいいと思うが、ユーリはともかくアベルト、ジークフリートは戦い慣れしていない。
二人は強さもそうだが戦い慣れしていないことから戦闘に陥った時にどう動くかわからないため、不安定要素はなるべく少なくしようと考えられた結果だろう。
衛兵はジークフリートを引き受け、王族一つの個所に集めるのと戦い慣れしていてどんな状態でもフォローが可能なイセリアにアベルトがあてがわれたと考えるべきだろう。
パーティが決まったところで衛兵班、イセリア班、ギーベン班と地下水道へと降りていき、女性の探索を開始した。




