表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祓ノ血族(はらいのけつぞく)  作者: ハルヤ
【祓ノ血族】-本編-
142/193

【翌日・日中別編Ⅱ】

胡桃

「どうかしたんですか?」


紫苑

「いや。」


紫苑は視線を逸らす。


紫苑

「今日は……?」


胡桃

「え?」


紫苑

「今日は、なんでここにいる。」


胡桃

「あ~~~。」


胡桃は困ったように笑った。


胡桃

「お姉ちゃんが、有給取れって聞かなくて。」


アハハハハ、と笑う。


胡桃

「昨日怪我したから、今日は仕事休めって。」


紫苑

「……傷、痛むのか。」


胡桃

「え?」


胡桃は一瞬、自分の腕を見た。


けれど、別にいつものことだしな、と思った。


胡桃

「あ~! 大丈夫です!」


紫苑

「……。」


胡桃

「このくらい、いつもなんで!」


ニッコリ笑う。


紫苑

「……いつも?」


胡桃

「はい!」


胡桃は軽く頷いた。


胡桃

「修行でも怪我しますし、異形相手だと、無傷ってなかなか難しいので。」


紫苑

「……そうか。」


どうしたんだろう。


なんだか、落ち込んでいるような気がした。


紫苑

「強いんだな。」


胡桃

「え?」


紫苑

「お前は、強い。」


胡桃

「私が?」


胡桃は驚いたように目を丸くした。


胡桃

「いやいや! 全然!」


胡桃

「まだまだって感じですよ~。」


胡桃

「お姉ちゃん達が前線で、私は後方支援なので。」


胡桃

「これから、もっと力をつけていかなきゃって感じです!」


胡桃

「昨日も、もっと上手くできてたら、怪我しなかったと思うので。」


紫苑

「……。」


胡桃

「でも、氷室さんが無事で良かったです。」


紫苑

「……なんでだよ。」


胡桃

「え?」


紫苑

「なんで、俺なんか庇った。」


胡桃はきょとんとする。


胡桃

「目の前で危なかったからです。」


紫苑

「理由になってねぇ。」


胡桃

「え?」


紫苑

「俺は……。」


なんか、ムッとした。


助けちゃいけないような、

そんな感じの言い方に、ちょっと腹が立った。

挿絵(By みてみん)


紫苑

「俺は、助けられるような人間じゃねぇ。」


胡桃は、紫苑の隣に腰を下ろした。


紫苑

「おい。」


胡桃

「氷室さん!」


紫苑

「……。」


胡桃

「助ける時に、その人が助けられる資格があるかなんて、考えません!」


胡桃

「危ないと思ったから、助けました!」


紫苑

「……。」


胡桃

「それだけです!」


胡桃

「それに。」


紫苑

「……?」


胡桃

「氷室さん、強いじゃないですか。」


紫苑

「俺が?」


胡桃

「はい。」


胡桃は力強く頷いた。


紫苑

「昨日、何もできなかっただろ。」


紫苑

「刃も効かなかった。」


胡桃

「でも、逃げる判断はできてました。」


紫苑

「……。」


胡桃

「普通の人なら、あそこで固まります。」


紫苑

「……。」


胡桃

「氷室さんは、怖くても動ける人です。」


紫苑

「怖くなんか……。」


紫苑は言いかけて、黙った。


胡桃

「怖いって、悪いことじゃないと思います。」


紫苑

「……。」


胡桃

「怖いのに動ける人は、強いです。」


胡桃

「あんな訳の分からないものを見て、動ける人っていません。」


胡桃

「だいたいの人は、固まっちゃうか、逃げ出しますよ。」


胡桃はニッコリ笑った。


紫苑

「……お前は変だな。」


胡桃

「えっ。変ですか?」


紫苑

「変だろ。」


胡桃

「えぇ~~~。」


少し不満そうな顔をする胡桃に、紫苑の口元がかすかに緩む。


ほんの少しだけ。


胡桃

「あ、笑った。」


紫苑

「笑ってねぇ。」


胡桃

「今、ちょっと笑いました。」


紫苑

「見間違いだ。」


胡桃

「ふふっ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ