表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祓ノ血族(はらいのけつぞく)  作者: ハルヤ
【祓ノ血族】-本編-
130/193

【冠崎家の食卓】

茂夫は一度屋敷に戻ると告げ、帰っていった。


その背中を見送り、

全員で総本家の中へ戻る。


そして、仏間。


全員

「疲れた~~~~~~……。」


誰からともなく畳の上に倒れ込み、

そのまま全員が寝そべった。


由美

「あなた達!」


千代

「あらあらまぁ~~。」


千代は口元に手を添え、くすくすと笑った。


真奈

「腹減った。」


陸斗

「力が出ね~~。」


隼人

「あ~~~、涼しい~~~。」


杏奈

「ゆっくり出来るわ~~~。」


胡桃

「気持ちいい~~~。」


雄一

「腹減った~~~。」


伊織

「ねむ~~~い。」


和真

「ふわ~~~~~あ!」


和真が大きく伸びをする。


玄三

「飯だぞー。」


その瞬間。


真奈・雄一

「ご飯だ!」


二人は同時に起き上がり、

台所へ向かって走り出した。


杏奈・胡桃

「おねーーちゃん!!!」


陸斗

「ヤバ。」


隼人

「中学生が二人いる。」


伊織

「真奈姉ちゃん、大人なのに。」


和真

「雄一兄ちゃんと同じ速さだった。」


真奈

「聞こえてるぞ!」


台所の方から、真奈の声が飛んでくる。


由美

「走らないの!」


千代

「ホホホホ。元気が一番ねぇ。」


全員が、深いため息をついた。


けれどその顔は、

どこか楽しそうだった。

各々が起き上がり、食事の席へ移った。


座卓には、料理が並んでいた。


その横に、

それぞれ小さな白い小皿が置かれている。


お供え用の皿だった。


一人につき、一皿。


だが。


真奈の前だけ、明らかに数が多い。


陸斗

「相変わらずだな~。」


隼人

「まっ、違うからな。」


杏奈

「…………。」


杏奈

「やっぱり迫力あるわね。」


杏奈

「見慣れてるけど。」


胡桃

「いつもより量が多いね。」


真奈

「久々だしな。」


真奈

「腹も減るんだろ。」


その時だった。


真奈の背後に、ふわりと気配が立つ。


空気が揺れた。


金色の光が、細く伸びる。


そして。


神龍

「刺身が欲しい。」


真奈

「は?」


神龍

「刺身は無いのか?」


真奈

「他のは?」


神龍

「う~~む。」


神龍

「刺身がいい。」


真奈

「分かったよ。」


真奈

「後で買ってくる。」


千代

「あらあら。」


千代

「刺身ならあるわよ。」


真奈

「あるの?」


千代

「夜に出そうと思っていたのよ。」


全員

「あるの!?」


千代

「あるわよ。」


千代は、にこにこと笑う。


千代

「流石ね。ふふっ。」


真奈

「ばーちゃん。」


真奈

「ちょっと三切れ貰っていい?」


千代

「いいわよ。」


千代が用意した刺身を、真奈は三切れだけ取り分ける。


そして、自分の皿の横へそっと置いた。


神龍

「美味い。」


神龍

「美味い。」


真奈

「良かったな。」


真奈

「てか、これら全部、私が食べんといけんから。」


真奈

「早くみんな食べて。」


すると、今度は別の気配が動いた。


淡い炎のような光。


白く細い影。


黒に近い毛並みの獣。


そして、狐の気配。


フェニックス

「無理。」


白蛇のハク

「無茶だよ。」


ハク

「美味いから、味わって食べる。」


狼神のロウ

「うまい。」


ロウ

「無理。」


お狐さま

「美味。」


真奈

「え~~~~……。」


陸斗

「勢揃い。」


陸斗

「初めて見た。」


真奈

「普段は見せないからな。」


隼人

「こんなに居たか?」


真奈

「居たよ。」


真奈

「元々から全員。」


胡桃は、真奈の前に並ぶ皿を見た。


一人につき、一皿。


それが普通。


でも真奈の前だけは違う。


神龍。


フェニックス。


白蛇。


狼神。


お狐さま。


それぞれが、当たり前のようにそこにいて、

当たり前のように供えられたものを食べている。


異様な光景だった。


けれど。


真奈だけは、いつもの顔で箸を持っていた。


真奈

「だから早く食べろって。」


真奈

「最終的に私が腹いっぱいになるんだから。」


陸斗

「いや、絵面が強すぎて飯が入ってこねぇよ。」


隼人

「総本家って感じするわ。」


杏奈

「真奈の場合、総本家じゃなくてもこうだけどね。」


真奈

「人を怪奇現象みたいに言うな。」


胡桃

「ふふっ。」


千代

「賑やかでいいわねぇ。」


玄三

「相変わらず、真奈の周りは騒がしいのう。」


神龍

「刺身、もう一切れ。」


真奈

「味わえって言われただろ!」


全員が、思わず笑った。


けれど、その笑いの中でも、

真奈の前だけは、明らかに空気が違っていた。


冠崎真奈。


冠崎家最強。


その意味を、

食卓の上に並ぶ小皿の数が、静かに物語っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ