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祓ノ血族(はらいのけつぞく)  作者: ハルヤ
【祓ノ血族】-本編-
151/193

【翌日・夜 神崎組別邸】

海斗

「おかえり~~。」


海斗

「どこ行ってたんだよ。」


紫苑

「別に。」


「あれ?」


「紫苑、なんか機嫌よくない?」


紫苑

「は?」


「いや、顔が怖くない。」


紫苑

「いつも通りだ。」


一樹

「良いことあったな。」


紫苑

「……。」


海斗

「え、マジ?」


「なになに?」


「紫苑の良いことってなに?」


紫苑

「うるせぇ。」


鷹臣

「何があったんだよ?」


紫苑

「……アイス食った。」


沈黙。


海斗

「……は?」


「アイス?」


一樹

「お前が?」


紫苑

「殺すぞ。」


紫苑

「何だよ。」


海斗

「いや、待て。」


海斗

「情報量が多い。」


「紫苑が、アイス?」


紫苑

「俺だって食べる時はある。」


鷹臣

「何味だ。」


紫苑

「そこかよ。」


一樹

「何味だ。」


紫苑

「お前もか。」


「で? 何味?」


紫苑

「……ストロベリー。」


再び沈黙。


海斗

「ストロベリー。」


「紫苑が。」


一樹

「ストロベリー。」


鷹臣

「…………。」


紫苑

「何だよ。」


海斗

「いや、破壊力がすごい。」


「想像できないのに、想像したら面白い。」


海斗

「しかも、たぶん無表情で持ってたんだろ?」


「やばい。見たい。」


紫苑

「殺す。」


海斗

「で?」


紫苑

「……。」


海斗

「誰と?」


紫苑

「……は?」


「一人でアイスは食べないだろ。」


「どう考えても。」


紫苑

「うるせぇ。」


一樹

「…………。」


紫苑

「……。」


海斗

「あ。」


「あ。」


鷹臣

「覚えてるな。」


紫苑

「殺すぞ、お前ら。」


海斗

「誰とは言ってないけど?」


「墓穴掘ったな。」


紫苑

「黙れ。」


けれど、いつもの紫苑なら、ここで本気の殺気が出ていた。


でも今は違う。


少しだけ面倒くさそうで。


少しだけ居心地が悪そうで。


それでも、どこか空気が柔らかかった。


一樹

「……悪くない顔だな。」


紫苑

「黙れ。」


「やっぱ良いことあったんじゃん。」


紫苑

「うるせぇ。」


海斗

「ストロベリーか~~。」


鷹臣

「似合わねぇな。」


紫苑

「全員殺す。」


笑い声が、別荘に広がった。


昨夜の重い空気が、ほんの少しだけ薄れていく。


紫苑は何も言わなかった。


けれど、スマホに新しく増えた連絡先のことだけは、

誰にも言わなかった。

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