表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祓ノ血族(はらいのけつぞく)  作者: ハルヤ
【祓ノ血族】-本編-
174/193

【次の日】

翌朝。


早朝に目が覚めたのは、蓮だった。


目を開けた瞬間、違和感があった。


体が軽い。


いつもと違う。


布団の中で、蓮はしばらく動かなかった。


呼吸が、楽だった。


胸の奥にあった重たいものが、少しだけ薄くなっている。


そんな感覚だった。


闇側にいた頃から、ずっとそうだった。


何をしても、満たされなかった。


何を得ても、残らなかった。


何を言っても、空気のようにすり抜けていく。


口から出る言葉には、意味なんてなかった。


ただ、その場に並べただけの音。


笑っても。


怒っても。


誰かをからかっても。


何かが胸の奥に届くことはなかった。


それなのに。


昨日。


真奈が狙われた瞬間。


胸の奥が、燃えた。


理由もなく。


意味も分からず。


ただ、許せなかった。


そして今。


この総本家の朝の空気の中で、蓮は初めて、自分の中に何かが残っていることに気づいた。


「……なんなんだよ。」


小さく呟く。


答える者はいない。


その時。


不意に、太ももを思いきり蹴られた。


「いでぇ!!!」


隣を見る。


大の字で寝ている海斗の足が、蓮の太ももに乗っていた。


「……。」


「お前かよ。」


海斗

「んが……。」


「……よく寝れるな。」


海斗は、まったく起きない。


蓮はゆっくりと起き上がった。


障子の向こうが、薄く明るい。


朝の気配。


鳥の声。


畳の匂い。


どれも、妙に鮮明だった。


部屋を見回す。


いつもなら朝には必ず起きている玲央と一樹まで、深く眠っていた。


玲央は静かな寝息を立てている。


一樹も、眼鏡を外したまま、微動だにしない。


「……マジかよ。」


あの二人が、ここまで寝ている。


それだけで、この家が普通ではないことは分かった。


いや。


普通ではないのは、昨日から分かっていた。


風呂。


飯。


布団。


空気。


全部が、身体の奥に入り込んでくる。


「……。」


蓮は、小さく息を吐いた。


眠っている全員を起こさないように、静かに布団から出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ