【嫌な予感】
依頼は、拍子抜けするほど順調だった。
護衛対象に不審な様子はない。
ルートにも異常はない。
待ち合わせ場所。
移動車両。
到着先。
すべて、事前情報と一致していた。
海斗
「……普通だね。」
一樹
「普通すぎる。」
玲央
「気を抜くな。」
紫苑
「分かってる。」
蓮
「……。」
鷹臣
「……静かすぎる。」
護衛対象そのものは本物。
依頼も本物。
だが。
最後。
護衛対象が車に乗った、その時だった。
パキン!
乾いた音が響いた。
次の瞬間。
六人の周囲だけに、白い結界が発動した。
玲央
「なんだこれは!」
一樹
「結界!?」
鷹臣
「マジか……!」
海斗
「気づかなかった……。」
紫苑
「……真奈さんか。」
蓮
「真奈。」
遠くの方で、舌打ちが聞こえた。
「チッ!」
だが、姿は見えない。
空気だけが、わずかに歪んでいた。
その歪みを切るように、真奈の声が落ちた。
真奈
「やはりな。」
全員
「!?!?!?」
真奈は、いつの間にか近くに立っていた。
真奈
「嫌な予感はしてたんだ。」
玲央
「どうして……。」
玲央
「いつから?」
真奈
「骸が来た時さ。」
真奈
「あの時、念のために仕込んでおいた。」
玲央
「仕込んだ?」
真奈
「ああ。」
真奈
「万が一、何かあった時に発動するよう、ハクに頼んで結界の種をつけておいた。」
海斗
「結界の種?」
真奈
「お前達それぞれの影に、ほんの少しな。」
一樹
「影……。」
真奈
「異物か術が入り込もうとした時、同時に結界が張れるようにしてた。」
真奈
「まさか、こんなに早く引っかかるとは思わなかったけどな。」
鷹臣
「……今のは、何だった。」
真奈
「印だ。」
玲央
「印?」
真奈
「追跡用の呪いみたいなもんだ。」
真奈
「お前達に印をつけて、どこにいても辿れるようにするつもりだったんだろう。」
蓮
「……あいつら。」
真奈
「けど、それはできなかった。」
真奈
「結界が弾いた。」
海斗
「じゃあ、セーフ?」
真奈
「完全にセーフとは言えない。」
玲央
「どういう意味だ。」
真奈
「印はついてない。」
真奈
「でも、狙った相手の姿と気配は向こうに知られた。」
真奈
「次からは、もっと正確に来る。」
紫苑
「……。」
真奈
「とりあえず、別邸に戻るぞ。」
真奈
「ここに長居するな。」
玲央
「分かった。」
全員が頷いた。




