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祓ノ血族(はらいのけつぞく)  作者: ハルヤ
【祓ノ血族】-本編-
155/193

【不気味な影】

ソファーに座る。


修一と真奈。


相対するように、玲央と一樹が座った。


その後ろには、海斗と紫苑。


ソファーから少し離れた場所に、鷹臣が立っている。


蓮は、壁際に立ったまま、どこか落ち着かない様子だった。


修一

「では、話を聞いてもいいかな?」


玲央

「どうぞ。」


修一

「今回の依頼相手は、大きい方。」


修一

「で、合っているかい?」


その瞬間。


神崎組の全員が、わずかに反応した。


玲央

「……何故です?」


修一

「……なるほど。」


修一は静かに目を細める。


修一

「そう来たか。」


玲央

「…………。」


修一

「では、違う角度から聞こう。」


修一

「その依頼相手の交流関係。」


修一

「背後にある繋がり。」


修一

「最近近寄ってきた人物。」


修一

「その中に、不審な動きは?」


玲央

「…………。」


玲央は少し黙った。


それから、静かに口を開く。


玲央

「いや。」


玲央

「俺たちは、必要な情報しか知らない。」


玲央

「日時。場所。護衛の人数。護衛が何を所持しているか。」


玲央

「だいたい、護衛は限られた所を使う。」


玲央

「俺たちはそこを調べて、依頼が本物かどうかを確認し、こちらも準備をする。」


玲央

「今回は、所持品のない護衛だった。」


玲央

「だから、紫苑を行かせた。」


一樹

「周辺は調べました。」


一樹

「ですが、不審な人物の接触や、目立った動きは見られていません。」


修一

「……そうか。」


真奈

「氷室に聞きたい。」


紫苑

「……ああ。」


真奈

「あの日、異形に変化した奴は、どんな感じで変化した?」


紫苑

「最初は、普通に護衛をしていた。」


紫苑

「依頼者が店を出た時だ。」


紫苑

「急に、空を見上げた。」


真奈

「空を?」


紫苑

「ああ。」


紫苑

「見上げたと思ったら、急に大声で笑い出した。」


紫苑

「それから、身体が変な形に変化していった。」


紫苑

「そして、いきなり俺を見た。」


真奈

「は?」


真奈の目が細くなる。


真奈

「お前、隠れてたんだろ?」


紫苑

「ああ。」


紫苑

「相手の死角にいた。」


真奈

「待て待て……。」


真奈は眉間に皺を寄せる。


真奈

「親父。」


修一

「ああ。」


真奈

「その日……何の日だ?」


修一は、わずかに沈黙した。


修一

「……新月だ。」


真奈

「クソ!」


真奈が低く吐き捨てる。


真奈

「やられた。」


真奈

「見落としてた。」


真奈

「月だ!」


修一

「……マズいな。」


玲央

「待ってください。」


玲央の声が低くなる。


玲央

「今回の件と、月に何の関係が?」


真奈

「大ありだ。」


真奈

「奴らは、タイミングを見てた。」


真奈

「自分たちの力加減。」


真奈

「月の巡り。」


真奈

「それがぴったり合った日が、この前だったんだ。」


真奈

「たぶん、神崎組はたまたまそこに居合わせた。」


真奈

「向こうにとっても誤算だったはずだ。」


真奈

「だが、良い誤算だった。」


玲央

「良い誤算……?」


修一

「ああ。」


修一の声が、静かに落ちる。


修一

「君たちは、向こうに見つかった。」


修一

「しかも、冠崎家との繋がりまで見えてしまった。」


修一

「かなり危険な立場だ。」


海斗

「なんなんだよ。」


海斗

「何の話だよ!」


修一

「君たちは、狙われる。」


海斗

「……。」


修一

「狩られる側に回ったということだ。」


鷹臣

「待て待て。」


鷹臣

「一体、何の話なんだよ!」


真奈

「一刻の猶予もない。」


真奈

「早急にこの場を――」


その時。


真奈が、ぴくりと止まった。


空気が変わる。


修一

「安心しろ。」


修一は静かに言った。


修一

「もう、手筈は取ってある。」


真奈

「え?」


次の瞬間。


外で、大きな爆発音が響いた。


屋敷が、低く震える。


海斗

「うわっ!」


「なんだ!?」


一樹

「外か!」


玲央

「全員、動くな!」


真奈

「父さん。」


修一

「ああ。」


修一は立ち上がる。


修一

「すでに、結界は張ってある。」


外から、笑い声が響いた。


「あははは!」


「あ~~はっはっは!」


その声に、真奈の表情が変わった。


真奈

「……来たか。」


全員が、外へ向かった。

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