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帰還した世界での学園生活  作者: astry
第一部 一年生
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深夜、ある人物との邂逅

 イセリアとエリナは寮への帰り道でコンゴウ先生から出された反省文とレポートついて話していた。


「まさかコンゴウ先生とジル先生に見つかるなんて思ってもいなかったぜ。その結果、反省文とレポートとかやってられんねぇ」


エリナはため息をつきながらイセリアに愚痴る。


「だが、コンゴウ先生は反省文とレポートの枚数に指定してないから両方とも一枚書いて提出すればいいと思うのだが」


イセリアはコンゴウ先生から出された反省文とレポートは一枚ずつ提出すればいいと思い楽観視していた。

しかし、エリナはその考えはあまいといった。


「あまいなイセリア、反省文とレポートに枚数指定がないからと言って一枚ずつ提出したらどうなるか教えてやるよ」

「何かあるのか?」

「一枚ずつ提出した場合、前期のコンゴウ先生が受け持つ科目の単位がもらえねえぞ」

「はぁ!?本当か」

「ほんと、ほんと、去年、コンゴウ先生から罰として反省文とレポートを提出するよう言われたんだ。枚数が指定されてないから両方とも一枚で出したら、単位くれなくてよ。それから一月ほど放課後で補習を受ける羽目になったんだよ」


 それってエリナがコンゴウ先生の授業をまともに受けていたなかったのが原因なのではないか?


イセリナは思ったことをエリナに言う。そして帰ってきた答えは


「オレ自身、コンゴウ先生に詰め寄って単位くれなかった理由を聞いたらコンゴウ先生はこういったんだよ反省文からはとても反省しているおようには思えない。レポートはとてもじゃないがこれはレポートとは呼ばないよって単位はやらないと言ったんだよ」

「何をやらかしたんだよ・・・」


イセリアの疑問はもっともだがエリナは口を堅く閉ざし喋ろうとはしない。


「そのことに関しては言えない」


エリナはいつになくマジになっていたのでイセリアは深く追求しなかった。


それからイセリアとエリナから会話がなくなり、道なりを歩いていた。

その時、イセリアの目の端に人影が見えたので、その方向に振り向いた。

そこにいたのは同じ学園の制服を着た人物だった。

その者は目を閉じてただそこに佇んでいた。

何かをするわけでもなく、夜空を見上げているわけでもなく、夜風に身を任せて風を感じているわけでもなくただその場に佇んでいた。

イセリアとエリナはその者に近づき寮に戻るよう話に向かった。

この時イセリアは佇んでいる者に見覚えがあるのと、周りに姿と気配消してその者を見ている存在に気がついた。


「そんなところで何をしているんだ?イグナイト公爵令嬢」


イセリア自身、確信があったわけではなく、なんとなく佇んでいたのが自分の妹なのではないかと思っただけだった。

彼女は瞼をあけ、イセリアの方向に向く。

この時の彼女は学園にいる時の雰囲気と違っていた。

学園にいるときはただ王子に突撃する馬鹿で愚かな女だが、目の前にいる彼女とではとてもじゃないが同一人物とは思えないほどに変わっていた。

目の前にいる彼女は学園にいるときより聡明に見え淑女然としていた。

彼女からイセリアの言葉が返答される。


「よくお分かりになりましたね。私はイグナイト公爵家次女、アザレア・イグナイトと申します。あなた方はどちら様でしょうか?」

「オレは2年G組のエリナだ。こいつは」

「私は1-Gのイセリアという」


アザレアは二人の名前を聞いて思い出すぞぶりを見せる。


「エリナとイセリア・・・、入学式直後に行われたイベントで戦っていたお二方ですか?」

「そうだ」

「あなた方はGクラス言いましたね」

「確かに言ったがそれがどうした?」

「確かあそこには王族の第一王女殿下や第一王子殿下の婚約者の方がいらっしゃいましたよね」

「ユーリとの交流はあるが、もう一人のイセリアとの交流はあまりないな。こっちのイセリアとならよくつるんでいるのだけどよ。ん?イグナイト?」


エリナはここにきてアザレアととある人物との姓が同じことに気がついた。

現在、イセリア・イグナイトと呼ばれている人物がイセリナ・アロマージであることをエリナは知らない。

さらに一年生Gクラス一同がイセリナの名を呼んでも周りにはイセリアと聞こえるようにイセリアが契約書を書かせたときに細工してあったために、一年生Gクラス以外に誰も知らない。

他に知っているとしたら王族だけだろう。


「もう一人のイセリアも確かイグナイトという姓だった。あいつとは姉妹なのか?」

「いいえ違います。私と第一王の婚約者とは血のつながりはありません」

「じゃあ、どちらかが養女ということか」

「彼女はイグナイト家に養女として迎えられてはいません」


このことにはエリナは驚いた。

養女として迎えられていないのにその姓を名乗っている。

それは普通に考えればあり得ないことだからだ。


「あり得ないだろ。勝手に人の名目を名乗るなんてよ。このことは国は知っているのか?」

「わかりません」

「国ならとっくに知っているだろう。なんせあいつがイセリア・イグナイトを名乗っているのは国からの頼まれたことなんだから」

「国はなんでそんなことをするんだ?」

「簡単な話、混乱を避けるの目的だろ。イセリア・イグナイトが行方不明になったのが分かると、貴族たちがここぞとばかりに自分の娘を第一王子の次の婚約者にって会わせようとしてくるからな。無用な混乱とかはない方がいい」


あいつの出自を考えると王族と貴族の政略結婚ではなく、国同士の政略結婚になるんだよな。

それに真面目に王妃教育と皇女教育とか受けるあたり、もしかしてあいつ第一王子に気があるとか・・・、まぁ、私が気にすることでもないか。

気にすると言えば、こいつなんでこの時間にここに居るんだ?

私やエリナと違いこいつは夜に出かける用事がある訳ではないはずなのに?


「話は変わるがアザレア、お前こんな時間にこんなところで何やっているんだ?」

「確かにオレたちとは違い。こんな夜更けに出かける用事なんてないもんな」


本来、私たちもこんな時間に出かけているわけではないんだがな。


アザレアは思考して口を開ける。


「お二人を通して第一王女殿下、第一王子の婚約者に渡していただきたいものがあります」

「オレたちを通して?」

「はい」


イセリアとエリナは互いに顔を合わせてアザレアの次の言葉を待った。


「渡していただきたいものはこれまで実家が犯した犯罪の証拠です」


アザレアから渡されようとしている物を二人は聞いて驚いた。


「バカか!そんなものはお前を監視している奴にでも渡せばいいだろ。なぜ、私たちに渡そうとする!」


イセリアの疑問はもっともだ。しかし、アザレアにとってはそうではなかった。


「私の家では母・・・、いえ、あのく○ババァが家の人たちを洗脳して牛耳っています」

「家の人たち?」

「執事とメイド全員を洗脳して操っているのか」

「唯一、ババァの洗脳を受けなかったのは私と姉さまの専属メイドだったマリアだけです。あとは全員洗脳されています」

「そのこと誰かに話したのか?」

「いえ、あなた方が初めてです」

「お前のことを監視している連中がいただろ。なぜそいつらにそのことを伝えなかった?」

「昔、ババァが監視をしている人物たちを捕まえて洗脳したことを知っています。それ故にこのことをどこかで握りつぶされる可能性があったために監視者たちには伝えていないのです」


現イグナイト夫人は既に監視者たちを洗脳していた。

そうなると監視者たちがこれまで国に上げられていた報告はどこかでババァによって捻じ曲げられている可能性が出て来た。

もしかするとここに居るアザレアを監視している奴らは既に洗脳された奴らの可能性が出てて来た。


「お前を監視している奴が洗脳されているってことは・・・、もしかすると・・・」

「「あ!」」


イセリアたちに向けて何かが飛んできた。

イセリアはそれを難なくキャッチしてみた。

飛んできたものはナイフだった。

イセリアがナイフをキャッチする際に刀身をつかんだ時にピリッと感じた。

この時イセリアはこのナイフには毒が塗られていたこと、これから戦う奴らは毒を使って攻撃してくると予想した。

イセリアは飛んできたナイフを握り潰し投げ捨てる。

そして、周りからイセリアたちを包囲するように人が現れ、その内のリーダー格の奴がアザレアに話しかける。


「お嬢様、まさかこのような手を考えていたとは思いもしませんでした。日中の行動は我々を欺くためのフェイクで国に我々のことや家のことを報告しようと先月からここに居たのですか」

「私はババァの思い通りにはなりません。そして、思い通りにもさせません」


アザレアはババァとの決別し、ババァが何か仕出かそうとしていることを邪魔すると言った。


「そうですか。皆の者、そこの二人とお嬢様を抹殺せよ。“我らの女神のために”」

「仕掛けてくるのか!こちとらダンジョン攻略で疲れているってのによお!イセリア任せた!」

「任された!」


イセリアは彼らが攻撃を仕掛けてくるの時に言った“我らの女神のために”の言葉が監視者たちの口から出て来たことに内心驚いていた。

この言葉は先月の実習先でヴォルフガング博士を襲った連中とヴォルフガング博士が開発したディーゼル5656が口にしていた言葉だ。

監視者たちがこの言葉を口にしたということはインマーニでの襲撃事件を裏で糸を引いていたのはババァの可能性が出て来た。

イセリアはすぐに自らに施している封印を解き、監視者たちを迎え撃つ。


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