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祓ノ血族(はらいのけつぞく)  作者: ハルヤ
【祓ノ血族】-本編-
181/193

【知る事を選ぶ】

「俺は知りたい。」


「俺の中に何があるのか。」


「何を隠されてるのか。」


少しの沈黙。


玲央は、深く息を吐いた。


玲央

「……分かった。」


玲央

「だが……。」


玲央は、全員を見た。


玲央

「お前達、本当にいいのか?」


海斗

「玲央?」


玲央

「過去を思い出す可能性が高いんだぞ。」


玲央

「お前達の過去が、どんなものだったか。」


玲央

「忘れたわけじゃないだろ。」


玲央

「向き合えるのか?」


全員、沈黙していた。


自分達の過去。


自分だけが出来なかった。


周りと比べられ、

力の差が開いていく環境に耐えられなかった。


家族からの暴言。


期待外れだと言われ、

誰にも認めてもらえなかった。


自由になりたかった。


ただ、それだけが許されなかった。


執拗に縛られた。


何をするにも。

どこに行くにも。


言われた通りにするしかなかった。


ただ。


何故、こんなにも退屈なのか。


何故、人は見た目だけで寄ってきて、

期待するだけ期待して、

違うと分かれば勝手に決めつけるのか。


何をしているのか。


何を護っているのか。


何も分からず、

ただ、そこに居るだけ。


そんな生活に、意味などなかった。


最初に口を開いたのは、一樹だった。


一樹

「向き合えるかどうかではない。」


一樹

「向き合わなければ、次に進めない。」


玲央

「一樹。」


一樹

「俺達が知らないものを、敵が知っている可能性がある。」


一樹

「それが一番危険だ。」


それを聞いた海斗が、口を開いた。


海斗

「正直、嫌だよ。」


海斗は、いつものように笑おうとして。


でも、うまく笑えなかった。


海斗

「思い出したくないことなんて、山ほどある。」


海斗

「でもさ。」


海斗

「知らないまま、また誰かに使われる方が嫌だ。」


鷹臣は、ずっと聞こえる音の正体が何なのか。


それが、ずっと引っかかっていた。


鷹臣

「俺は、もう誤魔化せねぇ。」


鷹臣は、低く呟いた。


鷹臣

「ずっと聞こえてる。」


鷹臣

「あの音が。」


玲央

「……。」


鷹臣

「見ないふりするには、遅すぎる。」


紫苑は、目を伏せていた。


ただ。


あの時。


力があれば。


何かが違っていたのかもしれない。


紫苑

「向き合えるかなんて、分からねぇ。」


全員の視線が、紫苑に向いた。


紫苑

「俺は、知らなくていいと思ってた。」


紫苑

「自分が何をしてきたかなんて、分かってる。」


紫苑

「今さら清算なんて言われても、意味が分からねぇ。」


紫苑

「でも。」


紫苑

「向き合わなかったせいで……。」


紫苑は、奥歯を噛み締めた。


紫苑

「手遅れになるのは……勘弁だ。」


そう言って、紫苑は顔を上げた。


その目には、迷いが残っていた。


けれど。


逃げる気は、もうなかった。

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