【知る事を選ぶ】
蓮
「俺は知りたい。」
蓮
「俺の中に何があるのか。」
蓮
「何を隠されてるのか。」
少しの沈黙。
玲央は、深く息を吐いた。
玲央
「……分かった。」
玲央
「だが……。」
玲央は、全員を見た。
玲央
「お前達、本当にいいのか?」
海斗
「玲央?」
玲央
「過去を思い出す可能性が高いんだぞ。」
玲央
「お前達の過去が、どんなものだったか。」
玲央
「忘れたわけじゃないだろ。」
玲央
「向き合えるのか?」
全員、沈黙していた。
自分達の過去。
自分だけが出来なかった。
周りと比べられ、
力の差が開いていく環境に耐えられなかった。
家族からの暴言。
期待外れだと言われ、
誰にも認めてもらえなかった。
自由になりたかった。
ただ、それだけが許されなかった。
執拗に縛られた。
何をするにも。
どこに行くにも。
言われた通りにするしかなかった。
ただ。
何故、こんなにも退屈なのか。
何故、人は見た目だけで寄ってきて、
期待するだけ期待して、
違うと分かれば勝手に決めつけるのか。
何をしているのか。
何を護っているのか。
何も分からず、
ただ、そこに居るだけ。
そんな生活に、意味などなかった。
最初に口を開いたのは、一樹だった。
一樹
「向き合えるかどうかではない。」
一樹
「向き合わなければ、次に進めない。」
玲央
「一樹。」
一樹
「俺達が知らないものを、敵が知っている可能性がある。」
一樹
「それが一番危険だ。」
それを聞いた海斗が、口を開いた。
海斗
「正直、嫌だよ。」
海斗は、いつものように笑おうとして。
でも、うまく笑えなかった。
海斗
「思い出したくないことなんて、山ほどある。」
海斗
「でもさ。」
海斗
「知らないまま、また誰かに使われる方が嫌だ。」
鷹臣は、ずっと聞こえる音の正体が何なのか。
それが、ずっと引っかかっていた。
鷹臣
「俺は、もう誤魔化せねぇ。」
鷹臣は、低く呟いた。
鷹臣
「ずっと聞こえてる。」
鷹臣
「あの音が。」
玲央
「……。」
鷹臣
「見ないふりするには、遅すぎる。」
紫苑は、目を伏せていた。
ただ。
あの時。
力があれば。
何かが違っていたのかもしれない。
紫苑
「向き合えるかなんて、分からねぇ。」
全員の視線が、紫苑に向いた。
紫苑
「俺は、知らなくていいと思ってた。」
紫苑
「自分が何をしてきたかなんて、分かってる。」
紫苑
「今さら清算なんて言われても、意味が分からねぇ。」
紫苑
「でも。」
紫苑
「向き合わなかったせいで……。」
紫苑は、奥歯を噛み締めた。
紫苑
「手遅れになるのは……勘弁だ。」
そう言って、紫苑は顔を上げた。
その目には、迷いが残っていた。
けれど。
逃げる気は、もうなかった。




