【総本家の食卓】
食卓には、すでに料理が並んでいた。
大皿に盛られた唐揚げ。
煮物。
味噌汁。
山盛りのご飯。
卵焼き。
漬物。
サラダ。
全員、思わず足を止めた。
海斗
「え、これ全部……?」
由美
「足りなかったら言ってね。」
千代
「畑で採れた野菜を使ってるからね。」
千代
「体にいいよ。」
玄三
「しっかり食べとけ。」
玄三
「じゃないと、体が休まらん。」
修一
「体を作るのは、食べ物からだ。」
修一
「食べたら分かるよ。」
海斗
「いや、多くない?」
真奈
「弟達が来たら、もっと多い。」
玲央
「マジか……。」
全員が席についた。
玲央
「……いただきます。」
海斗
「いただきます。」
一樹
「……いただきます。」
鷹臣
「いただきます。」
紫苑
「……いただきます。」
蓮
「いただきます。」
その言葉が、自然に口から出た。
玲央
「……。」
海斗
「……え?」
一樹
「……。」
今まで、そんなことを言った覚えはない。
食事の前に手を合わせることも。
誰かと声を揃えて食べ始めることも。
それなのに。
今は、普通に。
しかも、無意識に言葉が出ていた。
妙な違和感があった。
けれど、不快ではなかった。
箸を取る。
味噌汁を口にする。
温かい。
ただ、それだけなのに。
胸の奥が、少しだけ緩んだ気がした。
千代
「ふふ。」
千代
「いい子だねぇ。」
しばらくすると、全員が自分の身体の変化に気づいた。
体の中を渦巻いていたものが、少しずつ軽くなっていく。
重く沈んでいたものが、温かいものに押し流されるように。
玲央
「……体が。」
玲央
「スッキリする。」
一樹
「……軽い。」
海斗
「え、何これ。」
鷹臣
「飯でこうなるのかよ……。」
紫苑
「……。」
蓮
「……なんか、違う。」
全員、戸惑うことばかりだった。




