〖弔い〗
神崎組は。
ただ見る事しか出来なかった。
鷹臣
「なんなんだよ……。」
一樹
「嘘だろ。」
一樹
「常軌を逸脱している。」
玲央も動けない。
海斗も言葉を失っていた。
紫苑
「…………。」
呆然と見るしかない。
誰も。
何一つ理解出来ない。
ただ一つ。
分かる事がある。
――あの女は普通じゃない。
その時。
真奈が振り向いた。
そして。
ゆっくり神崎組へ近付く。
全員息を飲む。
玲央
「……。」
海斗
「……。」
紫苑だけが黙って見ていた。
真奈は立ち止まる。
真奈
「無事だな。」
沈黙。
全員
「どこがだよ!!!」
真奈
「怪我はしてる。」
真奈
「だが生きてる。」
真奈
「何人かは犠牲になったがな。」
空気が落ちる。
真奈は静かに、
吹き飛んだ屋敷を見る。
フェニックスの炎が、
静かに揺れていた。
真奈
「犠牲者の為にも浄化は必要だ。」
真奈
「ここへ留まる訳にもいかんだろ。」
真奈
「フェニックスの浄化炎は。」
真奈
「未練なく、
あの世へ届けてくれる。」
誰も喋らない。
真奈
「お前らも悔やむな。」
真奈
「あれだけの奴が出て。」
真奈
「命が助かっただけでも有難いと思え。」
真奈
「それが。」
真奈
「犠牲になった奴らの成仏になる。」
真奈
「悔やみ。」
真奈
「怒り。」
真奈
「それは死者を縛る。」
静寂。
真奈は煙草へ火をつけた。
夜風に煙が流れる。
その時。
遠くから。
サイレン。
救急車。
パトカー。
真奈
「来たか。」
振り返る。
真奈
「まぁ。」
真奈
「しっかり療養して治せよ。」
手をひらひら振る。
歩き出す。
誰も止めない。
止められない。
海斗
「……行った。」
鷹臣
「何だったんだよ。」
一樹
「…………。」
紫苑だけが、
最後まで背中を見ていた。




