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祓ノ血族(はらいのけつぞく)  作者: ハルヤ
【祓ノ血族】-本編-
135/193

【残片の違和感】

冠崎家。


淡い紫の光が玄関先に広がり、

杏奈、隼人、胡桃の三人が姿を現した。


胡桃

「ただいま。」


その声に、家の中から一斉に足音が響いた。


由美

「胡桃!」


真奈

「おかえり。」


修一

「無事か?」


陸斗

「どうだった?」


雄一

「怪我してない?」


伊織

「大丈夫?」


和真

「胡桃姉ちゃん!」


全員が玄関先に集まる。


隼人

「みんな、すまねぇ。」


その一言で、空気が止まった。


隼人

「胡桃が怪我した。」


由美

「胡桃!」


胡桃

「大丈夫。かすり傷だから。」


杏奈

「残滓はないわ。」


杏奈

「応急処置もしてある。」


杏奈

「心配ない。」


全員が、そこでようやく息を吐いた。


由美

「……よかった。」


修一

「中へ入れ。」


修一

「話を聞く。」


三人はリビングへ移動した。


全員が集まる。


空気は、先ほどまでの騒がしさとは違っていた。


真奈

「何があった?」


隼人

「いつもの異形だった。」


隼人

「下位。気配もそうだった。」


真奈

「なら、胡桃が怪我するほどじゃないだろ。」


隼人

「ああ。」


隼人は表情を険しくする。


隼人

「でも、途中で一部が暴走した。」


真奈

「は?」


修一

「……なに?」


杏奈

「私の結界から逃げようとしたんじゃない。」


杏奈

「霧になりきらず、残片だけが別方向へ飛んだ。」


胡桃

「私が霊糸を離さなかったから、狙いがこっちに向いたの。」


由美

「胡桃……。」


胡桃

「でも大丈夫。本当にかすり傷だから。」


真奈

「大丈夫かどうかは、こっちが決める。」


胡桃

「お姉ちゃん……。」


真奈

「残片が独立して動いた?」


隼人

「ああ。」


真奈

「下位で?」


隼人

「下位で。」


陸斗

「……おかしくねぇか。」


杏奈

「おかしいわ。」


杏奈

「下位異形なら、核を崩された時点で霧散する。」


杏奈

「一部だけが意思を持つように動くなんて、普通はない。」


修一

「外部干渉か。」


真奈

「可能性はある。」


リビングの空気が、一段重くなる。


胡桃は、そっと自分の腕に目を落とした。


もう痛みはほとんどない。


けれど、紫苑の顔が頭から離れなかった。


動けなくなっていた紫苑。


自分の腕を見て、苦しそうに顔を歪めていた紫苑。


真奈

「胡桃。」


胡桃

「……え?」


真奈

「何かあったな。」


胡桃

「…………。」


胡桃は少しだけ迷った。


そして、小さく頷く。


胡桃

「氷室さんが、いました。」


全員の表情が変わった。


修一

「……神崎組か。」


胡桃

「はい。」


胡桃

「氷室さんが、異形に狙われていました。」


真奈

「……そうか。」


修一は深く息を吐いた。


修一

「もう、偶然じゃ済まんな。」

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