【総本家の中】
玄三
「そう固まるな。」
玄三
「ここまで来たなら、ひとまず安全じゃ。」
ひとまず安全。
その言葉に、玲央は少しだけ息を吐いた。
だが、完全に力を抜くことはできなかった。
真奈
「じーちゃん、なんか出した?」
玄三
「出しとらんわ。」
真奈
「出てる。」
玄三
「やかましい。」
コホンと咳払いし、全員の方へ向いた。
玄三
「大変じゃったの。」
玄三
「儂は、冠崎玄三じゃ。」
玲央
「神崎玲央です。」
玲央に続き、神崎組の面々が順に名乗った。
海斗
「月島海斗です。」
一樹
「黒崎一樹です。」
鷹臣
「蛇塚鷹臣です。」
紫苑
「氷室紫苑です。」
そして。
蓮
「桐生蓮です。」
その名前を聞いた瞬間。
玄三の目が、わずかに細くなった。
玄三
「桐生……。」
玄三
「なるほどな。」
蓮
「……?」
玄三
「確かにな。」
蓮
「え?」
玄三は、蓮をじっと見た。
見られている。
いや。
見透かされている。
蓮は、そんな感覚に眉を寄せた。
玄三
「うむ……。」
玄三は少し考えるように、目を伏せた。
そして。
低く、ひと言だけ告げた。
玄三
「……巌。」
その瞬間。
蓮の身体が、大きく跳ねた。
胸の奥を、何かに掴まれたような感覚。
心臓ではない。
骨でもない。
もっと奥。
自分でも知らない場所を、強く引きずられた。
蓮
「かはっ……!」
呼吸が詰まる。
足に力が入らない。
蓮はその場で膝をついた。
蓮
「な、なんだ……!?」
蓮
「っ、息が……!」
真奈
「桐生!」
玲央
「蓮!」
一樹
「おい、どうした!」
海斗
「蓮!?」
紫苑
「……!」
鷹臣
「何だ、今の……。」
玄三は、蓮を見下ろしたまま、静かに息を吐いた。
玄三
「やはり、反応したか。」
玄三は、ゆっくりと神崎組全員を見渡した。
玄三
「ふ~~……。」
玄三
「しかし……。」
その視線が、玲央へ。
海斗へ。
一樹へ。
鷹臣へ。
紫苑へ。
そして、膝をついた蓮へ向けられる。
玄三
「これは、なかなかじゃな。」
玄三
「よく今まで、見つからずにおったのう。」
何かが分かったような。
理解したような物言い。
真奈は、その言葉に引っかかった。
真奈
「どういう事?」
修一
「親父……?」
玄三
「いや。」
玄三
「よく全員、無事じゃったな。」
玄三は、それ以上を口にしなかった。
玄三
「とりあえず、中へ入れ。」
全員が、顔を見合わせた。




