【失踪した長兄】
真奈は、黙り込んだ。
月島。
蛇塚。
真奈
「灯子。」
真奈
「名前は分かる?」
灯子
「さ~~。」
灯子
「名前までは覚えてないよ。」
灯子
「月島家なんて、揉み消そうとしてたんだよ。」
灯子
「覚えてたら、こっちがヤバかったんだから。」
真奈
「……。」
灯子
「ただ、蛇塚家は必死に探してたからねぇ。」
灯子
「何だったっけ。」
灯子
「たか……。」
灯子
「たかみ?」
灯子
「いや、違うな。」
灯子
「たかし?」
灯子
「なんか違うな。」
真奈
「……もしかして。」
真奈
「鷹臣じゃないか?」
灯子
「そう!」
灯子
「それよ!」
灯子
「鷹臣よ!」
灯子
「なんで知ってんの!?」
真奈
「マジかよ。」
真奈
「それが、神崎組の一人だ。」
四人の声が揃った。
琴音・千颯・來華・灯子
「は?」
すかさず、琴音が割って入った。
琴音
「待って。」
琴音
「月島もいるの?」
真奈
「いる。」
全員が、一斉に真奈の方を向いた。
真奈
「月島海斗。」
灯子
「……。」
琴音
「!!」
千颯
「!!」
來華
「!!!」
四人とも、驚愕した。
灯子が、考え込むように視線を落とす。
灯子
「それは、調べた方がいいねぇ。」
來華
「偶然にしては、重なりすぎてる。」
千颯
「神崎組の六人……。」
真奈
「六人が集まったのは、本当に偶然だったんだと思う。」
真奈は、神妙な面持ちで話した。
真奈
「誰かに集められたわけじゃない。」
真奈
「仕組まれたわけでもない。」
そこに、來華が疑問を投げかけた。
來華
「本当に、偶然だと思う?」
真奈は目を閉じ、静かに頷いた。
真奈
「ああ。」
真奈
「多分な。」
真奈
「ただ、馬が合ったんだろうな。」
真奈
「息が合うっていうか。」
真奈は、ソファの背もたれに体を預けた。
真奈
「似てたんだよ。」
琴音
「似てた?」
真奈
「ああ。」
真奈
「それぞれ、生きてきた場所は違う。」
真奈
「抱えてるものも違う。」
真奈
「でも、どこか似てた。」
真奈
「そういう奴らが、たまたま同じ場所に流れ着いた。」
真奈
「それが神崎組だったんだと思う。」
千颯
「……居心地が良かったのね。」
千颯は、なぜかその言葉が分かる気がした。
真奈
「多分な。」
真奈
「普通の場所じゃ、異物だった。」
真奈
「でも、六人でいる時だけは。」
真奈
「自分が異物だってことを、忘れられたんじゃないか。」
灯子
「似た者同士が、寄り集まったってわけかい。」
真奈
「ああ。」
真奈
「偶然だよ。」
真奈
「でも、その偶然があったから、あいつらは今まで生きてこられたのかもしれない。」
その言葉に、全員が黙り込んだ。




