しばらくして週末
試合が終わった。翌日、学園は試合のことと試合後に起きたイセリアの行動のことで持ち切りだった。イセリアたちの試合の話が特に多かった。
これによりイセリアの名を知らないものはこの学園にいないほどに知れ渡った。それと同時にイセリアの強さとその危険性も同時に知れ渡った。
イセリアの危険性が知れ渡ったといえど、イセリアの強さは強くなろうとするものには憧れの対象として見られるようになった。そして、その強さの秘密を知ろうと隠れて観察すものまで現れるのにそう時間は掛からなかった。
この学園の日程は六日間授業して週末は休みという日程である。
イセリアにとってうれしくない生活になって初めての休みの前日、授業が終わりイセリアはクエスト掲示板の前へ訪れた。だがそこはいつもと違いにぎわっていた。
「ん?購買じゃなくてこちらがに人がたくさんいるんて珍しいな」
それがイセリアの素直な感想だった。イセリアは知り合いがいないか周りを見回し、カウンターのところにシャルロッテを見つけ、シャルロッテに話しかけた。
「シャルロッテ先輩、クエストの受付ですか」
「あらイセリア、それもだけど、今、ギルドカードの作成してもらっているところなの」
「へぇ、ここでもギルドカード作成できるんだ。ということはあの時言ってたこと本当にやる気なんですね」
イセリアは入学初日でシャルロッテがイセリアに言ったこと思い出し、本当にそれを実践しようとしていること感心していた。
「だけど、なぜ今頃ギルドカードを、親が元冒険者だからそちら経由ですでに作っていると思ったのですが」
「今の今まで必要ないと思って作っていなかったからよ。それとイセリア、年上だからってかしこまる必要はないわよ。あのときみたいに素で話してくれると私もエリナもうれしいかな」
イセリアは少し悩んだがシャルロッテのお願いに応えることにした。
「わかった。これでいいか」
「ええ、私はこれからギルドの依頼を見て回るけど、あなたはどうするの」
「私はお金がないからギルドの依頼を受けたいのは山々なんだが・・・、ここの依頼ってほとんど小遣い稼ぎぐらいの報酬しかないから、ここから近いギルド支部に依頼を見に行こうかと思っている」
学園に斡旋される依頼は生徒がこなせると思われるランク、E~Gランクのものばかりでイセリアほどになると物足りなく感じるものばかりである。イセリアの場合、Bランクの依頼ですら物足りなく感じているのにBランク以下でさらに物足りなく感じるだろう。
「外で依頼を受けるの、私も外で依頼受けようかな」
「まだ先輩は、かけだしのGクラスじゃない。説明または注意事項の書類にこう書かれているはず、Cランク以下は自分のクラスより上はひとつ上のランクまでしか受けられませんって、支部だと低いランクの依頼はほとんど取り合いになるから学園で受けたほうが支部で受けるより楽だぞ」
「なるほど、そうするとここで受けたほうが良いかな」
「では、わたしもそうしますね」
突如、声を掛けられ、二人はそちらに向いた。向いた先にいたのはユーリとジークリンデがそこにいた。どうやら二人の会話を聞いていたようである。それにユーリはギルドの依頼を受ける気満々のようだ。だが、ユーリは一応王族に入るからギルド登録できるか怪しいものだが。
イセリアはギルド職員にユーリはギルド登録できるか聞いてみた。
「すみません職員さん、王族ってギルド登録できるんですか?」
「できますよ。そのとき偽名で登録してもらうことになりますが」
「そうですか」
王族も偽名なら大丈夫のようだ。それが聞こえていたユーリたちはギルド職員に自分たちもギルド登録することを伝え、登録書類に名前を書き提出した。二人は自分のギルドカードができるまでイセリアたちと会話を楽しむようだ。
「話を折ってしまってすみません」
「いやいや、そんことはいいわよ。でもユーリさん王族?でしたわよね。なんでギルド登録して依頼をこなそうと思ったのかしら、王族なら上に頼めばすぐにお金が出るし消耗品なども送ってもらえると思われるのだけど?」
それはユーリが王族であることは知られて入るがどのような扱いを受けているかはあまり知られていない、故にこの質問が出るのは仕方がないことだと思われる。
「わたしは国から一切の支援がないため、私自らお金を稼がなけれ日用品、消耗品などがないのです。一応、学園の学費は払ってもらいましたが、日用品や消耗品なども自分で買わなければならないためにお金が必要です。それにいつまでもリンデにお金を借りる訳には参りません」
「わかりました・・・」
シャルロッテやこの話が聞こえていたものたちは困惑している。それも仕方がないこと、王族なら国からの支援を受けられるはずなのにユーリはまともに受けられず、ジークリンデからお金を借りることで生活しているように言っているのだから。
「で、ユーリはどんな偽名にしたんだ」
イセリアは周りの雰囲気を変えようとユーリのがギルドに登録した偽名について質問した。
「ユーリ・エターナルという偽名にしたの。でもこの名前は今は偽名でもいつか本当の名前にして見せるわ」
これには誰もが言葉を失わざる得ない。ユーリはいつか王族の家名を捨てると言っているのだ。どこかの貴族に嫁ぐというわけではなく。
「今のは聞かなかったことにしたいな」
「そうね。聞かなかったことに・・・」
イセリアとシャルロッテは聞かなかったことにしたかったがユーリはまだ続ける。
「一生掛かっても無理だと思っていたの。それまでは親が決めた人と結婚して一生過ごすと思っていたの。でも、イセリアのおかげで一筋の光が見えたわ。わたしは学園に在籍しているうちにあるものを作ってそれを対価に王家の家名など捨ててしまいますわ」
ユーリは沈痛な面立ちから決意ある面立ちに変えここに宣言した。王家の家名を捨てると、その真剣な面立ちとその覚悟に誰も何も言えなく、長く共にいるジークリンデですら何も言わない。
「お話中すみません。ギルドカードの作成が終わりました。シャルロッテさん、ユーリさん、ジークリンデさん、取りに来てください」
三人はギルド職員に呼ばれてギルドカードを取りに行った。とそこで横からまた声を掛けられた。
「またとんでもないことになってんな」
「エリナ先輩」
「よっ」
イセリアはエリナのほうに向き、エリナはイセリアの元へと近づいてきた。
「イセリア、お前、何と言って姫さんを誑かしたんだ」
「誑かしてなどいない、彼女に何ができるか言ったまで、まさか王家の家名を捨てるなんて言い出すとは思わなかったけど・・・」
イセリアにとっても、寝耳に水のことだったがいつかそうなるんじゃないかと心の奥底では思っていた。だが周りの者たちにはそう思わない者たちもいて、そしてイセリアは『姫様を誑かした者』として語り継がれる。
いつしかこのことは本になり、その内容はかなり変えられておりイセリアが王族たちからユーリ姫を奪っていく同性愛物語として好評を得ていた。
そして、三人はギルドカードをもってイセリアの元へ戻ってきてそこにエリナがいることに気づいた。
「あら、エリナ」
「先輩たちも何か受けるんですか?」
「ええそうよ。ついでにこの三人でパーティを組むことにしたの。あなたたちも一緒にパーティを組まない」
どうやらギルドカードを受け取るついでにパーティを組んできたようだ。そこにイセリアとエリナを一緒にやらないかと誘った。
「オレはかまいません。イセリアは」
「大丈夫だ」
「よかった。ではパーティ追加の申し込みをしましょう」
これにより、イセリア、シャルロッテ、エリナ、ユーリ、ジークリンデの五人でパーティを組んだ。
後にこの五人はこの世界を飛び出し数多の異世界へと旅立つのであった。イセリアとしては再びだが。
パーティを組んだ五人はGランククエスト、薬草摘みを選択して今後のこと話し合うために寮に戻った。
次回:ユーリの武器選択




