【心配事】
灯子は、出来上がったおかずを持って二人のところへ来た。
真奈は、その皿を見て目を輝かせる。
真奈
「美味しそ~~。」
真奈
「いただきま~~ふ。」
一口食べる。
真奈
「うま~~~。」
灯子
「やれやれ。」
灯子は、ふっと息をついた。
灯子
「ね~~、琴音ちゃん。」
灯子
「この子に色恋の話はないわけ?」
灯子
「ずっとこの調子じゃない。」
灯子
「あたしゃ、この子が心配になるよ。」
そう言って、灯子はカウンターに頬杖をついた。
琴音
「あるわけないじゃない。」
琴音
「言い寄る男は、ゴマンといるけどね。」
琴音
「どれもこれも。」
琴音
「興味がない。」
琴音
「意味が分からない。」
琴音
「ただヤりたいだけだろ。」
琴音
「この繰り返し。」
真奈
「事実だろ。」
琴音
「そういうところよ。」
灯子
「も~~~。」
琴音
「この子に合うのは、番本能とか。」
琴音
「純粋にこの子だけを想うとか。」
琴音
「そのくらいじゃない?」
灯子
「番本能は……厄介だよ~~。」
灯子
「相手の中心は、全部番になるからね。」
灯子
「ただし!」
灯子は、ビシッと指を立てた。
灯子
「番はただ一人!」
灯子
「その番にのみ!」
灯子
「溺愛よ~~。」
灯子
「絶対離れないし。」
灯子
「頭の中は、番のことしか考えないからね~~。」
灯子
「熱烈よ~~~。」
真奈
「キモ。」
琴音
「案外、あんたは絆されるタイプよ。」
琴音は、真奈の頬をつついた。
真奈
「訳分からん。」
そう言いながら、真奈はつまみを食べた。
真奈
「は~~。」
真奈
「意味が分からないのが、この世なんだよな~~。」
真奈は、つまみをつつきながら言った。
琴音
「男がいたら変わるわよ。」
真奈
「変わってない奴が隣にいる。」
琴音
「私は別よ~。」
琴音
「体までは許してないもの。」
琴音
「相手の自尊心を、ちょっと満たしてあげてるだけ。」
琴音
「男って、単純だから。」
真奈・灯子
「さいて~~。」
琴音
「私は自由が好きなの。」
真奈は、はいはいと言いたげな顔で、つまみを口に運んだ。
そして、また酒を飲む。
真奈
「妖狐って怖ぇ。」
琴音
「あら、褒め言葉?」
灯子
「違うと思うよ。」
二人は、呆れた顔で琴音を見た。




