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祓ノ血族(はらいのけつぞく)  作者: ハルヤ
【祓ノ血族】-本編-
184/193

【帰ってきた声】

玲央達も、庭から玄関先へ歩いて行った。


ちょうど、全員が荷物を下ろしているところだった。


先に気がついたのは、和真だった。


和真

「海兄ちゃん!」


海斗

「和真君!」


二人は、嬉しそうに手を振り合った。


今の海斗には、

恐れられる戦闘狂の顔はない。


ただの。


子供好きなお兄ちゃんにしか見えなかった。


一方で。


蓮は、ひたすら真奈を探していた。


「どこ行ったんだよ。」


そんな蓮を横目で見ながら、杏奈はクスッと笑った。


杏奈

「たぶん、幻灯楼よ。」


「は?」


「げん……なんだって?」


杏奈


「げんとうろう。」


和真

「真っ暗で、音がドンドン鳴ってるとこ!」


雄一

「妖怪も人間も一緒に踊る!」


伊織

「真奈姉、そこで歌う!」


「……は?」


海斗

「蓮、顔。」


「CLUBみたいなとこってことか。」


そう言って、蓮はなぜか玄関へ向かった。


杏奈

「ちょっと。」


蓮は止まらない。


杏奈

「場所も分からないのに、どうするの?」


蓮は、ぴたりと立ち止まった。


「……。」


杏奈

「心配しなくていいわよ。」


杏奈

「子供じゃあるまいし。」


「ふざけんな。」


「あいつに何かあったら、ただじゃおかねぇ。」


杏奈

「姉さんに惚れたわけ?」


「うるせぇ!」


蓮は、顔を背けた。


その耳まで、真っ赤になっていた。


海斗

「分かりやす。」


「黙れ。」


その頃。


紫苑は、胡桃の前で立ち止まっていた。


胡桃

「あ、氷室さん。」


紫苑

「荷物。」


胡桃

「え?」


紫苑

「持つ。」


胡桃

「あ、ありがとうございます。」


胡桃は少し戸惑いながらも、荷物を差し出した。


紫苑は、それを黙って受け取る。


一樹

「……お前も分かりやすいな。」


紫苑

「何が。」


一樹

「何でもない。」


一樹は、小さく息を吐くと、そのまま中へ入っていった。


紫苑

「……。」


胡桃

「あの、重くないですか?」


紫苑

「軽い。」


胡桃

「そうですか?」


紫苑

「ああ。」


胡桃

「ありがとうございます。」


紫苑は何も答えなかった。


ただ、胡桃の隣を歩いていた。


一方で。


蓮や杏奈達は、まだ言い合いをしていた。


「どこだよ。」


「連れてってくれ。」


杏奈

「嫌よ。」


杏奈

「あんたを連れてきたなんて知れたら、私がただじゃ済まないじゃない。」


玲央

「やめとけ、蓮。」


玲央

「杏奈さんも困ってるじゃないか。」


「でも!」


鷹臣

「でももクソもねぇ。」


鷹臣

「いいから、行くぞ。」


鷹臣は、蓮の首根っこを掴むようにして引っ張った。


「離せーー!!!」


杏奈

「うるさ。」


玲央

「すまない。」


玲央

「あんな奴じゃないんだが……。」


杏奈

「仕方ないわ。」


杏奈

「何かが外れかけてるんでしょうし。」


玲央

「外れかけてる?」


杏奈

「封じられていたものか。」


杏奈

「本能か。」


杏奈

「それとも、もっと別のものか。」


杏奈

「まだ分からないけどね。」


玲央

「……。」


杏奈

「落ち着いたら、私だけ行ってくるわ。」


杏奈

「顔なじみもいるし。」


玲央

「すまない。」


杏奈

「いいわよ。」


杏奈

「私も少し息抜きしたいし。」


そう言って、杏奈は軽く伸びをした。


そして。


玲央に向かって、ふわっと笑った。


玲央

「……。」


玲央は、一瞬だけ言葉を失った。

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