目覚めたメイドさん
イセリアたちは寮に戻ってきた。そこに管理人のおっさんが近づいてきた。
「お前さんたちもどったか、試合はどうなったかは先に戻っているやつから聞いた。がんばったな」
管理人のおっさんは私たちの試合のことでねぎらいの言葉掛けてくれた。それだけじゃなく管理人のおっさんは話を続けた。
「イセリア、朝、お前さんが拾ってきた。メイドさんが目が覚めたぞ」
どうやら朝、拾ってきたメイドが目を目覚めたことを伝えに来たようだ。
「目が覚めたんですか!今、どうしてます」
「あのメイド、目覚めたのか」
「メイド?何のことなの。イセリア、エリナ」
イセリアは今日、朝起こったことをシャルロッテに話した。
「あの深夜に起きた爆発、イグナイト公爵邸で起きたの。もしかしたらその手の情報が手紙として親から送られているかも」
シャルロッテは自分のポストに向かい中を見た。そこには一通の手紙が入っていた。すぐに手紙の中を読み始める。
エリナとイセリアは管理人のおっさんにあのメイドが今どうしているのかを聞いていた。
「目が覚めた彼女は今現在は彼女を寝かした部屋にいてもらっているよ」
「ではいきましょう」
イセリアとエリナは管理人のおっさんとそこに手紙を読み終えたシャルロッテが合流しメイドがいる部屋へ向かった。
イセリアたちはメイドがいる部屋の前に立ちノックをして、今中に居るのかを確認した。その後、中から返事が来てドアが開いた。
「どちらさまでしょうか」
「私はあなたを助けたものです」
「その節はありがとうございます。積もる話があると思うので、さあ、中に入ってください」
イセリアたちは中に入り椅子に座り、メイドのことを聞いた。
彼女の名前はマリア・ラグナ、イグナイト公爵家のもとでメイドをしている。
彼女がイグナイト公爵家に雇われたのはイセリアたちが追い出される一年前とのこと、雇われた理由はイセリアの専属メイドとして雇われた。だがイセリア本人はマリアのことなど一切覚えてない。
イセリアたちが居なくなってからはよくイグナイト夫人と妹から理不尽な命令を聞きながら一メイドとして日々を過ごしていた。
側溝の中で倒れる前日の夕方にイグナイト夫人からイグナイト公爵が帰ってくるまで門のところで待ち続けろという命令をうけ、その深夜に起きた爆発によって吹き飛ばされて側溝の中に落ちてそのまま気を失い倒れた。
そしてイセリアに助け出されて今に至る。
「マリアさん、あなたを雇っていたイグナイト公爵家は先の爆発で邸宅を失い、それまでにあのイグナイト夫人とあそこの次女がいろんなことをやってしまっている性で爵位を取り上げられるかもしれません。それに、私が今日、受け取った手紙にイグナイト公爵はあなたのことはどうでも言いといっていました。だからあなたはこれからどうなされますか」
シャルロッテはマリアのこれからを聞いた。そこでマリアの答えは
「わたしをここで雇ってもらえないでしょうか」
マリアはここで働きたいと言った。
「おっさん、ここって求人出してたっけ」
「出してないが、人が増えるのは大歓迎だ。それ女性が増えるということは女子のところもさらによくすることができるからぜひ欲しいのだが、学園の人事部に問い合わせてみないと分からないな。まあ、できるかぎりここで働けるよう取り合ってみるから期待して待っていてくれ」
どうやら管理人のおっさんはマリアがここで働くのには大歓迎のようだ。それにおっさんは男だから女子の階層にはどうやら少し抵抗があるようだ。そしてなんだかおっさんは学園の人事部に口出しできるようだ。
「ありがとうござます」
「何、これから同僚になるんだわたしのことはおっさんと呼んでくれ」
「は、はぁ」
さすがにマリアもおっさんのことをおっさんと呼ぶのに抵抗があるようだ。
「管理人のおっさん、さすがに名前を教えないといけないといけないと思うんだけど、まずは私から、私の名前はイセリア・ルイン・フェネクス、まあ、あなたが仕えていた人物と同じ名前だから気にするなって方が無理かもしれないけど、これからはよろしく」
「じゃあ今度はオレな。オレの名前はエリナ・キャスケット、お前が今着ている服はオレのだから給料が入って新しい服を買ったら返してもらえればいい」
「この調子だと今度は私ね。私はシャルロッテ・ユースティティア・トリッガー、トリッガー伯爵家の出だけど、あまり気にしなくて良いから、この学園では親の爵位など有ってないようなものだから」
「最後に管理人のおっさんこと、アレハンドロ・ゲドーだ。ここの管理人なってから二十年以上経つ、五十歳のおっさんだ。だからわたしのことをおっさんと呼んでくれ」
アレハンドロはこれでもかと自らのことをおっさん呼ばわりするが、ここにいる全員がアレハンドロの歳を聞いて驚いている。
「おっさん!五十歳だったのか、確かにおっさんって言う歳だけど、全然そんな風に見えね~。まだ三十前後ということはねえよな」
エリナが言ったとおりアレハンドロの外見は三十前後の外見をしていた。まだ若々しく人生まだまだこれからっていう外見をしている。それが五十歳にはとても見えなかった。
「マリアさん、今はまだ同僚になっていないから“さん”をつけさせてもらうが、これからはよろしく頼む」
アレハンドロは立ち上がりマリアに向かって頭を下げる。それに習いマリアも立ち上がりアレハンドロに向かって頭を下げる。
「こちらこそよろしくお願いします」
数日後、マリア・ラグナは正式に国立魔法学園エンデュミオン、Gクラス寮の管理人として雇われた。
「さて、終わったことだし飯を食べに行こうか」
「そうですね」
エリナとイセリアは立ち上がり部屋から出ようとしたがそこでシャルロッテに呼び止められた。
「ちょっと待って、二人とも今の時間もう食堂は片づけをしているんじゃないかしら」
二人は時計を見て時間を確認した。時計の針は九時を回っていた。
「あれ、ほんとだ」
「だと自炊するしかないですね。食堂の設備って使えましたっけ?」
「いや、片づけに入っていた場合はもう食堂の設備は使えない。だから部屋自体についているコンロを使うしかない」
アレハンドロが食堂は片づけに入ったため使えないと言う。そして、部屋自体についているコンロを使って食事を作らなければならないと、そこでマリアが手を上げてこちらに言ってくる。
「あの、わたしが作ります。材料さえあればすぐにでも」
「それはうれしいんだけどあんたはまだここに雇われてないだろ。ここは私に任せてくれ、材料は次元倉庫にあるからすぐに作れる」
「ですが・・・、お嬢様に料理を作らせるわけには」
「誰がお嬢様だ!誰が!」
「す、すみません。わたしがお仕えていた。イセリアお嬢様と同じ感じがしたのでつい・・・」
マリアはイセリアのことを仕えていたお嬢様、イセリア・イグナイトだと思った。それはイセリアが否定したがマリアは間違っていなかった。
「よし決めた。カツカレーうどん定食を作る。異論は認めない」
「イセリア、なにそれ」
「食べれば分かる以上、さて作るか、すべて自前で用意しないと、あと封印を解除して時間を操作して」
イセリアはとんでもないことを言ってコンロがある方向へ向かっていった。残されたものたちはイセリアの言葉使いによってシャルロッテとエリナはこっちが素だと気づき、そして、イセリアが作るカツカレーうどん定食とは何か考えていた。
「カツカレーうどん定食、初めて聞く定食ね」
「どんなですかね~」
「確かに、カツカレーうどん定食とは『カツカレー』と『うどん』の定食なのかそれとも」
「『カツ』と『カレーうどん』なのかですね」
「なんか興味を引かれるな」
「そうね」
そして、料理を作ったとは思えないほどの速さでイセリアは料理を運んできた。
「できましたよ~」
あまりにも早いので四人とも、目を丸くしてイセリアが本当に料理を作ったのか疑問に思ったがイセリアはちゃんと料理もってこちらに来たため一応作ったのかもしれない、だが後で思い直した。イセリアはコンロに向かうとき時間を操作して作ると言っていたためその疑問は自然に消化された。
そして、四人が気になっていたカツカレーうどん定食が運ばれてきた。
「こ、これは」
「これがカツカレーうどん定食」
「どうやって食べるか考えさせられる料理だな」
「こんなのがあるの」
四人が見たカツカレーうどん定食とは、うどんの上にカツカレーがあり、しかも茶碗山盛りにごはんがついている。初めて見た人はどうやって食べるか考えさせらる料理だった。
「さて、どうやって食べる?カレーうどんを食べながらカツでごはんを食べるべきか」
「カツカレーうどんを食べた後、残り汁をごはんに掛けて食べるべきか」
「悩むな」
「悩みますね」
「いろんな食べ方があるから好きに食べればいいんですよ。というわけでいただきます」
五人はカツカレーうどん定食を自分の思う食べ方をして食べ終えた。そして、各々の部屋へ戻っていった。
数日後、イセリアの元へ救護室と教護室で壊れた備品の請求書が届いた。イセリアは今の所持金で何とか足りたが、週末、資金稼ぎに行かなくてはならなくなった。
次回:しばらくして週末




