〖病院〗
翌朝。
大学病院。
早朝。
まだ日が昇り切っていない。
杏奈は更衣室で着替えを終え、
ナースステーションへ向かう。
婦長
「冠崎さん。」
杏奈
「はい。」
婦長
「申し訳ないんだけど。」
婦長
「昨日、
救急で多数運ばれて来てね。」
婦長
「人手が足りないの。」
婦長
「あっち回って貰える?」
杏奈
「分かりました。」
救急病棟へ向かう。
だが。
扉を開けた瞬間。
杏奈
「……これは。」
空気が重い。
見える。
微かだが。
所々に黒い残滓。
まだ消えていない。
患者達が呻いている。
苦しそうに呼吸をしていた。
杏奈は静かに息を吐く。
ふぅ――。
次の瞬間。
ふわり。
藤の香りが広がった。
残滓が散る。
患者達の顔色が少しずつ戻る。
呻き声が止まった。
やがて。
静かな寝息へ変わる。
看護師達
「落ち着いた……。」
「助かった……。」
「やっと処置進められる。」
杏奈は小さく笑った。
杏奈
「良かった。」
だが。
止まる。
一箇所だけ。
濃い。
異常な残滓。
杏奈
「……。」
カーテンへ近付く。
杏奈
「失礼します。」
シャッ。
開く。
止まる。
そこに居たのは。
神崎組。
玲央。
海斗。
蓮。
一樹。
鷹臣。
紫苑。
全員の視線が杏奈へ向く。
蓮
「お前!!」
鷹臣
「なんで!?」
玲央
「嘘だろ。」
杏奈は目を丸くする。
そして。
ふわっと笑った。
杏奈
「あらあら。」
杏奈
「坊や達。」
杏奈
「また会ったわねぇ。」
クスクスクス。
神崎組
「……。」
海斗
「待て待て待て。」
海斗
「何で病院に居るんだよ!!」
杏奈
「仕事。」
普通にカルテを見る。
全員
「???」




