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祓ノ血族(はらいのけつぞく)  作者: ハルヤ
【祓ノ血族】-本編-
180/193

【迷いと不安】

玄三の話が終わった後。


玲央達は、外へ出た。


綺麗に手入れされた庭。


木々は風に揺れ、静かにざわめいている。


鳥達はさえずり合い、気持ちの良い風が吹いていた。


誰も、すぐには口を開かなかった。


さっきの言葉が、まだ耳に残っている。


絶対に、お前達を見捨てん。


共に戦い。


共にある。


海斗と鷹臣は、縁側に腰を下ろしていた。


一樹は、腕を組んで庭を見ている。


紫苑は、少し離れた場所で空を仰いでいた。


蓮は、その場にしゃがみ込み、地面を睨んでいる。


玲央だけが、黙って立っていた。


誰も、すぐには口を開かなかった。


さっきの言葉が、まだ耳に残っている。


海斗

「……重いね。」


鷹臣

「ああ。」


一樹

「簡単に返事をしていい話ではない。」


紫苑

「……。」


「でも、逃げられねぇんだろ。」


玲央は黙っていた。


海斗

「玲央?」


玲央

「……俺は、今まで選んできたつもりだった。」


玲央

「神崎組としてどう動くか。」


玲央

「誰を守るか。」


玲央

「誰を切るか。」


玲央

「全部、俺が決めてきた。」


一樹

「ああ。」


玲央

「でも今回のこれは、そういう話じゃない。」


玲央

「俺が組長として決めていい話じゃない。」


玲央は、全員を見る。


玲央

「お前達一人一人の人生の話だ。」


その言葉に、全員が黙った。


海斗

「……玲央が決めてよ、って言いたいところだけど。」


海斗

「今回は、それ言っちゃ駄目なやつだよね。」


鷹臣

「珍しく分かってるな。」


海斗

「珍しくって何。」


一樹

「俺は、知るべきだと思う。」


玲央

「理由は。」


一樹

「知らなければ、対処できない。」


一樹

「俺達が何を持っているのか。」


一樹

「何を狙われているのか。」


一樹

「そこが分からないままでは、次も同じように罠にかかる。」


鷹臣

「同感だ。」


鷹臣は、自分の手を見る。


鷹臣

「俺は、ずっと変な音を聞いてた。」


鷹臣

「病院でも、別邸でも。」


鷹臣

「異形とは違う気配だ。」


鷹臣

「気のせいで片付けるには、もう無理がある。」


海斗

「俺はさ……正直、怖いよ。」


海斗は軽く笑った。


けれど、その笑いはいつもより弱かった。


海斗

「自分の中に何かあるって言われても、何それって感じだし。」


海斗

「過去の清算とか、魂の奥とか、死後に受けるはずだったものとか。」


海斗

「普通に怖い。」


一樹

「怖くない方がおかしい。」


海斗

「だよね。」


再び沈黙がはしった。

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