【転移】
真奈はスマホを取り出した。
真奈
「父さん。」
修一
『どうした。』
真奈
「罠だった。」
修一
『……。』
真奈
「印をつけられそうになったが、弾いた。」
真奈
「だが、姿と気配は覚えられた。」
修一
『今は?』
真奈
「別邸。」
修一
『その場を離れるな。迎えに行く。』
真奈
「いや。」
真奈は、神崎組を見る。
真奈
「このまま総本家へ向かう。」
修一
『……分かった。』
修一
『転移を使え。』
真奈
「了解。」
通話を切った。
真奈
「今から転移を使う。」
真奈
「全員、手を繋げ。」
玲央
「転移……?」
真奈
「説明してる時間はない。」
真奈
「絶対に離すな。」
その声に、誰も逆らわなかった。
玲央が一樹の手を取り。
一樹が海斗へ。
海斗が鷹臣へ。
鷹臣が紫苑へ。
紫苑が蓮へ。
そして、蓮が真奈の手を掴んだ。
真奈
「離すなよ。」
蓮
「離すかよ。」
真奈
「そういう意味じゃない。」
紫色の光が、空間に薄く走った。
縦に伸びる細い線。
それが、ゆっくりと開いていく。
まるで、空間そのものに切れ目が入ったようだった。
海斗
「……え、なにこれ。」
一樹
「空間が……。」
真奈
「行くぞ。」
真奈は、その紫の線の中へ踏み込んだ。
全員が、それに続く。
紫の光の中に入った。
そう思った瞬間。
次の一歩で、外に出ていた。
風の匂いが変わる。
空気の重さも違う。
目の前には、修一が立っていた。
修一
「大丈夫かい?」
玲央
「……。」
一樹
「……。」
海斗
「……え?」
鷹臣
「……今の、何だ。」
紫苑
「……。」
蓮
「……。」
六人全員が出てくると、背後の紫の線は、すぅっと消えた。
そこにはもう、何も残っていない。
ただ、神崎組だけが、何が起きたのか分からない顔で立ち尽くしていた。




