〖重い言葉〗
玄三
『……どこのじゃ?』
修一の表情が戻る。
修一
「○○地区。」
修一
「あの封印具。」
電話の向こうが静かになる。
玄三
『ふむ。』
玄三
『確かに。』
玄三
『あれは盗まれるもんじゃないな。』
沈黙。
玄三はしばらく考え込んでいた。
誰も喋らない。
そして。
玄三
『分かった。』
玄三
『真奈が帰ったら。』
玄三
『明日にでも連絡するよう伝えてくれんか?』
修一
「分かった。」
玄三
『頼んだ。』
少し間が空く。
すると。
玄三の声が柔らかくなった。
玄三
『ところで。』
玄三
『他のみんなは元気か?』
空気が一気に変わる。
修一
「……は?」
玄三
『何じゃその声は。』
玄三
『早ぅ代われ。』
由美が笑う。
由美
「はいはい。」
スマホを受け取る。
由美
「お義父さん。」
玄三
『由美ちゃん元気かの?』
由美
「元気ですよ。」
雄一
「じいちゃんだ!!」
伊織
「代わってー!」
和真
「僕もー!」
一気に食卓が騒がしくなる。
玄三
『おぉおぉ!!』
玄三
『元気しとるかの!!』
雄一
「今日学校でな!」
伊織
「俺な!」
和真
「僕勝った!」
修一
「……切り替え早いな。」
由美
「お義父さんですから。」
胡桃は小さく笑う。
その時。
玄三
『胡桃。』
玄三
『杏奈。』
胡桃
「?」
杏奈
「はい。」
玄三
『お前達も、
ちゃんと休め。』
胡桃
「……うん。」
杏奈
「ありがとう。
おじいちゃん。」
二人とも、
にこっと笑う。
玄三
『真奈に任せとけ。』
胡桃と杏奈は静かに頷いた。
食卓へ、
少しずつ笑い声が戻る。
そして。
玄三
『陸斗と隼人はどこじゃ?』
陸斗
「いるよ~~。」
スマホを受け取る。
陸斗
「じいちゃん久しぶり。」
陸斗
「また老けた?」
アッハッハッハ。
玄三
『なにをーー!!!』
玄三
『わしはまだ若いわ!!!』
隼人
「ここだよ、
じいちゃん。」
隼人
「元気?」
玄三
『まだまだ現役よーー!!!』
全員笑う。
だが。
次の言葉で、
空気が少し変わった。
玄三
『二人とも。』
玄三
『悪いが休みの日。』
玄三
『雄一と伊織を連れて、
こっちへ来て欲しいんじゃが。』
陸斗と隼人が止まる。
陸斗
「……?」
隼人
「珍しいね。」
玄三
『少しな。』
玄三
『見ておきたい。』
沈黙。
玄三
『出来るか?』
陸斗と隼人が顔を見合わせた。
陸斗
「出来るけど。」
隼人
「何かあった?」
玄三
『いや。』
玄三
『まだじゃ。』
その言葉だけ。
妙に重かった。




