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祓ノ血族(はらいのけつぞく)  作者: ハルヤ
【祓ノ血族】-本編-
169/193

【訳の分からない世界】

全員、風呂から上がり、リビングへ向かった。


すると、すでに食事の準備が整っていた。


玄三

「おっ。」


玄三

「少しはスッキリしたな。」


玄三は、神崎組を順に見た。


玄三

「しかし……。」


玄三

「まだ濃いな。」


玲央

「……濃い?」


玄三

「これだと……二日。」


玄三

「いや、三日はかかるかもしれんな。」


真奈

「それでも、やるしかない。」


真奈

「落とさない限り、次には進めん。」


玲央

「なんの事だ?」


海斗

「落とすって、何を?」


一樹

「……。」


全員、訳が分からなかった。


だが、玄三はそれ以上を言わなかった。


玄三

「話は明日じゃ。」


玄三

「今は、食え。」


由美

「あら、上がった?」


由美

「ご飯できてるわよ。」


由美

「食べなさい。」


由美は、にこっと笑って迎えた。


温かいご飯。


湯気の立つ味噌汁。


大皿に盛られた料理。


それを前に、神崎組は全員立ち尽くした。


真奈

「何してんだ?」


真奈

「食べないの?」


玲央

「あ……いや。」


海斗

「どうしていいか……分かんなくて。」


真奈

「は?」


真奈

「座って食べればいいんじゃね?」


真奈

「てか、今までどうやって食べてたんだ?」


一樹

「いや、そういう意味じゃなくて。」


海斗

「真奈さん、そうじゃないんだよね~~。」


真奈

「じゃあ何だよ。」


その時、玄三が小さく笑った。


玄三

「はははは。」


玄三

「坊主ども。」


玄三

「戸惑うのは分かる。」


玄三

「だが、ここは冠崎家だ。」


玄三

「遠慮はいらん。」


玄三

「食べなさい。」


全員、何が何だか分からなかった。


突然の転移。


総本家。


玄三。


穢れ。


狙われる理由。


何もかもが、普通ではない。


なのに、冠崎家はそれを当たり前のように受け入れている。


その現状に、神崎組は困惑を隠せなかった。


それに、いち早く気づいたのは千代だった。


千代

「ほっほっほ。」


千代

「まあ、今までの生活が一変したんじゃ。」


千代

「急に色々言われても、頭が追いつかんじゃろう。」


千代

「少しだけなら教えるよ。」


千代

「何が知りたい?」


玲央

「……なぜ。」


玲央

「なぜ、俺達は狙われるんですか。」


海斗

「そうだ。」


海斗

「それに、なんでここが安全なんだ?」


一樹

「あの紫色の光は……。」


一樹

「それに、転移とは……。」


千代

「ほっほっほ。」


千代

「いっぺんに話すのは酷じゃなぁ。」


真奈

「じゃあ、簡単に言う。」


真奈は、神崎組を見た。


真奈

「お前達が狙われるのは、お前達の中にある霊力が関係している。」


真奈

「つまり、生い立ちだよ。」


真奈

「それを全員、今まで見ない振りして生きてきたんじゃないのか?」


その言葉に、全員の身体がわずかに強張った。


玲央

「……。」


海斗

「……。」


一樹

「……。」


鷹臣

「……。」


紫苑

「……。」


「……。」


真奈

「ここが安全なのは、じいちゃんとばあちゃん、それに色んな方からの加護があるからだ。」


真奈

「この屋敷は護られてる。」


真奈

「足取りも、気配も、ここへ入った時点で一度消えた。」


真奈

「だから、今は安全なんだよ。」


海斗

「……足取りが、消えた?」


真奈

「ああ。」


真奈

「追えなくなったってこと。」


一樹

「……なるほど。」


一樹

「だから総本家へ移動したのか。」


真奈

「そういうこと。」


玲央

「では、あの紫の光は。」


真奈

「それは……。」


真奈は少しだけ考えた。


真奈

「父さん。頼む。」


その声の直後。


修一

「はいはい。」


いつの間にか、修一が全員の後ろに立っていた。


全員

「うわ!!!」


修一

「はははは。」


修一

「そんなに驚くな。」


海斗

「いや、驚きますって!」


修一はゆっくりと椅子に座った。


修一

「そうだな。」


修一

「あれは、真奈の気配を探り、この場所と真奈のいる場所を繋いだものだ。」


一樹

「場所を、繋ぐ……。」


修一

「ああ。」


修一

「お互いの霊力の波動、と言えばいいかな。」


修一

「私の波動と真奈の波動を合わせ、空間に道を作った。」


修一

「それが、さっき君達が通ってきた転移だよ。」


鷹臣

「そんなことが、現実に可能なのか。」


真奈

「可能になってるから、今ここにいるんだろ?」


紫苑

「いや、そうなんだが……。」


真奈

「ま、訳分からん方が正しいよ。」


全員

「え?」


真奈

「そりゃそうだろ。」


真奈

「今までの生活と違うんだからさ。」


真奈

「理解しろって言われても、理解できないのが普通。」


真奈

「ここで、理解しましたって言われた方が怖いわ。」


修一

「確かに。」


玄三

「ぶわはははは。」


玄三

「そりゃそうじゃ。」


千代

「ほっほっほ。」


由美

「ふふ。」


なぜか、リビングは笑いに包まれていた。


神崎組は、まだ何一つ理解できていない。


それでも。


少なくとも今、自分達が責められているわけではないことだけは分かった。

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