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祓ノ血族(はらいのけつぞく)  作者: ハルヤ
【祓ノ血族】-本編-
175/193

【朝の縁側】

縁側へ出ると、そこに玄三がいた。


玄三

「起きたのか。」


「……ああ。」


玄三は縁側に座り、煙管を吸っていた。


朝の光の中で、白い煙が細く揺れる。


蓮は、その横顔を見た。


昨日。


玄三は、急に名前のような言葉を口にした。


巌。


その一言だけで、胸が押し潰されそうになった。


息が詰まり、膝をついた。


その理由が、今も分からない。


「……。」


玄三

「何じゃ。」


玄三

「知りたいか?」


「いや。」


玄三

「顔に出とるぞ。」


「何が。」


玄三

「分からん、とな。」


「……分かるのかよ。」


玄三

「なんとなくじゃ。」


玄三は庭を見たまま、軽く笑った。


玄三

「この世はな、分からんことだらけじゃ。」


玄三

「じゃから、人は必死に何かを掴もうともがく。」


「……。」


玄三

「この世は、皆に等しく優しい。」


玄三

「そして、等しく厳しい。」


玄三

「何を掴むか。」


玄三

「何を手放すか。」


玄三

「それは、己次第じゃ。」


蓮は、ただ玄三の言葉を聞くしかなかった。


重い言葉だった。


けれど、不思議と押し潰される重さではない。


胸の奥に沈んでいたものを、少しだけ浮かせるような。


そんな重さだった。

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