【賑やかな総本家】
昼過ぎ。
総本家の玄関先に、車の音が響いた。
千代
「あら、来たねぇ。」
玄三
「賑やかになるな。」
修一
「……やれやれ。」
玄三
「今晩は、宴会にするかの。」
しばらくして。
玄関の方から、勢いのある声が響いた。
雄一
「じーちゃん!ばーちゃん!来たよーー!」
伊織
「来たよーー!」
和真
「ただいまーー!」
玄三
「おーー!!!」
玄三
「よ~来た! よ~来た!」
屋敷中に、玄三の声が響いた。
その顔は、昨日の重々しい当主のものではなかった。
ただの。
孫を迎える祖父の顔だった。
陸斗
「ただいま。」
隼人
「荷物、どこ置く?」
杏奈
「お邪魔しまーす。」
胡桃
「ただいま。」
由美
「みんな、お疲れ様。」
千代
「よく来たねぇ。」
玲央達は、思わず玄関の方を見る。
昨日まで静かだった総本家が。
一瞬で、騒がしくなった。
海斗
「……すご。」
一樹
「空気が変わったな。」
鷹臣
「一気に家になった。」
紫苑
「……。」
蓮は、辺りをキョロキョロと見渡した。
一人、居ない。
いつの間に。
その様子を見て、海斗が口を開いた。
海斗
「どした、蓮?」
蓮
「居ないんだ。」
海斗
「誰が?」
蓮
「あいつが。」
鷹臣は、ため息をついた。
鷹臣
「そんなに探さなくても、外に出るくらいあるだろ。」
蓮
「だけど!」
玲央
「ずっと一緒に居るのも、息が詰まるだろ。」
玲央は、蓮の肩をポンと叩いた。
玲央
「ほっとけよ。」
蓮
「……。」
納得はしていない。
だが、これ以上言っても仕方がないことくらいは分かっていた。
その一方で。
紫苑は、紫苑で玄関の方へ向かっていた。
一樹
「おい、紫苑。」
紫苑は止まらない。
一樹
「待てよ。」
一樹は、紫苑の後を追った。




