第二回一年生Gクラス課外授業:『帰り』
一年生一同は午前中は課題に取り組んだ。
午後からは二日半の道のりを経て学園へと帰る。
学園に帰る際のトラックの運転はコンゴウ先生が務めるはずだった。
コンゴウ先生は二日酔いで倒れている時にイセリアのポーションだけではなく、宿屋の人の善意で出された酒を飲んでしまった。
そのことをコンゴウ先生から聞いたイセリアはコンゴウ先生のトラックの運転をやめさせる。
コンゴウ先生を飲酒運転させないために帰りはイセリアが運転することになろうとしていた。
しかし、コンゴウ先生がイセリアに運転させることに拒否を示した。
コンゴウ先生曰く、イセリアは行きの時にすでに魔猪と事故を起こしているので、また事故を起こすのではないかと危惧していた。
そこで別の誰かと言うことになるのだが、今回ついてきた研究員は車を運転できないと主張して運転を拒否する。
研究員の主張はここに居るイセリアとコンゴウ先生以外全員に当てはまる。
誰もが未経験の状態で二日半の道のりを使って学園に戻らなければならない。
と言っても半日走るだけでコンゴウ先生からアルコールが抜けると思われるので半日間誰かが運転すればいいだけである。
「たった半日運転するだけだど誰か運転する気ない?」
イセリアが運転する人がいないかと声をかける。
そこで手を挙げたのが
「私運転しますわ。コンゴウ先生は隣で指示をイセリアは屋根の上で警戒をお願いしますわ」
イセリナがトラックを運転すると名乗り出た。
イセリナは運転中はコンゴウ先生からの指示に従いつつイセリアに周辺の警戒を頼む。
イセリナ以外でトラックを運転する気があるやつはいないか聞くが今度はユーリとジークリンデが立候補する。
「ユーリは運転以前にこれ動かせないから無理だろ」
「何故ですか」
「思い出せユーリ、この世界には神霊力に対応したものは私か師匠たちが関連した物しかないんだ。ヴォルフガング博士が改造したとはいえこれを動かすには魔力が必要というところは変わっていないんだ。今は諦めろ」
ユーリは不満そうな顔をしてイセリアの言葉に従いトラックの運転は今回は諦めた。
しかし、ユーリの目にはチャンスがあればものにする気満々だった。
コンゴウ先生は二人のどちらかに運転を任せようとする。
ここでイセリアは二人に運転させてはどうか提案する。
最初の運転は緊張のあまり下手に体に力が入って疲れるので交替で運転させようとする。
コンゴウ先生は初めての運転の時を思い出したのかイセリアの提案に乗った。
帰り運転はイセリナとジークリンデに決まった。
二人はコンゴウ先生の指示の元、交替しながらトラックを運転して宿泊予定の施設へと無事運転することができた。
「無事、着いたな」
「何度か事故りかけたけど、イセリアのおかげで事故にならなくてよかった」
「今日はここに泊まって、明日の朝、すぐに出発するぞ。それまでは自由行動にする。以上解散」
イセリナとジークリンデは今日の運転でひどく疲れているためにすぐに宿に入って与えられた部屋には入れ次第、すぐに眠りについた。
イセリア以外は二人の運転に振り回されて疲れいる。
二人とは違いすぐには眠りにはつかなかったが夕食を食べた後、部屋に戻ってすぐに眠りついた。
残ったイセリアは紙に二人の運転の評価を書いていた。
イセリアが二人に下した評価は初めての運転にしてはよくできていたと評価した。
(今後はちゃんと車のことを理解して練習し自信をつけていけばいいだろう。これは明日の朝、二人に渡すとしよう。さて私は不穏な気配を放っている奴らの相手でもしているか)
イセリアは宿を出て人がいなさそうな場所へ向かって行く。
不穏な気配を放っている奴らは隠れながらイセリアについていく、自分たちがすでにイセリアに見つかっていることも気づかずに。
そして、イセリアは周辺に不穏な気配を放っている奴ら以外人がいないことを確かめるとすぐに行動に出た。
「さて隠れてないでそろそろ出てきたらどうだ。私に何か用なのだろう。だからずっと私を監視していた違うか」
イセリアの問いに誰も答えず誰も出てこない。
「そっちその気なら私のやることは・・・、まず一人」
物陰に隠れていた人物は監視対象のイセリアが突如いなくなり目の前に現れたことに驚く。
イセリアはその者に腹に一撃を加えて気絶させる。
腹に一撃を加えた奴の仲間と思わしき者が最初の物を助けようとすぐにイセリアへ攻撃する。
イセリアは少しずれて回避して蹴りを入れてそいつ沈める。
「二人目、弱いな」
残りも難なく倒してイセリアはそいつらに自分を尾行してきたのかを聞く。
しかし、その者たちは答えようとしない。
それどころか何かに怯えるように体を震わせていた。
(何か呪いでもかけられているのか、さてなんだ)
イセリアはここに居る六人に呪いがかけられていないかを調べる。
そして、六人全員に呪いがかけられていた。
(何かしら喋ったら発動してしまう呪いかなら解呪するればはなしてくれるか)
あっという間に解呪してから同じ質問を六人に聞く。
帰ってきた答えは
「私が今日手に入れた魔猪の“宝”だぁ!なぜあれを必要としている。あれはお前たちが持っていても使えないぞ」
「俺たちは貴族に雇われたんだ。夜遅くに忍び込んで“宝”を奪えと命令されたんだ」
「結果は御覧のあり様か、今度はなぜ貴族がこれを欲したかわかるか?」
イセリアは次元倉庫からハイパードライブ・コアを取り出して相手に見せる。
しかし、帰ってきた答えはわかりやすく予想していた通りだった。
「そんなの俺たちが知る訳ないだろ」
「ですよね~」
イセリアはその者たち解放して宿へと戻っていく。
そして、宿に戻ったとき、宿の出入り口でギルドで会った貴族がいた。
宿の前にいるせいでイセリアは宿の中に入れない状態になった。
「またお会いしましたね。ギルドでの続きと参りましょうか」
「ごめん被る。トゥルッフの“宝”を手放す気はありません。それどころか私が使います。あなたにお譲りする気はありません」
「あれの価値をあなたは分かっていません。あれは私のような貴族が持つにふさわしいのですよ」
「私はハイパードライブ・コアの価値を分かっていますよ。本当にわかっていないのは貴族様あなたではないのですか」
「何をいうのかと思えば馬鹿馬鹿しいですね」
「ではあなた様が思っている。あれの価値をおっしゃってもらってよろしいでしょうか」
「よろしいでしょう。あれほど見事な宝石はどこを探しても見当たりません。私のようなコレクターでなければ真の価値を見分けることができないのですよ。ただの学生のあなたとは違ってね」
貴族はイセリアを諭すように喋る。
イセリアにとってはコレクターだから欲しいと言う理由では譲るには値しない。
「寝言は寝て言え。このハイパードライブ・コアはかつて機動兵器の動力機関として使われていた物だ。歴史的価値ならあるが宝石としての価値は皆無だ。それにこれは一歩間違えればこの国を消滅させることができるエネルギーを生み出すことができるそんな代物だ。価値を云々いう前に危険性ぐらい知っとけ。すべてを知ってから価値云々言いやがれ!」
貴族はイセリアの言葉使いの変わりように驚き。
さらに貴族の目は節穴だと言ってのけられた。
そのせいか頭に来たのとイセリアが譲らないのを確信し、交渉ではなく別の手に変える。
「よろしい。譲らないのであれば別の手を取らざる得ない」
「別の手・・・、つまりは強奪か、馬鹿らしい。来やがれ!野郎ども!」
(さっきは貴族が雇った盗賊、今度は貴族の私兵、そんなにハイパードライブ・コアが欲しいのか?まぁ、こちらはくれてやる気はないんだけどな)
貴族の私兵はさっきの盗賊の倍の数はいるが、一人相手この人数は多過ぎである。
一度に戦える数を考えると人を集めるよりももっと強いやつ連れてくればよかっただろう。
そのせいで今回の戦いはさっきの盗賊と同じくあっさり終わってしまった。
「バカなありえぬ。断じてありえぬこれが我が精鋭だというのか」
「さっきの盗賊よりあっさり終わった。弱い」
「さっきの盗賊よりだと、やはり私以外でも“宝”を欲するものがいたか。その宝石は今は貴様に預けておく、また取りに来るからな」
捨て台詞と共に貴族はイセリアの前から去っていった。
「だから誰にも譲る気はないんだって、もういないか。ふう、疲れたもう休もう」
イセリアは宿に戻って眠りにつく。
次の日、コンゴウ先生は飲酒していないのでトラックの運転が可能になった。
イセリアはまだ運転を許可されない。
今日はコンゴウ先生が運転して学園へと帰る。
そして、貴族たちの私兵と盗賊の襲撃などなく道中何事もなく二日の道のりで学園に戻ることができた。




