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祓ノ血族(はらいのけつぞく)  作者: ハルヤ
【祓ノ血族】-本編-
136/193

【憑依ではないもの】

真奈

「あ~~~!!! くそ!」


真奈が乱暴に髪をかき上げた。


真奈

「やっぱ、探り入れるしかないか。」


修一

「どっちにだ。」


真奈

「黄泉連だよ。」


その名前が出た瞬間、

リビングの空気が変わった。


陸斗

「……黄泉連。」


隼人

「また面倒なの出てきたな。」


真奈

「最近の動きから、やり方や動向を探ってたんだが……。」


真奈

「空振りばっかりで、線から外すか悩んでたんだよ。」


真奈

「でも、父さんの時も黄泉連絡みだったよね?」


修一

「ああ。」


真奈

「ただ、その時は黄泉連だけで、禍神衆は居なかったんでしょ?」


修一

「そうだ。」


修一の表情が険しくなる。


修一

「あっちの路線が入ると、かなり厄介だな。」


修一

「淀みや歪み。」


修一

「人間への憑依。」


修一

「今回の件とも、繋がらないわけではない。」


修一は隼人を見る。


修一

「隼人。」


隼人

「ああ。」


修一

「憑依の可能性は?」


隼人

「それがおかしいんだ。」


隼人

「憑依の兆候がなかった。」


修一

「……なかった?」


隼人

「ああ。」


隼人

「身体を乗っ取られてる感じじゃない。」


隼人

「異形が入り込んだってより、外側から無理やり形を変えられた感じだった。」


杏奈

「だから、結界の反応もズレていたのね。」


胡桃

「霊糸も、変だった。」


胡桃は自分の腕を見る。


胡桃

「捕まえてるのに、中が空っぽみたいで……。」


胡桃

「でも、残片だけは意思があるみたいに動いた。」


真奈

「……ヤバいな。」


真奈は舌打ちした。


真奈

「憑依じゃないなら、入り込んだ可能性がある。」


修一

「あるいは、異形を人間の形に重ねたか。」


杏奈

「下位でそんなこと、普通はできないわ。」


真奈

「普通じゃないから、今こうなってんだろ。」


陸斗

「最悪じゃねぇか。」


隼人

「最悪だな。」


真奈

「とりあえず、また氷室に状況を聞かんといけんくなったな。」


胡桃の肩が、わずかに揺れた。


真奈はそれに気づいたが、今は触れなかった。


真奈

「父さん。」


真奈

「近々、コンタクト取れる?」


修一

「ふ~~~。」


修一は深く息を吐いた。


修一

「仕方ないか。」


修一

「玲央に連絡を入れる。」


真奈

「ああ。」


真奈はそこで、胡桃へ目を向けた。


真奈

「それと、胡桃。」


胡桃

「え?」


真奈

「明日は仕事休みな。」


胡桃

「え?」


胡桃

「いつもと同じじゃない!」


胡桃

「仕事は行くわよ。」


真奈

「ダメだ。」


真奈

「明日は休み。」


胡桃

「なんで?」


真奈

「怪我したから。」


胡桃

「かすり傷だよ。」


真奈

「かすり傷でも怪我は怪我。」


真奈

「それに、お前はすぐ無理する。」


胡桃

「う……。」


真奈

「たまには街に出てブラブラしてこい。」


真奈

「有給、溜まってるだろ。」


胡桃

「う~~~。」


胡桃

「は~~い。」


杏奈

「良かったじゃない。」


杏奈

「ゆっくり羽を休めなさい。」


胡桃

「分かったよ~~。」


隼人

「じゃ、俺も休も。」


隼人

「頑張ったし。」


真奈

「いいけど、自分で連絡入れろよ。」


隼人

「うへぇ~~~~。」


陸斗

「そこまでが仕事だろ。」


隼人

「休むのにも労力がいるとか聞いてねぇ。」


由美

「はいはい。二人とも、まずはご飯食べて落ち着きなさい。」


張り詰めていた空気が、少しだけ緩む。


けれど、真奈の表情は晴れなかった。


黄泉連。


禍神衆。


憑依ではない異形。


点だったものが、

少しずつ線になり始めていた。

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