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【夜の風】
鷹臣は、煙草を指に挟んだまま、夜の闇を見る。
病院で聞こえた音。
あれは、今夜の異形とは違う。
もっと近く。
もっと静かで。
もっと、こちらを見ているような気配だった。
ズ……。
ズル……。
ズ……。
何かが、闇の奥を這うような音。
けれど、不思議と害意は感じない。
襲ってくる気配もない。
ただ、近くにいる。
見ている。
見守っている。
鷹臣
「……なんなんだよ。」
気味が悪い。
けれど、怖いわけではない。
まるで、ずっと前からそこにいたものに、
今さら気づいてしまったような感覚だった。
鷹臣は短く息を吐き、煙草の火を消した。
夜の山は静かだった。
静かすぎるほどに。




