第二回一年生Gクラス課外授業:『ギルドにて』
課外授業:魔猪を討伐せよ。
内容:ここ最近、クッケーを殺害し、作物を荒らす魔猪が頻繁に目撃されています。
多くの冒険者にも討伐をしてもらっていますが一向に減る気配が見えません。
それどころか魔猪は増え続ける一方です。
さらに魔猪を倒した者が突如行方不明となっています。
誰もが今回の課題について口を開かない。
ここに来るまでに見た魔猪が人へと戻るのを見ているせいか、ここで出てくる魔猪は全て元は人間だったのではないかと頭に泳ぎる。
「魔猪の討伐が課外授業か・・・、これ本当に課外授業か?ただいいように使われているように気がするんだけど、そこんとこどうなっているんですかコンゴウ先生?」
「すまないが聞いてくる」
コンゴウ先生は席を外し、この村の課外授業を考えている人の元へと向かった。
一年生はコンゴウ先生が戻ってくるのを待つ。
しばらくしてコンゴウ先生が戻って課外授業がどうなったのか。
「課外授業の内容は変えることができないと言われた」
「どういうことですか?」
「魔猪の対処で手がいっぱいでこちらに回せる人材がいない。現在はどこも必要最低限の人数で回している状態で魔猪をどうにかしないとどこの施設を案内できる人たちがいないと言うんだ」
「勝手に養鶏場や畑に入る訳にはいかないから仕方がないと言えば仕方がないか・・・」
現在、この村は魔猪による被害によって課外授業ができない状態にまでになっている。
村人やここにきている冒険者たちで魔猪を対処中であり、それだけは人手が足りない状態で、人手が欲しいから課外授業で来た学園の生徒たちに課外授業として魔猪の討伐を出されたとみるべきである。
イセリアは席を立ちあがり食堂の出入り口に向かう。
イセリアの後に続くようにユーリ、ジークリンデ、イセリナ、ジェイドの四人が立ち上がる。
他は何やら考え事をしていた。
イセリナが食堂の扉のとってに手をかけたときに後ろから声がした。
「イセリア、ここに出てくる魔猪ってもしかしてさっきみたいな人が化けた奴じゃないだろうな」
イセリアは後ろへ振り返り、エミルを見る。
エミルの体は少しだけ震えていた。
だが震えていたのはエミルだけはなかった。
残りの四人も震えていた。
「分からない。だけど今回の課題の内容に書かれていた魔猪を討伐した人たちが突如行方不明になったことからして関係があるかもしれない」
「俺たちに人殺しをしろいうのか!」
「養鶏場や畑を荒らしているのは魔猪になった人ではなく本物の魔猪かもしれないじゃないか」
「そんな希望的な観測なんてできるか!」
「残りの皆もそうなのか?」
残りの四人の内、シリウスとイオンはエミルと同意見だが、玉藻御前とシルフィアスだけは違っていた。
「わらわたちがもしこの国の民を殺めてしまった場合、国際問題になりかねないからのう」
「そんなことを言ったらイセリナとジェイドが殺しても同じことになるだろ」
「然り」
「それでも国のことを考えると僕と玉藻さんは魔猪の討伐に参加するわけにはいきません」
二人は国際問題になるのを恐れて魔猪の討伐には参加しない。
人殺しが怖い三名、国際問題を恐れて参加しないが二名、イセリアはこれらを踏まえて、一年生を二つの班に分けることにした。
「仕方がない。ここは魔猪討伐班と魔猪の情報収集班に班に分けをするか」
「そうすると、私たちが魔猪討伐班ということになりまして、ただいま席に座っている方々が情報収集班ということかしら」
「そうだ。これより私たちイセリア、ユーリ、ジークリンデ、ジェイド、イセリナの五名はは魔猪討伐班として魔猪を討伐開始する」
「わかりました。僕たちシルフィアス、玉藻御前、エミル、シリウス、イオンの五名は情報収集班として行動します」
「それじゃあ行くか、まずはここのギルドに行ってさっきの魔猪のことを報告して、魔猪がよく出現する場所を聞きに行くか」
二班は分かれて行動を開始する。
イセリアは情報収集班に通信機を持たせて随時魔猪情報を送ってもらうことにした。
情報収集班と別れた討伐班はこの村の冒険者ギルドへと足を運んだ。
五人は冒険者ギルドの扉を開ける。
そこには多くの冒険者が魔猪の情報を交換し合っていた。
ギルドの雰囲気が暗い。
それは増え続ける魔猪の対応に追われているのと行方不明者の捜索につかれているのかはわからない。
ただ、情報交換をしている最中、所々で倒れて寝ている人たちがたくさん目につき、さらに情報交換をしていてもやる気や気力があるようには見えない冒険者たちのせいでギルドの中がどことなく暗い。
五人は冒険者ギルドの受付に行き、魔猪の討伐の依頼を受けること伝える。
そして、自分たちが持つ魔猪の情報をギルドに伝える。
それを聞いた受付の人が大声を上げる。
これまで情報を交換し合っていた冒険者たちが何事かと受付へと顔を向ける。
その内の一人が何事かとこちらへと近づいてきた。
「受付の嬢ちゃん大声なんて上げてどうした?」
「聞いてください実は・・・」
受付の人は報告内容を近づいてきた人に話す。
近づいてきた人も人が魔猪になっていたことに驚く。
その人は冒険者ゆえにもう一つ驚いたところがあった。
イセリアたちが倒した魔猪を解体して素材を回収しなかったことにも驚く。
だが今回は解体して素材を回収しなかったことで人が魔猪になっていつ可能性に気がつくことができた。
「マジかよ・・・、倒しても倒しても増え続ける魔猪は人間だったとそんなことあり得るのか。おいお前ら冗談いうんじゃねぞ」
「冗談は言ってねぇよ。このあたりの地図を出してくれ」
受付の人はノウブル村の周辺地図を出し、イセリアは魔猪を燃やし骨を埋めたところを示す。
「なあ、魔猪からはその人の遺品はなかったのか?」
「いや出ていない。魔猪が燃えた後は人の骨だけになっただけで遺品は何も出てない」
「そうか」
その冒険者は魔猪が誰かの遺品を出さなかったことを聞くと少し気落ちしているように見える。
「もしかしてその魔猪が知り合いかもしれないとでも思ったのか」
「ああ、あいつらどこ行っちまったんだよ」
「仲間がいなくなったのか?」
「ああそうだ」
この冒険者の仲間は魔猪を倒した後の次の日に行方不明になっている。
突然仲間が何も持たず行方が分からなくなってこの冒険者は慌てた。
今も仲間の捜索願を出してはいるが、捜索願はここ最近誰もが出しているので受理さても探し出されるかなり後になる。
「そもそも人が魔猪になるなんて、そんなことあり得るんですか?」
受付の人の疑問はここに居る誰もが思っていることだ。
「自然に考えれば人が魔猪になるなんてことにはならない。ただし魔法や呪いの類なら可能だ」
「マジ」
「マジで」
イセリアは肯定するように首を縦に振りさらに続けた。
「呪いならともかく魔法だと魔法をかける人物が相当な実力者じゃないとできないけどね」
イセリアの一言から、人が魔猪になったのは呪いが原因ではないのと考える人が出てくようになった。
「そうか!突如、行方不明者が出るようになったのも魔猪が増え続ける一方なのも全ては呪いのせいか!」
「なるほど!呪いなら解除すれば元に戻る」
「なら、教会に行って聖水を貰ってこないと」
周りの冒険者たちが事件の解決方法が分かったみたいにはしゃぎだした。
しかし、ここには呪いに詳しい冒険者がいたみたいで水を差す
「人が魔猪になる呪いは人が完全に魔猪になった場合、呪いを解除しようとしてももう無理だ」
「ならどうしろっていうんだ!」
「魔猪になった人たちは全員殺してやるのが優しさだろう」
「後は原因の排除だ」
「どうやって呪われているかだな」
「そうだ!行方不明になった奴は全員魔猪の肉を食っていた!まさか、魔猪の肉を食って呪われたのではないか」
「たぶんそれだ!」
「いいかお前らこれから魔猪を倒しても解体して肉なんて食おうとするんじゃねぞ。それにこの魔猪は毛皮からでも呪ってくるかもしれないからすぐに燃やせ」
ここに居るほとんど冒険者は終わりの見えない増え続ける一方の魔猪と行方不明者の捜索など対応に疲れていた。
イセリアたちのした報告が終わりの見えなかったこの事件に終わりを見せる希望の光を差し込ませた。
それ故に今ではやる気が出ていないかった人でも、今は嬉々として魔猪の討伐に出かけて始めている。
「行くぜ!野郎ども!」
「野郎じゃないのもいるんだけど」
「こまけえことはいいんだよ!」
と次々と冒険者たちがギルドを出ていく。
それを見ていたイセリアたちは
「なんだあいつら元気あるじゃん。さっきまでの雰囲気が嘘みたいだな」
「これまで仲間が行方不明になる。魔猪が倒しても倒しても数が減らないどころか増えているという状況に皆さん辟易してましたからね」
「だろうな。ここに居た奴らは全員そんな顔していたよ」
「先が見えないことより、先が見えることの方が精神的に楽なものよ」
ここに居るメンバーは昔を思い出して、受付の人の言ったことに共感していた。
「周りに何も見えない時に突如として光が差す感じ、あの感じは忘れようとも忘れられません」
「然り」
「みんな過去にいろいろあるんだな。深くは聞かないけど。もうそろそろ本来の目的に戻るとするか」
「私たちも冒険者たちに負けないように魔猪の討伐に行かないとなりませんしね」
「というわけで受付の方、魔猪の出現場所とかを教えてください」
イセリアたちは受付の人から魔猪の出現場所などを聞く。
それから魔猪を討伐しにギルドを後にする。
ノウブル村の外れで
「まさかあの女たちが言っていたことは」
「ほんとのことかよ」
「魔猪が人間だったなんて・・・」
冒険者たちが倒した魔猪に火をつけて本当に魔猪が人から変化しものかを確かめた。
それは現実となり魔猪の遺体は姿を変えて人の姿へと変貌した。
彼らはギルドでの情報については半信半疑だった。
しかし、それが現実として目の前で起きている以上、信じいないわけにはいかなった。
「推測の域だったが魔猪の肉を食うと」
「呪われて魔猪になる可能性に信憑性が出て来た」
「こうしていられん早く戻ってギルドに報告だ!」
彼らは急ぎギルドへ報告しようと戻ろうした時、彼らは見てしまったすぐ近くで彼らを睨めつけている存在に
「こいつは!」
「逃げろ!」
「「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」」」




