【過去の噂】
一通り話し終えると。
四人から、安堵とも疲労ともつかないため息が漏れた。
琴音は、ソファの背もたれに沈み込む。
千颯は、両肘を膝に置いたまま項垂れた。
來華は、眉間を押さえている。
灯子は、煙草を灰皿に押し付けると、遠い目をした。
灯子
「は~~~。」
灯子
「色々起きるわね~~。」
琴音
「情報量、多すぎ。」
千颯
「歌ってる場合じゃなかったわ。」
真奈
「歌ってたじゃん。」
千颯
「歌ったけど。」
來華は、まだ頭を抱えている。
真奈
「來華?」
來華
「は~~。」
來華
「それで、あんた顔色が悪かったのね。」
來華
「クライアント絡みじゃないとは思ったけど。」
真奈
「言ったところで、どうにもならんしな。」
真奈
「こればっかりは、本当にどうしようもなかったんだよ。」
來華
「分かってるわよ。」
灯子は、しばらく何かを考えるように、足と腕を組んでいた。
灯子
「月島……。」
灯子
「蛇塚……。」
真奈
「灯子?」
灯子
「もしかしたら……。」
灯子
「いや……でも……。」
灯子は、ぶつぶつ言いながら考えている。
真奈
「灯子?」
真奈
「どうした?」
灯子
「いや……分からないよ。」
灯子
「分からないけど……。」
灯子
「もしかしたらって。」
真奈
「何が?」
灯子
「確定じゃないよ。」
灯子
「でも……。」
真奈
「だから。」
真奈
「何が!?」
灯子
「う~~~ん!」
灯子
「も~~~!」
灯子
「多分よ。」
灯子
「多分だし、もしかしたらだからね!」
灯子
「その月島と蛇塚。」
灯子
「こっち側なんじゃないのかしらね?」
四人の声が揃った。
琴音・千颯・來華・真奈
「は?」
灯子
「随分前の話よ。」
灯子
「時期は違うけどね。」
灯子
「月島家は、蛟の家系でしょう?」
灯子
「その月島家から、長兄がいなくなったって話が出たのよ。」
灯子
「でも月島家は、それを何とか揉み消そうと必死だった。」
真奈
「……。」
灯子
「で、しばらく経って落ち着いた頃。」
灯子
「今度は、蛇塚家から長兄が忽然と姿を消したって話が来たの。」
琴音
「蛇塚……。」
灯子
「あそこは、八岐大蛇の血族でしょう。」
灯子
「しかも、生まれてきた長兄は、母親と父親によく似た美形だったみたいでね。」
灯子
「他の兄弟達は普通に接して、ある程度自由だった。」
灯子
「なのに、長兄にだけは執拗だった。」
灯子
「あれは駄目。」
灯子
「これは駄目。」
灯子
「どこへ行くにも。」
灯子
「何をするにも。」
灯子
「口を出して、縛って。」
灯子
「居なくなった時の母親の情緒不安定さなんて、凄かったんだから。」
灯子はその当時を振り返りながら、熱量を持って話した。




