【真奈の隣】
灯子は、真奈の様子を見てはヤキモキしていた。
当の本人は素知らぬ顔で、濃い酒をチビチビ呑んでいる。
真奈
「ねぇ~~、濃い~~。」
真奈
「つまみ、なんかちょうだい。」
灯子
「しょうがないわね~。」
灯子は冷蔵庫を開け、サラダや豆腐を取り出した。
真奈
「肉っぽい物も欲しいな~。」
真奈
「灯子さん。」
灯子
「は?」
灯子
「あんたね~。」
灯子
「待ってなさい。」
灯子
「なんか作ってくるわ。」
真奈
「ありがとう~~。」
そう言って、真奈は笑顔で片手をヒラヒラと振った。
灯子が奥へ消える。
真奈は一人、出されたつまみを食べながら、また酒を口に運んだ。
真奈
『あいつらの浄化……。』
真奈
『しばらくかかるかもな。』
真奈
『何をやってきたかは知らないけど。』
真奈
『……黄泉連、か。』
真奈
『……。』
真奈は、周りを見た。
確かに、見目のいい男は沢山いる。
けれど。
どれもこれも、
タラシか。
チャラいか。
下心丸出しか。
そんなものばかりだった。
しかも、真奈には心根が見える。
表面だけ綺麗に整えた言葉。
笑顔の裏にある欲。
近づいてくる理由。
その全部が、嫌でも見えてしまう。
真奈
「マジで気色悪。」
???
「何が気色悪いのよ。」
真奈は、隣を見てギョッとした。
いつの間にか。
琴音が、カウンターに頬杖をついて座っていた。
琴音
「ひどい顔。」
真奈
「いつからいた。」
琴音
「今。」
真奈
「嘘つけ。」
琴音
「バレた?」
琴音は、楽しそうに笑った。
琴音
「灯子さんから連絡来たわよ。」
真奈
「あのババア……。」
琴音
「あんたが昼間っからここで飲んでるって聞いたら、来るに決まってるでしょ。」
真奈
「灯子~~~。」
真奈は、名前を呼びながら灯子を睨んだ。
灯子
「あら、怖い。」
灯子は、クスクスと笑った。
灯子
「あんたが昼間っからここに来て、酒を飲むなんて。」
灯子
「誰にも言わない保証、あった?」
灯子は、ニヤニヤしながらそう言った。
真奈
「最悪。」
琴音
「バカね。」
琴音
「私には、すぐ連絡来るわよ。」
琴音
「何年ダチやってると思ってんの。」
真奈
「すいませんね~~~。」
琴音
「で?」
真奈
「あ?」
琴音
「婆ちゃんもカリカリしてるし。」
琴音
「母さんや父さんもバタバタ。」
琴音
「あちこちから報告は上がるし。」
真奈
「……だな。」
琴音
「飲まなきゃやってられないって感じ?」
真奈
「そんな感じ。」
琴音
「よね~。」
そう言いながら。
二人はカウンターに座り、遠い目をした。
灯子は、それを見てまたクスクスと笑った。




